群論アルゴリズム

このチュートリアルでは,「置換群」で紹介されているアルゴリズム以外の,有限置換群を計算するアルゴリズムを紹介する.
剰余類の代表元
の部分群 は, の元のリストを における の剰余類と呼ばれる互いに素な部分集合に分割する.これは. はその部分集合の中の1つであり,残りは のある任意の元 に対して は積の法則)という形式である.剰余類の見分け方には,その剰余類の中で最小の元等,それぞれの剰余類の代表元を選ぶというものがある.
RightCosetRepresentative
剰余類の中で最小の群の元を計算する
標準的な剰余類の代表元の計算
2つの置換で生成した群:
この群は を210個の互いに素な剰余類に分割する:
他のどのような置換を使っても,その同伴である右剰余類の元をリストすることが可能である:
右剰余類の標準的代表元は,写像により定義された順の最小の置換になる:
剰余類の置換をリストせずに直接標準的代表元を構築する:
これが剰余類の群 における最小ランクの置換にも一致することを確かめる:
これより大きい群では,すべての置換をリストしたり順位付けしたりすることはできないが,それでもRightCosetRepresentativeは使うことができる.
2つの置換を取り,それらにより生成される群を構築する:
この群によって導かれるの剰余類の数:
この群自体に属するすべての置換では,標準的代表元は常に恒等置換である:
のランダムな置換を行う:
次はその剰余類の代表元である:
その代表元が実際に同じ剰余類に属していることを確かめる.permPermutationProduct[h,rep]となるようなもとの群における置換 h が存在すれば証明できる:
中心化群
の元 の中心化群 は, と可換である の元の部分群である.
GroupCentralizer
ある群の元の中心化群を計算する
中心化群の計算
群を取る:
置換を選ぶ:
次は群の中心化群である:
群の中のすべての交換子の直接計算による結果を検証する:
固定部分群
の点の固定部分群は,作用領域にある1つ以上の点の集合を固定する の元の部分群である.この概念は,それらの点を固定している元,あるいはそれらの点をその中で動かしている元の部分群である,固定群にまで拡張することができる.
GroupSetwiseStabilizer
点のリストの固定部分群を計算する
固定部分群の計算
再び群を取る:
以下は固定される点のリストである:
固定群の置換の作用は,リストの各元を変更するが,常にリストの他の元に変更するだけである:
元の同じリストの各点固定群と比較する.これにはリストのすべての元を固定する置換だけしか含まれていない: