オプションと補助関数

NotationSymbolizeInfixNotationには,その動作を変更するためのいくつかのオプションがある.これらの表記法関数はすべてオプションWorkingFormおよびActionを取る.さらに,表記法パッケージは,パレットのロードに影響を及ぼすローカルオプションAutoLoadNotationPaletteを取る.また,表記法パッケージには,それまでに定義された表記法,シンボル,挿入演算子をすべてクリアする関数が含まれている.

オプション Action

オプション名
可能な値
動作
ActionCreateNotationRules表記法がシステムに入力される
RemoveNotationRules表記法がシステムから削除される
PrintNotationRules指定の表記法を定義する規則を含んでいるセルが現行ノートブックにペーストされる

Actionオプションと,その値

NotationSymbolizeInfixNotationのオプションActionは,表記法の命令文が,生成した規則に対して行う動作を決めるものである.Actionオプションのデフォルトの値はCreateNotationRulesである.この場合,生成された表記法規則がシステムに入力される.

次の式は,従来の数式表記により近い,純関数についての表記法を作成する.
これで,純関数に次の新しい表記が使われるようになった.

ActionオプションがRemoveNotationRulesに設定されると,表記法の規則はシステムから削除される.オプション値RemoveNotationRulesを表記法の命令文の中で使うことと,適切なRemoveNotationRemoveSymbolizeRemoveInfixNotation文を使うことは,同等である.

次の式は上記表記法をシステムから取り除く.
これで関数の特別な表記法は定義されていない状態になった.

オプションActionPrintNotationRulesに設定すると,表記法の命令文により生成された規則を見ることができる.MakeExpressionMakeBoxesの規則を調べると,表記法の命令文で使われている内在のボックス構造が分かるので,役立つことがある.

次の式は,指定のNotationに対応するMakeExpressionMakeBoxesの規則を表示する.

オプションWorkingForm

オプション名
可能な値
動作
WorkingFormStandardForm表記法,シンボル,挿入表記法がStandardFormで定義される
TraditionalForm表記法,シンボル,挿入表記法がTraditionalFormで定義される
Automatic表記法,シンボル,挿入表記法がDefaultOutputFormatTypeで定義される

WorkingFormオプションとその値

オプションWorkingFormNotationSymbolizeInfixNotation文が生成される「形式」や「環境」を指定するものである.WorkingFormの値は一般にStandardFormまたはTraditionalFormである.つまり,作成される表記法はどれも(それぞれ)StandardFormまたはTraditionalForm でのみ適用されるのである.しかし,WorkingFormLogicFormPhysicsForm等,定義されているどのような形式にも設定できる.

オプションWorkingFormAutomaticに設定されていると,NotationSymbolize,またはInfixNotation文は周囲のデフォルト入力および出力形式で生成される.これらのデフォルト形式はオプションインスペクタで設定することができ,デフォルト入力形式とデフォルト出力形式がどのようなものであるかを制御する.ノートブックにおけるこのオプションの現行の設定は,Options[InputNotebook[],CommonDefaultFormatTypes]を評価して見ることができる.

次の式はベクトル微積分関数DivCurl,およびラッパーVectorについてTraditionalFormの表記法を作成する.
これらの表記法は希望通り動作する.

オプションAutoLoadNotationPalette

オプション名
可能な値
動作
AutoLoadNotationPaletteTrue, undefined表記法パッケージがロードされると表記法パレットがロードされる
False表記法パッケージがロードされても表記法パレットはロードされない

オプションAutoLoadNotationPaletteとその動作

パッケージを設計しているときは,パッケージのロードの際にユーザを混乱させないように表記法パレットを隠した方がよいこともあるだろう.これは設計しているパッケージ内のブール変数AutoLoadNotationPaletteを設定することで行える.AutoLoadNotationPaletteFalseに設定されていると,表記法パッケージをロードしても表記法パレットはロードされない.値が定義されていないか,またはTrueのときは,表記法パッケージのロード時に表記法パレットもロードされる.入力形では,命令文は以下のようになる.

次は表記法パッケージのロードの際に表記法パレットがロードされないようにする文である.

関数 ClearNotations

ClearNotations[]ClearNotations[]はすべての表記法,シンボル,挿入表記法を消去する

ClearNotationsのシンタックス

一連の表記法を入力し直したいとき,または「クリーンスタート」をしたいときは,システムの中に存在する表記法,シンボル,挿入表記法をすべて消去するClearNotations[]コマンドが使える.ClearNotations[]を使っても,MakeExpressionMakeBoxesに作った他のパッケージや定義には影響しない.

表記法,シンボル,挿入表記法をすべて消去する.