どのようにWSTPは使われるか

Wolfram Symbolic Transfer Protocol (WSTP)は，プログラムがWolfram言語とやり取りできるようにするメカニズムを提供している．
■ Wolfram言語の中から外部プログラムの関数を呼び出すこと．
■ 外部プログラムからWolframシステムを呼び出すこと．
■ 新たなWolfram言語のフロントエンドを使うこと．
■ 外部プログラムとWolframシステムの間でデータを交換すること．
■ 並列に動いているWolframシステムの間でデータを交換すること．
WSTPの使い方の例
WSTPは，外部プログラムがWolfram言語とコミュニケートするための標準的なインターフェースを提供する．現在，多くの一般的なソフトウェアが，組込み，もしくは追加モジュールという方法でWSTP適合の機能を持っている．
それに加えて，ほとんどのWolframシステムにバンドルされているWSTPデベロッパーキットは，ユーザ自身でWSTP適合プログラムを作るための道具を提供している．
WSTP適合プログラムができれば，それとWolfram言語との透過的なリンクを作ることができる．
リンクは，1台のコンピュータ上でも，ネットワークの上で，基本的には両方のコンピュータが同じ種類のものでなくても大丈夫である．
■ 低水準言語で内部の繰返しを実現すること．
■ Wolfram言語の外で大きな量のデータを取り扱うこと．
■ 特別な処理のためにWolfram言語のグラフィックスや他のデータを送ること．
■ 既存のユーザインターフェースとシステムを結び付けること．
WSTP適合プログラムのいくつかの使用法
WSTP適合プログラムは，非常にシンプルなものから，かなり複雑なものまでいろいろある．最小のWSTP適合プログラムは数行の長さしかない．しかし，非常に大きくて洗練されたWSTP適合プログラムを作ることもできる．Wolframシステムのノートブックは，洗練されたWSTP適合プログラムの一例である．
■ WSTPは，プログラム間でWolfram言語の式をやり取りするためのメカニズムである．
WSTPの基本アイディア
WSTPのパワーの多くは，Wolfram言語の式を使うというところからきている．基本のアイディアは，WSTPはプログラム間でWolfram言語の式をやり取りする方法を提供し，その式はどんな形のデータも表現できる，というところにある．
■ 数の配列
■ 図形的オブジェクトの集まり
■ コマンドの列
■ テキストのストリーム
■ データベースのレコード
■ Wolframシステムノートブックのセル
WSTPの中でWolfram言語の式として表現されるデータの例
WSTPライブラリは，基本的なCデータ型を使って外部プログラムがWolfram言語の式を送ったり，受け取ったりするための関数の集まりからなっている．
WSTPデベロッパーキットは，それらの関数を外部プログラムの中で使えるようにするためのユーティリティを提供している．ユーティリティには多くの言語用のものがあるが，主としてC言語で書かれたものについて説明する．
WSTPライブラリの重要な機能のひとつは，それが完全に機種に独立であるということである．WSTPライブラリは，ユーザのコンピュータシステム上のどのようなプログラム間通信の機能でも透過的に使うことができる．