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3.6.9 極限
計算を進めていくと,変数が特定の値をとり,式を評価する必要が出てくる.その多くの場合には,単に置換演算子 /.を使い変換規則を適用することで対処できる.
が 0のときの の値を求めるには,単に を0におけばよい.
In[1]:= Cos[x^2] /. x -> 0
Out[1]= 
ところが,場合によっては特別な配慮をしなければならないときがある.
例えば, のときの の値を考えてみよう.単純に を0に置き換えると答は不定,つまり, になってしまう. の点における の正しい値を求めるには極限をとらなければならない.

極限を求める
のときの の極限を求める.正確な値が求まる.
In[2]:= Limit[ Sin[x]/x, x -> 0 ]
Out[2]= 
この式には有限の極限値が存在しない.
In[3]:= Limit[ Sin[x]/x^2, x -> 0 ]
Out[3]= 
で をベキ級数に展開できなくてもその極限は求まる.
In[4]:= Limit[ x Log[x], x -> 0 ]
Out[4]= 
この例でも同じことがいえる.
In[5]:= Limit[ ( 1 + 2 x ) ^ (1/x), x -> 0 ]
Out[5]= 
Sign[x]の x=0での値は 0.
In[6]:= Sign[0]
Out[6]= 
しかし,極限値は 1.極限はデフォルトでは上からの極限.
In[7]:= Limit[Sign[x], x -> 0]
Out[7]= 
ある点についてすべての関数が極限をもっているとは限らない.例えば,関数 は の近傍で激しく振動するため,定まった極限をもたない.とはいうものの, が実数である限り の近傍における関数の値は必ず から 1の範囲にある.極限がある有限の幅の中を動くとき, LimitはIntervalを使ってその区間を示す. Interval[ xmin, xmax ]は,不確定な極限の値が xminから xmaxの間にあることを示す.
Limitを作用させると Intervalオブジェクトが返ってくる.同オブジェクトは真性特異点である 近傍において がとり得る値の範囲を表している.
In[8]:= Limit[ Sin[1/x], x -> 0 ]
Out[8]= 
Intervalオブジェクトには演算操作が行える.
In[9]:= (1 + %)^3
Out[9]= 
Intervalオブジェクトが使われ極限がシンボル的に表される.
In[10]:= Limit[ Exp[Sin[x]], x -> Infinity ]
Out[10]= 
関数によっては,どの方向から接近していくかにより極限が異なるものがある. Limitにオプション Directionの設定を行うことで,方向が指定できる.

接近方向と極限
点 に左から接近するか右から接近するかにより は異なる極限をもつ.
In[11]:= Plot[1/x, {x, -1, 1}]

Out[11]= 
左から接近すると極限は になる.
In[12]:= Limit[ 1/x, x -> 0, Direction -> 1 ]
Out[12]= 
右から接近すると極限は である.
In[13]:= Limit[ 1/x, x -> 0, Direction -> -1 ]
Out[13]= 
f[x]等の未知の関数に対してLimitを適用しても,関数の特性が判明していないため,極限はシンボル的な関数の形に留められ,評価は行われない.
fが未知なため,極限は未評価のまま残される.
In[14]:= Limit[ x f[x], x -> 0 ]
Out[14]= Limit[x f[x], x 0]
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