Wolframシステムインターネット接続性
Wolframシステムはインターネットへのアクセスにより重要な機能を提供する.計算可能なデータを提供するほとんどのWolfram言語関数は,インターネットからデータをロードすることにより動作する.関数の中にはインターネットへのリアルタイムのアクセスを必要とするものもあれば,必要なときにインターネットにアクセスしてローカルのデータレポジトリをアップデートするものもある.また,明示的にImportを使ってURLから読み込むときやWebサービスを使うときもWolfram言語はインターネットアクセスを必要とする.Wolfram言語のドキュメントシステムもインターネットによる自動更新をサポートしている.
FinancialData等のデータ関数を呼び出すと,Wolfram言語はインターネットから必要なデータを得る.ドキュメントノートブックへのリンクをクリックしたり,CountryDataのようなデータ関数を呼び出したりすると,Wolfram言語はWolfram Researchのパクレットサーバに更新された情報があるかどうかを調べる.更新された情報がある場合には自動的にそれをダウンロードし,インストールする.ドキュメントノートブックのような小さいパクレットの場合,非常に速く行われるので,このようなことが起こっていることに気がつかないほどである.
Wolframシステムはインターネットにアクセスすると,Webブラウザのように動作するため,コンピュータからWebをブラウズすることができる場合は,Wolframシステムのインターネット接続性機能を使うことができるはずである(多少の設定が必要な場合もある).
Wolframシステムのインターネットへのアクセスを許可するというチェックボックスのチェックを外すと,Wolframシステムはインターネットを使用しなくなる.これではドキュメントのオンデマンド更新ができなくなり,データ収集関数の中には動作しなくなるものもある.
インターネット接続性の検証ボタンは,Wolframシステムがインターネットの使用に適した設定となっているかどうかを見るときに便利である.ボタンをクリックすると,数秒以内にダイアログが現れ(失敗の場合はこれより長い),成功か失敗かを報告する.検証に成功すると,Wolframシステムのインターネット機能が適切に動作するということである.失敗の場合は「接続問題のトラブルシューティング」を参照されたい.
プロキシ設定セクションでは,必要に応じてプロキシサーバを設定することができる.多くの場合Wolframシステムはシステムあるいはブラウザ用に大域的に設定されたプロキシ設定を継承することができる.これはデフォルトの設定であり,ほとんどのユーザはそのままでよいだろう.インターネットのアクセスにプロキシサーバを経由する必要がないと分かっている場合は,インターネットへの直接接続チェックボックスをクリックするとよい.また,必要に応じて手動でプロキシ設定を設定することもできる.使用する値はシステム管理者に問い合せる.ほとんどのユーザはHTTPプロキシを設定するだけでよい.
ドキュメントのアップデートを自動的に確認するチェックボックスとデータの更新を自動的に確認するチェックボックスのチェックを外すと,ドキュメントおよびデータファイルのオンデマンド更新が無効になる.これはWolframシステムの操作には干渉しないが,ドキュメントあるいはデータパクレットの更新が可能となってもダウンロードされない.
Wolfram ResearchサーバからローカルIndexを更新するというボタンを押すと,利用できるパクレットのバージョンを記述したWolfram Researchのパクレットサーバからの情報が読み込まれる.Wolframシステムはこの情報を使い,ユーザがあるリソースにアクセスしたときにその更新が利用できるかどうかを決定する.Wolframシステムはこの情報を自動的に毎週読み込むが,このボタンを使うと更新を強制することができる.CountryData,ChemicalData,WeatherData等のデータ収集関数から絶対に最新のデータを得られるようにするためには,これを使った方がよい.
Wolframシステムの起動中にインターネット接続の問題を報告するエラーメッセージあるいはダイアログが表示されたら,まず第一にヘルプメニューからアクセスできるインターネット接続性ダイアログのインターネット接続性の検証ボタンを押してみる.テストが成功するとWolframシステムは一般的なインターネット使用に対して正しく設定されていることになり,問題は別の部分(誤ったURLにアクセスを試みた等)にある.テストが失敗した場合は,以下のステップに従う.
1. 使用中のコンピュータの他のプログラムがインターネットにアクセスできるかどうかを見て,ネットワーク接続を検証する.例えば,Webブラウザを起動して,正常に動作するかどうかを見る.正常に動作しない場合は,ネットワークが利用できていない可能性がある.あるいはWolframシステムで設定できるもの以外の接続問題があるかもしれない.
2. 「プロキシ設定」の記述に従って,プロキシ設定をチェックする.
3. 「ファイアウォール設定」の記述に従って,ファイアウォール設定をチェックする.
プロキシ設定
インターネット接続の問題を引き起こす一般的なものに,プロキシ設定が誤っているというものがある.会社のネットワーク上の多くのユーザはインターネットに直接アクセスできず,インターネットへのゲートウェイのような働きをするプロキシサーバを通さなければならない.デフォルトでWolframシステムはオペレーティングシステムにプロキシ設定がある場合はその設定を使おうとする.例えばWindowsの場合,WolframシステムはIntenet Explorerに設定されたプロキシ設定を使う.Mac OS Xではプロキシ設定はネットワーク環境設定パネルで設定される.
Wolframシステムのプロキシ設定はインターネット接続性ダイアログで設定される.「インターネット接続ダイアログ」にあるようにデフォルト設定はシステムまたはブラウザのプロキシ設定を使うである.これでは動作しない場合はインターネットへの直接接続を試してみる.それでも動作しない場合は,システム管理者に連絡し,テキストフィールドに記入するプロキシ設定を聞かなければならない.Webブラウザで自由にWebが見られるなら,そのプロキシ設定ダイアログを見付け,そこで使われている値を読む.多くの場合HTTPプロキシの設定しか必要ない.
Wolframシステムがシステムまたはブラウザのプロキシ設定を使うに設定されており,ブラウザは動作するけれどWolframシステムは接続しないという場合は,システムのプロキシ設定がすべてのプロトコルに同じプロキシサーバを使うであるかどうかを調べ,そのチェックを外す.これが設定されているとWolframシステムはSOCKSプロキシを使い,使用するHTTPプロキシもSOCKSトラフィックを扱わない場合,すべてのプロトコルに同じプロキシサーバを使うは正しい設定ではない.設定の誤っているSOCKSプロキシでは非常に長いタイムアウトが生じる可能性があるので,1分の遅延後にインターネット接続性の検証ボタンを押して失敗すると,誤ったSOCKSプロキシ設定が問題だと考えられる.WolframシステムにはSOCKSプロキシは必要ないので,SOCKSホスト欄は空欄のままにしておく.しかし,手動またはすべてのプロトコルに同じプロキシサーバを使うというシステム設定により値が与えられている場合は,それでよい.
ファイアウォール設定
Wolframシステムはインターネットに接続すると,Webブラウザのように動作する.ほとんどの会社のファイアウォールはそれに干渉しない.しかし各自のマシンの「パーソナル」ファイアウォール(ZoneAlarm,Norton等.またはMicrosoft Windowsに組み込まれているもの)がある場合がある.厳密な設定が指定されていると,これらのファイアウォールはWolframシステムのインターネット使用に干渉する可能性がある.
これらの種類のファイアウォールでは通常ダイアログボックスが表示され,プログラムがインターネットを使用していることを警告するため,それを容認するか拒否するかが選べる.そのようなダイアログを見た場合,そのプログラムがWolfram言語カーネルかWolframシステムレイアウトにバンドルされているJavaランタイム環境であることを報告する.そのような要求を常に許可するようにファイアウォールを設定する.
このドキュメントの情報だけでは接続性問題を解決するのに十分ではない場合は,トラブルシューティングガイド(https://support.wolfram.com/ja/12420)を参照すること.