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1.10.15 ノートブックを使った解説文書の創作

ノートブックは対話的な文書を作るのに必要な基本機能を備えている.この機能を最大に生かし,効果的で洗練された文書を作るには,ユーザ自身がノートブック機能にあった書き方を身に付ける必要がある.

Mathematicaの初心者は,よくノートブックを単純な入出力行の連なりとしてとらえ,単なる計算ワークシートとして使うとか, 紙の代りにスクリーンで物書きをするためのワープロとして使うことが多い.機能を生かしたノートブックの効果的な使い方は,ワークシートとワープロのどちらでもなく,実は,Mathematicaの入出力を適切な説明文でまとめるという両者の機能をうまく併せた使い方である.文書をうまくまとめる上で最も重要な要素は,Mathematica言語の使い方であり,この言語を一貫して使うことでワークシート兼ワープロの文書を,効果的,かつ機能的なものに仕上げることができる.

ノートブックの文書例をこれまでいろいろ眺めてきて,読者は,それらが文章,数式,コンピュータコードの3つの基本要素から構成されるものと感じられたかもしれない.しかし,Mathematicaの重要な考え方のひとつは,数学で使われる従来の式とコンピュータコードの最高のものを誘いだす言語を提供することにある.

StandardFormで記述されるMathematicaの式は,慣用的な数学表記法の持つまとまりと読みやすさを兼ね備えている.さらに,数学表記の式にはない式の構成上の完全な一貫性と一様性をも備えている.このため,Mathematicaの式で問題を解き説明する限り,その問題がどの分野のものであっても,どんな記述法を使ったか等を説明する必要は全くない.なぜなら,記述されている式そのものがMathematica言語の記述であるからである.さらに,計算問題の説明をMathematicaの式で行ったなら,ノートブックの読者にとって実際に使える文書ともなる.つまり,文書中の式を取り出しMathematicaの入力として使うことで,読者自身で結果を確認することも可能になる.

数学表記法を長年使ってきたユーザの場合,StandardFormの式は最初は読みづらく映り,慣れるまでに多少時間がかかるだろう.実際,使いはじめの段階では,記述しづらい式でもわざわざ隠しタグを付けたりして,できる限りTraditionalFormを使おうとする傾向が多くのユーザに見受けられる.しかし,慣れてくると,StandardFormTraditionalFormを併せて使うようになり,大概の用途ではStandardFormが最も効果的で分かりやすい提示手段であることが分かってくるようになる.

普通,数学の解説では,長蛇の文章の代りに短い式を使い手短に話を進めていく.ノートブックでもStandardFormを使い同様なアプローチを取ることができる.また,そうすることで,式を,計算をするだけの単なる数式ではなくプログラミングやアルゴリズムをも表すものとして使えるので,曖昧になりがちな説明をさらにコンパクトに,また,より正確なものにできる.



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