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微分方程式の分類

微分方程式には,常微分方程式,偏微分方程式,代数微分方程式という3つの基本的な種類があるが,さらに階数,直線性,次数等の属性で細かく分類できる.DSolveで使用される解法および解の性質は,解く方程式の種類に左右される.

微分方程式の「階数」とは,その方程式に含まれる導関数の最高階数のことである.

この常微分方程式の導関数の最高階数は1なので,これは一階常微分方程式である.
In[1]:=
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Out[1]=
以下は四階常微分方程式の一般解である.
In[2]:=
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Out[2]=

微分方程式が およびその導関数の一次方程式であり,導関数の係数が独立変数の関数であるとき,その方程式は線形であるという.

以下は円形振り子の動作を表す二階非線形常微分方程式である.これが非線形であるのは,Sin[y[x]]が線形関数 ではないためである.警告メッセージのSolve::ifunは,SolveJacobiAmplitudeEllipticFの逆関数)を使って についての式を求めているために表示される.
In[3]:=
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Out[4]=
解をプロットする.グラフが において不連続になっているのは,Solveで使われた逆関数のためである.
In[5]:=
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Out[5]=

極めて単純な非線形方程式の解が,陰形式でのみ求められることがある.このような場合,DSolveSolveオブジェクトを未評価のまま返す.

以下の非線形微分方程式には,陰的な解しかない.ここでメッセージSolve::tdepは無視してもよい.このエラーが生じるのは,非代数的関数(ArcTanLog)が含まれていることにより,Solveに対する明示的な式が見付けられないためである.
In[6]:=
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Out[6]=

線形常微分方程式の係数が に依存しない場合,その常微分方程式は「定数係数を持つ」という.

定数係数常微分方程式である.
In[7]:=
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Out[7]=

この方程式は同次形でもある.同次形とは,すべての項に または の導関数が含まれており,右辺がゼロであるものをいう.独立変数の関数を加えると,方程式は非同次形になる.定数係数非同次方程式の一般解は,対応する同次方程式の解に特殊積分を加えることで得られる.

ここで上記の方程式の右辺にx2を加えると,新しくできた方程式は非同次形になる.この新しい方程式の一般解は,上記の解と特殊積分の和である.
In[8]:=
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Out[8]=

常微分方程式の係数が に依存する場合,その常微分方程式は「変数係数を持つ」という. の有理関数である変数係数を持つ方程式には,簡単に分類できる特異性があるため,そのような方程式を解くために利用できる高度なアルゴリズムがある.

この方程式の係数は の有理関数である.
In[9]:=
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Out[9]=

関数と微分方程式との間には,密接な関係がある.ほとんどどのような種類の関数から始めても,その関数が満足する微分方程式を構築することが可能である.逆に,どのような微分方程式でも,その方程式の解という形式で,1つあるいは複数の関数を生成する.実際,従来の分析による特殊関数の多くは,微分方程式の解がその起源となっている.マシュー(Mathieu)関数は,そのような特殊関数のひとつである.マシューは楕円膜の振動の研究に関心を持った.この動作を描写する波動方程式の固有関数は,マシューの関数の積で与えられる.

有理係数を持つ以下の二階線形常微分方程式には,マシュー関数で与えられる一般解がある.
In[10]:=
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Out[10]=
上の解にArcCos[t]があることは,三角関数を使うともっと簡単な形式の方程式にすることができるということを示している.以下は,これらの方程式が1868年にマシューによって紹介されたときの形式である.
In[11]:=
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Out[11]=
この方程式の解の特殊な積の表面をプロットする.
In[12]:=
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Out[12]=

微分方程式の「次数」とは,その方程式に含まれる最高階数の導関数の最高ベキ数のことである.

以下は一階二次常微分方程式である.
In[13]:=
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Out[13]=
高次になると,解は一意ではなくなる.
In[14]:=
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Out[14]=

このセクションの例では,常微分方程式の分類に焦点を当てた.偏微分方程式の分類もこれと同様であるが,さらに複雑である.偏微分方程式も直線性・非直線性,階数,次数,定数係数か変数係数かで分類できる.しかし,これより大切なのは偏微分方程式が双曲線型,放物線型,楕円曲線型のいずれかを分類することである.この分類の詳細は「二階偏微分方程式」で説明する.

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