数学のダミー変数

数学の理論式を構築する際には,各種の局所化されたオブジェクト,つまり,「ダミー変数」を導入する必要がでる.ダミー変数は,モジュールや他のスコープを限定するための構成体を使うことで作成することができる.

数学のダミー変数の代表的なものに積分変数がある.形式的な積分を記述するとき,慣用の表記法では,特定名を持つある積分変数を導入する必要がある.この変数は,基本的に積分に「局所的」とされる.また,ダミー変数の名前は,任意の名前で構わないが,数式にある他の名前と競合してはならない.

ある積分を評価するための関数を定義する.
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この例の は積分変数と競合してしまう.
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これは,モジュールに対して局所化された積分変数の定義である.
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モジュールが使われたので,Mathematica は名前を自動的に変更し,競合を防ぐ.
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多くの場合,ダミー変数は局所なままにしておき,数式の他の変数に干渉しないようにしておきたい.しかし,場合によっては,同じダミー変数を違った用途で使うときに,用途間で競合しないようにすることがより重要になる.

ベクトルやテンソルの積を構築する式では,ダミー変数を繰り返し使う必要が出てくる.「和の規約」にならうと,ちょうど2回現れるベクトルやテンソルの添数には,その添数の取り得る限りの値の中で総和が取られる.繰り返し使われる添数の実際の名前は何でも構わないが,もしも,繰り返し使われる添数が2つあるならば,競合しないような名前にしておく必要がある.

繰り返し使われる添数 をダミー変数として設ける.
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モジュールは,ダミー変数の各インスタンスに対して別の名前を与える.
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数学のいろいろな場面で,固有名を持つ変数を使う必要が出てくる.例えば,方程式の解を表すときがそうである.のような方程式には, の形の解は無限に存在する.ここで, はダミー変数であり,値は整数であれば何でもよい.

Mathematica は,次の方程式を解く際にダミー変数を作る.
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次は,ダミー変数を一意的にするための方法である.
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固有のオブジェクトが必要となるもうひとつの場面は「積分定数」を表すときである.積分を行うということは,実効的に導関数に関して方程式を解くことに相当する.一般に,方程式にはいくつもの可能な解が存在し,各解は加法的な「積分定数」により他の解と異なる.標準的な Mathematica の積分関数Integrateは,常に,積分定数を付加しないで解を返すようになっている.しかし,ユーザ自身で,積分定数を導入すれば,モジュールを使い各定数を固有化しておく必要がある.

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