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Mathematicaの学習法

始める前に

他のコンピュータシステムと同様,Mathematicaでも使用する前に留意すべき項目があります.例えば,Mathematicaへの入力をタイプする方法は最低限知っておく必要があります.こうした基本的項目に関しては,第1部の最初の章をまず参照してください.

基本を理解したら,本書のいくつかの例を実際にタイプしてみることで,Mathematicaのフィーリングを得ることができます.常に本書に表示されている通りにタイプし,大文字や カッコ等の変更は避けてください.

いくつか例を試した後は,実際にいろいろ試してみることを勧めます.本書の例を少しだけ変えたらどうなるか,試してみてください.出力された結果の詳細に注意を払い,なぜそのような結果が出力されたのか,理解してください.

簡単な例を試すことによって,複雑な問題をMathematicaで解くために必要な次のステップへと進む準備が完了します.

問題の完全な解法

特定の問題を選択して実際に解法を試してみることが最良でしょう.解を手計算で容易に導けるような問題をまず選んでください.そして問題解法に必要な各ステップを踏み, Mathematicaを使用するときに必要な知識を学習してください. 特定の問題解法に進む前に,常に単純化されたケースで試し,その結果を理解するようにしてください.

1部の章を参照しながら特定の問題解法のステップを踏む過程で,Mathematicaのさまざまな特徴を学ぶことができます.Mathematicaを使って実際の問題をいくつか解くことにより,システムの基本的な特徴に対する感覚を身に付けることができます.

Mathematicaの機能に関する十分な知識が得られたら,問題解決はひとまず休止し,第2部を読み,Mathematicaシステムの全般的な構造を学んでください.最初は,互いに無関係に見えた多くの機能が,実は終始一貫した構造の中に収まっていることを発見できます.この構造を知ることにより,それまでに学んだ機能をより深く理解することができます.

Mathematicaの原理

Mathematicaの全般的な構造を急いで学ぶ必要はありません.最先端のコンピュータ言語や純粋数学の十分な経験がない限り,第2部は初めて読むときには理解し難いかもしれません.第2部で記述されている構造および原理は,記憶するには複雑すぎ,また説明されている特定の機能がなぜ有益なのか,容易には理解できないかもしれません.しかし,Mathematicaにある程度親しみ,いくつか実際の問題を解いていけば,全般的な構造は容易に理解できるようになります.Mathematicaの原理は非常に一般的ではありますが,具体的な例を実際に試してみない限り,そのような一般原理の理解は容易でないことに留意してください.

Mathematicaの最も重要な特徴の1つは,ごく少数の原理をできるだけ広範に適用していることです.このため,ある特殊な条件下で特殊な命令を使用したとしても,その命令の基本となっている原理は,他の多くの場合にも適用できます.Mathematicaの基本原理の理解が非常に重要な理由の1つは,特定の命令に関する知識をより一般的な問題に容易に拡張することができるからです.例えば初めに,代数式の変換則を学ぶことができます.

しかし,変換則の基本原理は他の数式表現にも適用できるため,同様な規則を使用して,例えばMathematicaのグラフィックスオブジェクトを表す構造を変更することも容易にできるようになります.

解法そのものの変更

Mathematicaの効果的な使用方法を学習するには,問題解法の考え方自体を変えることが必要です.鉛筆と紙による手計算からMathematicaへ移行するとき,問題解法のバランスを調整することは困難を伴う作業です.鉛筆と紙を使う手計算では,まず式のおおまかな設定から始まり,次第に正確な式を導くことができます.しかし,手計算で扱える問題は単純なものに限定され,多くの異なったケースを取り扱うことは不可能です.

Mathematicaでは問題の初期設定を正確に行う必要があります.しかし,設定さえ正しく行えれば,多くの異なった計算を同時に実行することができます.つまり,特定問題に対して多数のケースの数学的実験を効果的に行うことが可能となります.また,得られた結果を吟味することにより,問題の元来の設定自体をより正確にすることも可能です.

Mathematicaでは与えられた問題に対して,通常,異なる多くの式の設定が可能です.しかし,最も直接的で単純な式の設定が,実は最良な場合がほとんどです.できるだけ初期の段階からMathematicaで問題の式の設定をすることが効果的といえます.実際,Mathematicaで直接に問題の式の設定をする方が,初めに伝統的な方法で式の設定をするよりも多くの場合効果があることが分かります.重要な点はMathematicaは伝統的な数学演算の記述をするにとどまらず,アルゴリズムや構造演算の処理もできることです.より広範囲にわたるこの可能性により,元来の問題に対して直接的に解を見出せる可能性が増大します.

プログラムを書く

より複雑な問題に対しては,多くの場合,Mathematicaプログラムの作成が必要となります.Mathematicaはさまざまなタイプのプログラミングを支援し,問題に応じて適宜選択することができます.一種類のプログラミングがすべての場合に最適ということはないので,各種のプログラミングを学ぶことが重要です.

すでにBASICCFortranPerlJava等の伝統的なプログラミング言語の知識がある場合は,Do For等を使用したMathematicaの手続き型のプログラミングの学習は容易でしょう.ほとんどすべてのMathematicaプログラムは,原則として手続き型の手法で書くことが可能ですが,これが最適なアプローチであることは非常にまれです.Mathematicaに代表される数式処理システムでは,関数型やルール型プログラミングが,通常より効果的で容易に解読できるプログラムとされています.

手続き型のプログラミングをすでに使用している場合,プログラムを他の型へ変換してみてください.関数型やルール型プログラムは初めは難しい点もありますが,次第に手続き型のプログラミングより関数型やルール型の大域構造の方が,より容易に理解できるようになります.数ヶ月,数年とMathematicaの経験を積むことにより,非手続き型プログラムで多くの問題が書けるようになります.

全体のシステムの学習

学習が進むにつれ,Mathematicaが大規模なシステムであることを想起することが必要になってきます.すべての基本原理に関する知識は徐々に得ることができますが,全機能の詳細を学ぶことは不可能です.したがって,Mathematicaの経験を十分に積んだ後でも本書を時折り参照することは非常に有益であるといえます.再読することで,以前読んだときには気付かなかった点も発見でき,経験を積むことによりその使用法も理解できるようになります.

本書の読み方

可能な限り,実際のMathematicaシステムを使いながら読んでください.例は実際にコンピュータで試してください.

Mathematicaでどんなことができるかについては, T.0を参照してください.実際のMathematicaプログラムで「ツ アーガイド」にある例を試してみるのも有益です.

Mathematicaを使用する前に,まず,第1部の最初の章(1.0から1.3)を読んでください.これらの章は,ユーザのレベルにかかわらずMathematicaを使用するときに必要な項目を記述しています.

1部の残りの章では,Mathematicaを使った異なるタイプの多数の計算方法を紹介しています.特定の問題がすでにある場合は,必要なMathematicaの機能が記述されている第1部の該当セクションを参照するだけで十分です.解法を必要とする問題に最も類似した例題を本書で見付けることが,効果的なアプローチとなるでしょう.

1部で強調している点は,さまざまな異なったタイプの計算をする際に,Mathematicaに組み込まれている基本関数を使用することです.

2部では,すべてのMathematicaに共通する基本構造と原理を扱います.特定機能の記述を連ねる代りに,より全体的なアプローチを試みています.Mathematica関数を作成しようとする場合は第2部を必ず読んでください.

3部は,高等数学への興味や知識がある上級ユーザ向けです.Mathematicaの高度な機能の議論,第1部で述べられた事項のより深い数学的議論を扱っています.

本書の各部は章と節に分かれています.2つの特殊な節があり,以下の見出しで示されます.

FilledSmallSquare 発展:初めて読むときは無視してもよい高度なトピック

FilledSmallSquare 補足:限定されたユーザまたはコンピュータに関するトピック

本書の主要な部分は,系統立てて記述され,最初から順を追って読み進められるようになっています.これに対し付録は,参考資料として使用されることを想定しています.Mathematicaにある程度親しんできたら,付録に記載されている関数一覧表が関数の詳細に関する最も有益な情報源となるでしょう.

本書での例について

本書に記載されている例は,すべてMathematicaのバージョン5を使って作成しました.このバージョンを使えば,同様に再現することができます.

ただし,以下の点を考慮してください.

FilledSmallSquare Mathematicaに十分慣れ親しむまでは,本書に記載されている式をその通りに入力してください.大文字やカッコも変更しないでください.変更可能なものとそうでないものの違いが徐々に理解できるようになりますが,使用開始直後は式を変更しないでそのまま入力することが重要です.変更を加えると,本書と同じ結果が得られない場合もあります.

FilledSmallSquare 各入力行の先頭にあるIn[n]:=はプロンプトですので,絶対に入力しないでください.このプロンプトに続くテキストだけを入力してください.

FilledSmallSquare 各ダイアログ中の行には通し番号がついていますが,本書のほとんどの節でのダイアログはそれぞれ独立しています.記載されている通りの結果を得るためには,その都度新規にMathematicaセッションを始めてください.

FilledSmallSquare 「補足」という節には特定のコンピュータシステムだけに適用される例があります.

FilledSmallSquare Mathematicaで生成する乱数は,セッションによって条件が異なるため,乱数の使用例は本書とは異なる結果となります.

FilledSmallSquare 機械精度数を使用している例のいくつかは,コンピュータシステムによっては異なる結果が出る場合があります.これは浮動小数点数を用いて演算を行うハードウェアの差異によるものです.任意精度数を使用することにより,この差異の発生を防ぐことが可能です.

FilledSmallSquare ほとんどすべての例は,Mathematicaのノートブックインターフェース上のStandardForm形式の出力となっています.テキストベースのインターフェースでは,出力は同様ですが完全に一致はしません.

FilledSmallSquare 本書に記載したほとんどの例は,コンピュータまたはターミナルが標準ASCIIキャラクタセットを使用していることを想定しています.キーボードに必要な文字が見付からない場合,またはMathematicaが本書とは異なる文字を出力した場合は,コンピュータのマニュアルを参照し,使用する文字との対応を見付ける必要があります.最もよく起こる問題はドル記号(Shift-4)が当該国の通貨記号として出力されることです.

FilledSmallSquare 本書の出力で使用したバージョンより新しいバージョンを使用した場合は,本書とは異なる出力になることもあります.

FilledSmallSquare Mathematicaツアーガイド」および第1部,第2部のほとんどの例は極めて短い時間で実行できるように設定してあります.クロックスピードが1 GHz以上のコンピュータ(2003年以降に生産されたほとんどのマシンが該当)の実行時間は,ほとんどの場合1秒以下です.実行時間が異常に長くかかる場合は,何らかの問題が生じている可能性があります.計算を中断する方法は,1.3.12を参照してください.



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