文献管理
EndNoteを使った文献管理 | 参考文献ライブラリの更新 |
参考文献をWolfram言語に読み込む | 引用形式の変更 |
引用のフィルタと並べ替え | BibTeX文献リストの文献管理 |
引用の挿入と削除 | 文献注釈の挿入と編集 |
Wolfram言語の文献管理機能を使うと,Wolfram言語を使って書いた研究論文に注釈や参照を付けることができる.この機能は標準的な参照データ用のBibTeX形式の他,EndNoteとも使うことができる.EndNoteはトムソン・ロイターのパワフルなシステムで,オンライン検索を実行し,何千ものさまざまな刊行物に対する引用を自動的にフォーマットする.
Wolfram言語の文献管理機能は業界標準のパワフルな研究ツールであるEndNoteでも使える.これによりノートブックで研究を進めながら,引用したり,注釈を加えたりすることができる.Wolfram言語でEndNoteを使って引用を管理するためには,EndNoteソフトウェアがインストールされ,実行されていなければならない.
論文執筆時に使用する文献データベースの作成
EndNoteはトムソン・ロイターの研究支援ツールである.EndNoteを使うことで,データを自分で入力して手動で,あるいはさまざまなオンラインライブラリを検索して自動で文献のデータベースを構築することができる.Wolfram言語用のEndNote LinkがEndNoteと連動し,EndNoteデータベースから執筆中のWolfram言語ノートブックへ参考文献が挿入できるようになる.
さまざまな出版標準に従った参考文献のフォーマット管理
EndNoteの最もパワフルな機能の一つは,3000を超えるさまざまな出版物の参考文献リストおよび引用のスタイルについての大きなデータベースも含んでいるということである.それぞれの出版物にはそれ独自の標準書式がある.Wolfram言語用のEndNote Linkを使うことで,ある出版物への投稿用にノートブックを準備することができ,また別の出版物へ投稿する際には引用と参考文献リストを簡単にフォーマットし直すことができる.
EndNote Linkとプラグインインターフェース
Wolfram言語用のEndNote Linkプラグインを使うと,Wolfram言語とEndNoteはをインターフェース接続することができる.WolframシステムのEndNote LinkプラグインはWolfram Researchのソフトウェアであり,Wolframシステムがインストールされると自動的にEndNoteプラグインディレクトリにインストールされる.プラグインはEndNoteとWolfram言語とをつなぐ役割を果たす.EndNoteが実行中ならば,挿入▶ 引用サブメニューの「参考文献」メニュー項目が利用可能になる.
EndNoteを使った検索の実行
これはEndNoteの使い方についてのチュートリアルはない.EndNoteの使い方についてはEndNoteに付属のドキュメントを参照しなければならない.ここではその最も基本的な使い方,すなわちオンライン参考文献の検索を行う.
オンラインのPubMedデータベースで,著者リストに「Sherlock」が含まれているすべての文献を検索する.Online SearchカテゴリのPubMedをクリックする.最初のAuthor Containsの隣のSearchタブの中の欄にSherlockと入力してEnterを押す.
挿入 ▶ 引用 ▶ 参考文献
Wolframシステムの引用の挿入ダイアログが現れ,EndNoteデータベースの参考文献すべてを表示する.Wolframシステムはこれらすべての文献のコピーをキャッシュに保存するので,このダイアログは2回目以降はもっと早く表示されるようになる.
引用の挿入ダイアログには,データベースに存在する参考文献すべてが表示される.しかし,指定したキーワードを持つ参考文献だけを表示させたい場合もあるだろう.この場合,引用の挿入ダイアログのフィルタ機能を使うことができる.ダイアログ上部の入力フィールドに検索したい言葉を入力して検索をクリックすると,その言葉を含む参考文献だけが表示され,参考文献のリストの中でその言葉がハイライトされる.次の例では「bile」という言葉を含む参考文献だけが表示されている.
単独の引用の挿入
Wolfram言語の文献管理機能は,テキストセル内部でのみサポートされる.引用を挿入するためには,挿入ポイントがテキストセル内にあることを確認し,リストから書誌を選んでダイアログの挿入を押す.これで引用がテキストの中に現れ,書誌の巻末の注がノートブックの最後に挿入される.
引用と書誌項目のスタイルは現在選ばれている引用形式で決められる.デフォルトスタイルは番号付きであるが,EndNoteを使っている場合は3000を超えるスタイルの中から選ぶことができる.例えば次は,上と同じ引用を Physical Review B スタイルにした場合である.
引用の自動番号付け
連続した番号を含む引用形式を使っている場合は,新しい引用を挿入すると常に番号が自動的に再計算される.既存の2つの引用の間に新しく引用を挿入すると,Wolframシステムが順になっているすべての引用番号を再計算し新しい番号が付く.引用を含むテキストを削除した場合は,引用は再計算されない.このような場合に引用番号を再調整するためには,挿入 ▶ 引用メニューから参考文献と文献注釈を再構築を使う.
複数の引用の挿入
引用の挿入ダイアログでは,選択した追加の参考文献についてCtrlキーを押さえることで一度に複数の参考文献を選ぶことができる.2つ以上の参考文献が選ばれた場合は,現在選ばれている引用形式のグループ化の決まりに従って,自動的にグループ化される.また,既存の引用のすぐ隣に引用を挿入する場合は,その形式のグループ化規則に従ってグループ化される.
Wolframシステムでノートブックを編集している間でも,EndNoteや他のデータソースに戻りもう少し調べたり,参考文献のデータベースを変更したりすることもあり得る.その後再びWolframシステムでの編集を再開する際,引用の挿入ダイアログの右上にある更新ボタンを押して新しい参考文献を表示する.更新を押すと Wolframシステム内部にある参考文献のキャッシュが削除され再構築される.
ノートブック全体の引用形式を別の雑誌や出版物のスタイルに変更する場合は,引用メニューから引用スタイルの設定/変更を選ぶ.引用形式ダイアログが現れ,EndNote(あるいはBibTeXLink)でサポートされるさまざまな引用スタイルすべてが選べるようになる.
EndNoteはデフォルトでは利用可能な形式すべての部分形式もサポートする.この部分集合はより便利で,このダイアログのパフォーマンスを向上させる.すべての形式をインストールしたい場合,EndNoteのインストール中にそのオプションがある.形式すべてをインストールした場合,ドロップダウンメニューにすべてがリストされるため,引用形式ダイアログが現れるのに数秒かかる.Wolframシステムはこのリストをキャッシュに保存するので,次にダイアログを開くときはそれほど時間はかからない.
データソースとしてのBibTeXファイルの選択
引用の挿入ダイアログの下部にあるデータソースドロップダウンメニューでBibTeXを選ぶ.ダイアログが現れ,参考文献データベースに使用する.bibファイルを選ぶよう求められる.該当する.bibファイルを選ぶと,Wolframシステムがデータベースをロードする.一旦Wolframシステムがデータベースをロードすると,引用の挿入ダイアログに参考文献が現れ,上記の例のように引用が挿入できる.
いくつかの異なるBibTeXファイルからの参考文献を使うことができる.希望の文献が現在ロードされているBibTeXの参考文献集にない場合は,Wolframシステムが参考文献リストを再構築するときにBIBTEXLINK_REPOSITORY環境変数で指定されたレポジトリを検索する.
高度なトピック:BibTeX文献リストで専門誌スタイルを使う
オプションインスペクタのノートブック設定 ▶ Private Notebook Options ▶ BibTeXTemplatesには引用と参考文献をカスタマイズするのに使うことのできるテンプレートのリストがある.それぞれのテンプレートは文字列で定義されており,引用セルおよび文献セルそれぞれのセル定義を含むあと2つの文字列が続いているテンプレートを指定する.それぞれのセルテンプレートにはBibTeX項目のタグに対応する$TAGNAME$という形式のタグが含まれている.
@Misc{elliptic,
author = {Wolfram, Stephen},
title = {Solving the Quintic with {M}athematica},
howpublished = {http://library.wolfram.com/examples/quintic/},
year = 1999
}
Cell[TextData[{“ $REFNUM$. $AUTHOR$, “,
StyleBox[“$TITLE$”, FontSlant->”Italic”],
“ $YEAR$. “,
“$HOWPUBLISHED$”}],
“$CELLSTYLE$”,
Editable->False,
TaggingRules->{ReferenceData -> “”}]
1. Wolfram, Stephen, Solving the Quintic with Mathematica 1999. http://library.wolfram.com/examples/quintic/
他の特殊タグ$REFNUM$および$CELLSTYLE$は削除してはならない.これはテンプレートがセルへと処理されノートブックに挿入されるときにWolfram言語の引用フォーマット機能により書き込まれる.
文献注釈の挿入
Wolfram言語はEndNoteやBibTeXと使えるだけでなく,文献データベースに該当するものがないような生の注釈をテキストセルに挿入することもサポートする.このモードの場合はEndNoteもBibTeXLinkも起動している必要もなければ,インストールしてある必要さえない.注釈を挿入するためには,挿入 ▶ 引用メニューから文献注釈を選ぶ.注釈を挿入ダイアログが現れる.
このダイアログの入力フィールドはテキスト,グラフィックス,タイプセット数式を含む標準のWolfram言語の入力ならどれも受け入れる.挿入を押すと,テキストの挿入ポイントに引用が挿入される.参考文献項目に似た文献注釈項目がノートブックの最後に挿入される.