特殊関数

数理物理学で一般的に使われ,標準的なハンドブックに載っているような特殊関数はすべてWolframシステムに入っている.さまざまな種類の特殊関数を順に見ていこう.

文献によっては特殊関数の定義が異なることがある.Wolframシステムで特殊関数を使うとき,関数が以下に示す関係式で定義されるものであることを確認の上使う必要がある.

特殊関数でも,特定の値に対しては厳密な関数値を得ることができる.
In[1]:=
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Out[1]=
今度は,結果の値を既知の形では表現できない.
In[2]:=
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Out[2]=
一方,数値的な結果なら,任意の桁でも求めることができる.
In[3]:=
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Out[3]=
特殊関数を複素数について計算することも可能である.
In[4]:=
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Out[4]=
特殊関数をリストの各要素に自動的に適用する.
In[5]:=
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Out[5]=
Wolframシステムは,導関数等の特殊関数の解析的特性をわきまえている.
In[6]:=
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Out[6]=
FindRootを使い,特殊関数であっても,その根を探すことができる.
In[7]:=
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Out[7]=

Wolframシステムにおいて特殊関数は,通常任意の複素数の引数に対して評価することができる.しかし,多くの場合,このチュートリアルで示す定義関係式は,引数が特定の値を取るときに限り有効となる.そのような場合,完全な関数はこれらの関係式の適正な拡張,つまり「解析接続」に対応する.例えば,関数の積分表記は,該当する積分が存在するときに限って有効であるが,関数自体は解析接続により別の点においても通常定義することができる.

関数の定義域をどう拡張できるか, の簡単な和を例に考えてみる.和はのときだけに収束する.それでも,任意の に対して,この和を解析接続して得られる関数が に等しい,ということは簡単に解析的に証明できる.この形を使うことで,少なくとも でさえあれば,任意の に対して,和の関数の値を簡単に求めることができる.

ガンマ関数とこれに関連した関数

Beta[a,b]オイラーのベータ関数
Beta[z,a,b]不完全ベータ関数
BetaRegularized[z,a,b]正則化された不完全ベータ関数
Gamma[z]オイラーのガンマ関数
Gamma[a,z]不完全ガンマ関数
Gamma[a,z0,z1]一般化された不完全ガンマ関数
GammaRegularized[a,z]正則化された不完全ガンマ関数
InverseBetaRegularized[s,a,b]正則化された逆ベータ関数
InverseGammaRegularized[a,s]正則化された逆ガンマ関数
Pochhammer[a,n]ポッホハンマーの記号
PolyGamma[z]ディガンマ関数
PolyGamma[n,z]ディガンマ関数の 次導関数
LogGamma[z]オイラーの対数ガンマ関数
LogBarnesG[z]バルネスのG関数の対数
BarnesG[z]バルネスのG関数
Hyperfactorial[n]超階乗関数

ガンマ関数とこれに関連した関数

オイラーのガンマ関数Gamma[z]は,積分 によって定義される. が正整数のとき,の関係が成り立つ. は階乗を一般化した関数としてとらえられ,変数 は複素数でもよい.

特に整数論の計算では,ガンマ関数に対する対数が現れることがある.引数が正の実数のとき,これは,単に,Log[Gamma[z]]とすることで評価することができる.しかし,引数が複素数のときは,不規則な不連続点が発生してしまう.このため,Wolframシステムには,LogGamma[z]と呼ばれる関数が特別に定義してある.同関数は,負の実軸に沿って分岐を持たせたガンマ関数の対数を与える.

オイラーのベータ関数Beta[a,b]は,関係式 で定義される.

ポッホハンマー(Pochhammer)の記号あるいは昇階乗Pochhammer[a,n]は,関係式で定義される.この関数は超幾何関数の級数展開でよく使われる.注意点として,定義式にあるガンマ関数が無限大になるときでも,ポッホハンマーの記号の値は確定する.

不完全ガンマ関数Gamma[a,z]は,積分 により定義される.Wolframシステムには一般化された不完全ガンマ関数Gamma[a,z0,z1]が組み込まれている.後者は積分 で定義される.

この定義から,不完全ガンマ関数 はWolframシステムではGamma[a,0,z]として求まることが分かる.

不完全ベータ関数Beta[z,a,b]は, で与えられる.不完全ベータ関数では,関数の第1引数であるパラメータ が積分の上限を特定していることに注意する.これに対して,不完全ガンマ関数では,関数の第2引数の が積分の下限を特定する.

不完全ベータ関数および不完全ガンマ関数はそのまま計算せずに,まず,正則化された形を求めた方が計算しやすくなることがある.ここで,正規形とは,完全ベータ関数(もしくは,完全ガンマ関数)で不完全形を割った形を意味する.不完全ベータ関数を正則化した関数としてBetaRegularized[z,a,b]が用意されている.この関数は,引数のほとんどの値域で の関係で定義され,特異点も扱うことができる.また,不完全ガンマ関数を正則化した関数GammaRegularized[a,z]の関係で定義され,特異点も扱うことができる.

不完全ベータ関数と不完全ガンマ関数,および,それらの逆関数は,統計でよく使われる.逆ベータ関数InverseBetaRegularized[s,a,b]は,における の解である.同様に,逆ガンマ関数InverseGammaRegularized[a,s]は,における の解である.

ガンマ関数の導関数が有理級数の和を求めるときによく使われる.ディガンマ関数PolyGamma[z]で与えられ,ガンマ関数の対数微分である.引数が整数のとき,ディガンマ関数は関係式 を満たす.ここで, はオイラー定数(WolframシステムではEulerGamma)を示し, は調和数を示す.

ポリガンマ関数PolyGamma[n,z]は,微分式 で与えられる.ディガンマ関数は, に対応している.また, がガンマ関数の 階の対数微分であり, 階ではないことに注意する.また,ポリガンマ関数は関係式 を満たす.PolyGamma[ν,z]は,任意の複素数 について分数計算の解析接続によって与えられる.

BarnesG[z]Gamma関数の一般化であり,その機能の同一性BarnesG[z+1]=Gamma[z] BarnesG[z]により定義される.一方,BarnesGの対数の第3導関数は正の z に対して正である.BarnesGは複素平面上の整関数である.

LogBarnesG[z]は,Exp[LogBarnesG[z]]=BarnesG[z]が成り立つような負の実数軸に沿って分枝切断を持つ正則関数である.

Hyperfactorial[n]は複素平面での の一般化である.

ガンマやポリガンマ関数の多くの厳密な値はWolframシステムに組込み済みである.
In[1]:=
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Out[1]=
ガンマ関数の絶対値の等高線プロットを複素平面上に作成する.
In[4]:=
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Out[4]=

ゼータ関数とこれに関連した関数

DirichletL[k,j,s]ディリクレのL関数
LerchPhi[z,s,a]レルヒの超越関数
PolyLog[n,z]多重対数関数
PolyLog[n,p,z]ニールセンの一般化された多重対数関数
RamanujanTau[n]ラマヌジャンの 関数
RamanujanTauL[n]ラマヌジャンの ディリクレL関数
RamanujanTauTheta[n]ラマヌジャンの シータ関数
RamanujanTauZ[n]ラマヌジャン Z関数
RiemannSiegelTheta[t]マン・ジーゲル関数
RiemannSiegelZ[t]マン・ジーゲル関数
StieltjesGamma[n]スティルチェスの定数
Zeta[s]リーマンのゼータ関数
Zeta[s,a]一般化されたリーマンのゼータ関数
HurwitzZeta[s,a]フルヴィッツのゼータ関数
HurwitzLerchPhi[z,s,a]フルヴィッツ・レルヒの超越関数

ゼータ関数とこれに関連した関数

ディリクレの L 関数DirichletL[k,j,s]のとき)として実装され,は法が で指標が のディリクレ記号である.

リーマンのゼータ関数Zeta[s]は,のとき関係式 で定義される.整数を引数とするゼータ関数は,各種の総和や積分で使われる.整数を引数とするゼータ関数であれば(一部例外はあるが),厳密な値をWolframシステムで取得することができる.

は,任意複素数 について解析的接続を持つ.複素数のゼータ関数は,整数論における素数分布の問題で中心的な役割を果たす.臨界線上の値は特に重要とされる.

を解析していく上で,2つのリーマン・ジーゲル(RiemannSiegel)関数RiemannSiegelZ[t]およびRiemannSiegelTheta[t]を定義するとよい.それぞれ, が実数のとき およびで定義される. が実数なら,両関数はともに実数値になることに注意する.

スティルチェス(Stieltjes)の定数StieltjesGamma[n]は,オイラーの定数を一般化したもので, を極 の周りで級数展開したときの係数として現れる. の係数が で,オイラーの定数は である.

一般化されたリーマンのゼータ関数Zeta[s,a]は,の項を除いて として実装されている.

フルヴィッツのゼータ関数HurwitzZeta[s,a] として実装される.

ラマヌジャンの ディリクレL関数RamanujanTauL[s]L(s)=sum_(n=1)^infty(tau(n))/(n^s)の場合)で定義され,係数RamanujanTau[n]を持つ.リーマンゼータ関数の場合と同様に,関数RamanujanTauZ[t]RamanujanTauTheta[t]を定義すると便利である.

以下は の数値近似である.
In[77]:=
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Out[77]=
これはディリクレのL関数の実部の三次元プロットである.
In[4]:=
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Out[4]=
の値はWolframシステムで厳密に得られる.
In[1]:=
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Out[1]=
複素平面におけるリーマンのゼータ関数の絶対値を3Dでプロットする.
次に,臨界線上のリーマンのゼータ関数の絶対値をプロットする.最初のいくつかの関数のゼロ点を観測することができる.
臨界線上のラマヌジャン L関数の絶対値のプロットである.

多重対数関数PolyLog[n,z] で与えられる.多重対数関数はジョンキエール(Jonquière)の関数とも呼ばれる.二重対数PolyLog[2,z] を満足する. はスペンス(Spence)の積分としても知られている.ニールセンの一般化された多重対数関数あるいは超対数PolyLog[n,p,z] で与えられる.多重対数関数は素粒子論でのファインマン図形の積分および代数的K理論に現れる.

レルヒ(Lerch)の超越関数LerchPhi[z,s,a]は,ゼータ関数および多重対数関数を一般化したもので,の項を除いた関係式で与えられる.負ベキ乗の和の多くがレルヒの超越関数を使って表せる.例えば,カタランのベータ関数 により求めることができる.

レルヒの超越関数は,統計力学におけるフェルミ・ディラック(FermiDirac)分布に の関係式で関連している.

また,レルヒの超越関数は,整数論に現れるディリクレの L 級数(Dirichlet Lseries )の評価にも使われる.基本 L 級数は の形を持つ.ここで,「指標」 は整数関数で周期 を持つ.この種の L 級数は, のベキとおき,レルヒの超越関数の和として書くことができる.

LerchPhi[z,s,a,DoublyInfinite->True]は,二重無限和を与える.

フルヴィッツレルヒ(HurwitzLerch)の超越関数HurwitzLerchPhi[z,s,a]HurwitzZeta[s,a]を一般化したもので, により定義される.

ZetaZero[k]臨界線上のゼータ関数 番目の零点
ZetaZero[k,x0]高さ より高い 番目の零点

ゼータ関数の零点

ZetaZero[1] の最初の自明でない零点を表す.
In[1]:=
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Out[1]=
数値を返す.
In[2]:=
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Out[2]=
次は高さが15より大きい最初の零点を返す.
In[3]:=
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Out[3]=

指数積分とこれに関連した関数

CosIntegral[z]余弦積分関数
CoshIntegral[z]双曲線余弦積分関数
ExpIntegralE[n,z]指数積分 E_n(z)
ExpIntegralEi[z]指数積分
LogIntegral[z]対数積分
SinIntegral[z]正弦積分関数
SinhIntegral[z]双曲線正弦積分関数

指数積分とこれに関連した関数

Wolframシステムは,ExpIntegralEおよびExpIntegralEiの2つの形の指数積分を備えている.

指数積分関数ExpIntegralE[n,z]は, で定義される.

第2の指数積分関数ExpIntegralEi[z]は,のとき積分 で定義される.ここで,積分の主値が取られる.

対数積分関数LogIntegral[z]は,のとき, で与えられ,ここで積分の主値が取られる.整数論において は素数の分布解析で中心的な役割を果たす.対数積分関数は, とも表記される.整数論の応用の中には,主値を取らず, と定義されるものもある.これは,Wolframシステムで定義される とは定数の分だけ違う.

正弦と余弦の積分関数SinIntegral[z]CosIntegral[z]は, で定義される.双曲線正弦と双曲線余弦の積分関数SinhIntegral[z]CoshIntegral[z] で定義される.

誤差関数とこれに関連した関数

Erf[z]誤差関数
Erf[z0,z1]一般化された誤差関数
Erfc[z]相補誤差関数
Erfi[z]虚部誤差関数
FresnelC[z]フレネルのC積分 C(z)
FresnelS[z]フレネルのS積分
InverseErf[s]逆誤差関数
InverseErfc[s]逆相補誤差関数

誤差関数とこれに関連した関数

誤差関数Erf[z]は,ガウス分布(正規分布)の密度関数を積分した で与えられる.相補誤差関数Erfc[z]は,で与えられる.虚部誤差関数Erfi[z]は, で与えられる.一般化された誤差関数Erf[z0,z1]は,積分 で定義される.誤差関数は統計の計算で中心的な役割を果たしている.

逆誤差関数InverseErf[s]は,の方程式における解 で定義される.逆誤差関数は統計学における信頼区間の解析や,ガウス数を生成するための乱数生成アルゴリズムにおいて使われる.

誤差関数に深く関係を持つものに,フレネル(Fresnel)の積分FresnelC[z]およびFresnelS[z]がある.前者は, により,また後者は, により定義される.フレネルの積分は回折論の問題で使われる.

ベッセル関数とこれに関連した関数

AiryAi[z]およびAiryBi[z]エアリー関数 および
AiryAiPrime[z]およびAiryBiPrime[z]エアリー関数の導関数 および
BesselJ[n,z]およびBesselY[n,z]ベッセル関数 および
BesselI[n,z]およびBesselK[n,z]変形ベッセル関数 および
KelvinBer[n,z]およびKelvinBei[n,z]ケルビン関数 および
KelvinKer[n,z]およびKelvinKei[n,z]ケルビン関数 および
HankelH1[n,z]およびHankelH2[n,z]ハンケル関数 および
SphericalBesselJ[n,z]およびSphericalBesselY[n,z]
球ベッセル関数 および
SphericalHankelH1[n,z]およびSphericalHankelH2[n,z]
球ハンケル関数 および
StruveH[n,z]およびStruveL[n,z]シュトルーベ関数 および変形シュトルーベ関数

ベッセル関数とこれに関連した関数

ベッセル(Bessel)関数BesselJ[n,z]およびBesselY[n,z]は,微分方程式 の線形独立な解である.整数 について において正則になる一方,において対数発散する.

ベッセル関数は,円柱対称系における微分方程式を解くために使われる.

第一種ベッセル関数 は単にベッセル関数とも呼ばれる.第二種ベッセル関数 はウェーバー(Weber)関数とも,ノイマン(Neumann)関数とも呼ばれる.後者の場合, と特別に記される.

ハンケル(Hankel)関数,または,第三種ベッセル関数HankelH1[n,z]およびHankelH2[n,z]は,によって関連しているベッセル微分方程式の一組の代替解を与える.

球ベッセル関数SphericalBesselJ[n,z]SphericalBesselY[n,z]は,球ハンケル関数SphericalHankelH1[n,z]およびSphericalHankelH2[n,z]と同様に,球対称の波現象の研究から生じたものである.これらは によって,通常の関数と関連している.ハンケル関数の種類によって,関係式の が,それぞれ,,または, に置き換えられる.整数 については,特殊ベッセル関数をFunctionExpandを使って初等関数について展開することができる.

変形ベッセル関数BesselI[n,z]およびBesselK[n,z]は,微分方程式 の解である.整数 について,は正則になる一方,で対数発散してしまう.は双曲ベッセル関数としても知 られる.

特に,電子工学において,ケルビン(Kelvin)関数と呼ばれるKelvinBer[n,z]KelvinBei[n,z]KelvinKer[n,z]KelvinKei[n,z]がよく定義される.これらは通常のベッセル関数とおよびによって関連している.

エアリー(Airy)関数AiryAi[z]およびAiryBi[z]は,微分方程式 の2つの線形独立な解およびである. が正で増大するときは0に収束するが,は限りなく増大する.エアリー関数は,整数の1/3の次数を持つ変形ベッセル関数に関連している.エアリー関数とその導関数AiryAiPrime[z]およびAiryBiPrime[z]は,電磁理論や量子力学の境界値問題によく見られる.

シュトルーベ(Struve)関数StruveH[n,z]は整数 に対して の形式の非斉次ベッセル方程式の解に現れる.この方程式の一般解はシュトルーベ関数が加えられたベッセル関数の線形結合からなる.変形シュトルーベ関数StruveL[n,z]は通常のシュトルーベ関数から,の形式で与えられる.シュトルーベ関数は電磁理論でよく用いられる.

をプロットする.理想的な鎖の一端を固定しもう一端を揺すったときに,鎖はこの曲線の形を取る.
次数を半整数とするベッセル関数に対応する明示的な代数式が生成される.
In[2]:=
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Out[2]=
ここでプロットするエアリー関数は,左から右へと増大するポテンシャルに置かれた粒子が持つ量子力学的な振幅を与える.古典的には侵入不能な右側の領域において振幅が指数的に減衰する様子がうかがえる.
BesselJZero[n,k]ベッセル関数 番目の零点
BesselJZero[n,k,x0]より大きい 番目の零点
BesselYZero[n,k]ベッセル関数 番目の零点
BesselYZero[n,k,x0]より大きい 番目の零点
AiryAiZero[k]エアリー関数 番目の零点
AiryAiZero[k,x0]より小さい 番目の零点
AiryBiZero[k]エアリー関数 番目の零点
AiryBiZero[k,x0]より小さい 番目の零点

ベッセル関数,エアリー関数の零点

BesselJZero[1,5]の5番目の零点を表す.
In[18]:=
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Out[18]=
以下は,上記の数値を与える.
In[19]:=
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Out[19]=

ルジャンドル関数とこれに関連した関数

LegendreP[n,z]第一種ルジャンドル関数
LegendreP[n,m,z]第一種ルジャンドル陪関数
LegendreQ[n,z]第二種ルジャンドル関数
LegendreQ[n,m,z]第二種ルジャンドル陪関数

ルジャンドル関数とこれに関連した関数

ルジャンドル関数およびルジャンドル陪関数は,微分方程式を満たす.第一種ルジャンドル関数LegendreP[n,z]およびLegendreP[n,m,z]は, および が整数のとき,ルジャンドルの多項式に還元する.第二種ルジャンドル関数LegendreQ[n,z]およびLegendreQ[n,m,z]は,この微分方程式の別な線形独立な解を与える.整数 の場合,これらは,において対数的特異点を持つ.および は,のときのこの微分方程式の解である.

ルジャンドル関数は,量子力学での散乱過程の解析に使われる.

LegendreP[n,m,z] または LegendreP[n,m,1,z]
を含むタイプ1の関数
LegendreP[n,m,2,z]を含むタイプ2の関数
LegendreP[n,m,3,z]を含むタイプ3の関数

ルジャンドル関数のタイプ(LegendreQも同様なタイプに区分することができる)

タイプ1のルジャンドル関数とタイプ2のルジャンドル関数は,記号形は異なるが,同じ値を持つ.さらに,単位円の外でも定義される.タイプ2の関数はからと,からで分岐を持つ.タイプ3のルジャンドル関数は,からだけで分岐を持つ.タイプ3は と記述される場合もある.

円環関数,トロイド関数またはリング関数は,円環体対称を持つ系の問題で使われる.これらは,ルジャンドル関数を用いて で表される.

円錐関数は で表される.

を整数としたとき関数LegendreP[n,x]はルジャンドルの多項式に等しい.一方, を任意の複素数としたときは,一般に,ルジャンドル関数になる.

同様に,任意の複素数の添数を持つとき,関数GegenbauerC等は,ゲーゲンバウアの関数,チェビシェフの関数,エルミートの関数,ヤコビの関数,そして,ラゲールの関数を与える.ルジャンドルの陪関数と違い,これらの関数において型の区別はされない.

超幾何関数と一般化

Hypergeometric0F1[a,z]超幾何関数
Hypergeometric0F1Regularized[a,z]正規化された超幾何関数
Hypergeometric1F1[a,b,z]クンマーの合流型超幾何関数
Hypergeometric1F1Regularized[a,b,z]正規化された合流型超幾何関数
HypergeometricU[a,b,z]合流型超幾何関数
WhittakerM[k,m,z]およびWhittakerW[k,m,z]
ホイッタカー関数 および
ParabolicCylinderD[ν,z]放物柱関数

合流型超幾何関数と関連関数

ここまでに説明してきた特殊関数の多くは,合流型超幾何関数Hypergeometric1F1[a,b,z]の特殊形と見ることができる.

合流型超幾何関数は,級数展開から求めることができる. が共に整数のときは特殊な結果が得られる.で,かつ,もしくは のとき,この級数は,有限項からなる多項式になる.

が負の整数か0のとき,は無限大になる.それでも,で与えられる正規化された合流型超幾何関数Hypergeometric1F1Regularized[a,b,z]は,すべての場合において確定値を持つ.

から求まる関数には,ベッセル関数,誤差関数,不完全ガンマ関数,エルミートの関数,そして,ラゲールの関数がある.

関数は,あるいは と表記されることもある.また,クンマー(Kummer)の関数と呼ばれることもある.

関数を積分 として書くこともできる.

合流型超幾何関数は,境界条件が,および, のとき,クンマーの微分方程式 の解になる.

関数HypergeometricU[a,b,z]は,クンマーの方程式の別な線形独立な解である.ならばこの関数は十分に小さい について のように振る舞う.また,複素平面 の負の実軸に沿って分岐を持つ.

関数 は,積分 で表せる.

も,と同様にクンマーの関数として知られる. 関数は文献によってはと表記される.

ホイッタカー(Whittaker)の関数WhittakerM[k,m,z]WhittakerW[k,m,z] は,ホイッタカーの微分方程式として知られるクンマー微分方程式に解のペアを与える.ホイッタカーの関数 は,の関係式でに関連している.第二種のホイッタカーの関数 も, に置き換えると,同じ関係に従う.

放物柱関数ParabolicCylinderD[ν,z]は,の関係式でエルミートの関数に関連している.

クーロン(Coulomb)波動関数もまた,合流型超幾何関数の特殊な形のひとつである.クーロン波動関数は,点状核のクーロンポテンシャルにおける放射型シュレーディンガー(Schrödinger)方程式の解を与える.正則なクーロン波動関数は,で与えられる.ただし,とする.

この他に合流型超幾何関数の特殊形としてトロント(Toronto)の関数 ,ポアソン・シャリェー(PoissonCharlier)の多項式 ,カニンガム(Cunningham)の関数 ,そしてベーテマン(Bateman)の関数 がある.

関数Hypergeometric0F1[a,z]は,の関係式で合流型超幾何関数の極限を取ることで得られる.

関数は,と級数展開でき,微分方程式 を満たす.

第一種ベッセル関数は関数で表すことができる.

Hypergeometric2F1[a,b,c,z]超幾何関数
Hypergeometric2F1Regularized[a,b,c,z]
正規化された超幾何関数
HypergeometricPFQ[{a1,,ap},{b1,,bq},z]
一般化された超幾何関数
HypergeometricPFQRegularized[{a1,,ap},{b1,,bq},z]
正規化され,一般化された超幾何関数
MeijerG[{{a1,,an},{an+1,,ap}},{{b1,,bm},{bm+1,,bq}},z]
マイヤーのG関数
AppellF1[a,b1,b2,c,x,y]2変数のアッペル超幾何関数

超幾何関数と一般化

超幾何関数Hypergeometric2F1[a,b,c,z]は,の級数展開を持つ.この関数は,超幾何微分方程式 の解である.

また,超幾何関数は, の積分としても書くことができる.

超幾何関数は とも表記され,ガウス級数または,クンマー級数とも呼ばれる.

ルジャンドル関数,および他の直交多項式を一般化した関数はすべて,超幾何関数で表すことができる.また,楕円積分のすべてを関数で表すことも可能である.

リーマンの微分方程式の解であるリーマンP関数も,関数のひとつである.

一般化された超幾何関数またはバルネス(Barnes)の拡張超幾何関数HypergeometricPFQ[{a1,,ap},{b1,,bq},z] と級数展開できる.

マイヤー(Meijer)のG関数MeijerG[{{a1,,an},{an+1,,ap}},{{b1,,bm},{bm+1,,bq}},z]は線積分表現 で与えられる.積分路はの極との極の間にあるものとする.マイヤーのG関数MeijerG は非常に一般化された関数であり,これまでの数節で説明してきたほとんどの関数はマイヤーのG関数の特殊形として作ることができる.

2変数のアッぺル(Appell)の超幾何関数AppellF1[a,b1,b2,c,x,y] と級数展開できる.この関数は例えば三次の多項式の任意のベキの積分に現れる.

q 級数関数とこれに関連した関数

QPochhammer[z,q] ポッホハンマー(Pochhammer)記号 TemplateBox[{z, q}, QPochhammer2]
QPochhammer[z,q,n] ポッホハンマー(Pochhammer)記号 TemplateBox[{z, q, n}, QPochhammer]
QFactorial[z,q] 階乗
QBinomial[n,m,q] 二項係数
QGamma[z,q]オイラーガンマ関数の 形式 TemplateBox[{z, q}, QGamma]
QPolyGamma[z,q] ディガンマ関数
QPolyGamma[n,z,q] ディガンマ関数の 次導関数
QHypergeometricPFQ[{a1,...,ap},{b1,...,bq},q,z]
基本的な超幾何級数

級数とこれに関連した関数

ポッホハンマー記号は 差分の微積分における自然オブジェクトであり,微積分学におけるベキ関数や有限差分の微積分における下降階乗と同じ役割を果たす.

有限の ポッホハンマー記号TemplateBox[{z, q, n}, QPochhammer] は,積で定義される.TemplateBox[{q}, Abs]<1のとき,極限 により ポッホハンマー記号TemplateBox[{z, q}, QPochhammer2] が定義される. ポッホハンマー記号TemplateBox[{z, q, n}, QPochhammer] は,極限TemplateBox[{a, n}, Pochhammer]=lim_(q->1) TemplateBox[{{q, ^, a}, q, n}, QPochhammer]/(1-q)^n において回復するポッホハンマー記号TemplateBox[{a, n}, Pochhammer] 形式である.

階乗 TemplateBox[{z, q}, QFactorial]TemplateBox[{q, q, z}, QPochhammer]/(1-q)^z として定義され,となるに従って回復する階乗関数の 形式である. 階乗関数と ガンマ関数の関係TemplateBox[{z, q}, QFactorial]=TemplateBox[{{z, +, 1}, q}, QGamma]は,階乗関数とオイラーガンマ関数の関係z!=TemplateBox[{{z, +, 1}}, Gamma]と同じ関数形式を持つ.

ディガンマ関数は, ガンマ関数 TemplateBox[{z, q}, QPolyGamma]=1/(TemplateBox[{z, q}, QGamma])(partialTemplateBox[{z, q}, QGamma])/(partialz)の対数導関数として定義される.次数 ポリガンマ関数 TemplateBox[{n, z, q}, QPolyGamma3] は, ディガンマ関数の についての 次導関数として定義される.

基本的な超幾何級数は,一般化された超幾何級数の 形式である.これはガウスの超幾何級数の 形式としてハイネ(Heine)により導入され,組合せ論で発生するものである.

乗積対数関数

ProductLog[z]乗積対数関数

乗積対数関数

乗積対数関数は,方程式 における についての解を与える.この関数は対数を一般化したものとみなせる.各種の超越方程式の解を表すために使うことができる.明確な分岐の数を数える関数は乗積対数と の関係にある.