WOLFRAM言語チュートリアル

二階偏微分方程式

二階線形偏微分方程式の一般系は,次のように表せる.

ここで であり, および のみの関数であり, には依存しない.のとき,方程式は「同次」であるという.

二階導関数を含む最初の3つの項は,偏微分方程式の「主要部」という.この3項は方程式の一般解の性質を決定する.実際,主要部の係数は以下のように偏微分方程式を分類するの使うことができる.

ならば,その偏微分方程式は楕円型であるという.ラプラス(Laplace)方程式は なので,楕円型偏微分方程式である.

ならば,その偏微分方程式は双曲型であるという.波動方程式は なので,双曲型偏微分方程式である.

ならば,その偏微分方程式は放物型であるという.熱方程式は なので,放物型偏微分方程式である.

DSolveは限られた形式の二階同次線形偏微分方程式の一般解を求めることができる.その形式とは,以下ものである.

ここで は制約条件である.従って,DSolveはこの方程式が,定数係数および消滅する非主要部を持つものと仮定する.

以下は,3つの基本型(楕円,双曲,放物)の例と,その重要性の説明である.

まず,楕円型偏微分方程式であるラプラス方程式の一般解である.
In[1]:=
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In[2]:=
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Out[2]=

この一般解には2つの任意関数C[1]C[2]が含まれている.この両関数の引数 が意味するのは,C[2]0のとき,解は虚軸 に沿った定数となり,C[1]0のときは に沿った定数となるということである.このような線は,偏微分方程式の特性曲線と呼ばれる.一般に,楕円型偏微分方程式には,虚数の特性曲線がある.

別の楕円型偏微分方程式である.
In[3]:=
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Out[3]=
In[4]:=
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この方程式の虚数の特性曲線に注目のこと.
In[5]:=
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Out[5]=
解は以下のように検証する.
In[6]:=
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Out[6]=
次に,双曲型偏微分方程式である波動方程式の一般解を求める.波動方程式の定数 は光速度を表し,ここでは便宜上1と設定する.
In[7]:=
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In[8]:=
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Out[8]=

波動方程式の特性曲線は は任意定数)である.このように,波動方程式(すべての双曲型偏微分方程式)には,実数の特性曲線族が2つある.波動方程式の初期条件が指定されている場合は,解は特性曲線に沿って伝播する.また,固定された1対の特徴線により,交点にあるオブザーバのnull coneが決定される.

双曲型偏微分方程式の別の例である.
In[9]:=
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Out[9]=
In[10]:=
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方程式に実数の特性曲線族が2つあることに注目のこと.
In[11]:=
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Out[11]=
以下のように解を検証する.
In[12]:=
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Out[12]=
最後に,放物型偏微分方程式の例である.
In[13]:=
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Out[13]=
In[14]:=
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In[15]:=
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Out[15]=

この方程式には, という実数の特性線の1つの族しかない.実際,どの放物型偏微分方程式にも実数の特性曲線族が1つしかない.

以下のように解を検証する.
In[16]:=
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Out[16]=

熱方程式は放物型であるが,これは非消滅の非主要部を持ち,DSolveで使用されるアルゴリズムがこの場合適用されないので,ここでは考慮しない.