固体力学モデル検証テスト
このノートブックには,固体力学の偏微分方程式(PDE)モデルが想定通りに動作することを検証するテストが含まれている.すべてのテストを実行するためにはすべてを選択を選んでShift+Enterを押す.その結果はテスト結果の検査のセクションに表示される.
これらのテストは,自分の固体力学モデルを開発する基本としても役立つ.したがって,テストは定常(時間独立)テストと過渡(時間依存)テストにグループ化されている.どちらのグループにも二次元と三次元のテストがある.
どのテストにも可視化のセクションがあり,検査のための後処理の結果を提供するが,テストに必要な部分ではない.ランタイムを節約しメモリ使用量を削減するために,可視化セクションのセルは評価不可に設定してある.これらのセルを評価可にしたい場合は,該当のセルを選び,セル ▶ セルのプロパティを選んで「評価可能」にチェックマークを付ける.
固体力学方程式は荷重下での制約を受けた物体の変位について解くために使われる.固体力学解析の一般的な理論的背景は「固体力学」に記載されている情報をご参照いただきたい.
定常テスト
このセクションには検証のための定常(時間非依存)固体力学PDEモデルの例が含まれている.
2D方程式
このセクションには2Dの定常固体力学PDEモデルの例が含まれている.
SolidMechanics-FEM-Stationary-2D-PlaneStress-0001
以下のテストは2D平面応力解析のさまざまな面を検証する.モデル領域は幅,高さ ,厚さ の切欠き梁である.左境界にはローラー拘束があり,構造は右端で固定されている.下向きの圧力 が上面に作用している.残りの境界は自由に動く.ヤング率は として,ポワソン比は として与えられる.
M. Asghar Bhatti. Fundamental Finite Element Analysis and Applications. Wiley., Page 510, Example 7.7, Notched Beam
M. Asghar Bhatti. Fundamental Finite Element Analysis and Applications. Wiley. Supplementary examples from Book web page, Page 34, Chapter 7, Notched Beam
以下のセルはランタイムと消費メモリを節約するために評価不可にしてある.これらのセルを評価するためには,セルを選んでセル ▶ セルのプロパティを選び「評価可能」をチェックする.
バッティの例はさらに進んでさまざまな応力を計算する.バッティの例は線形要素だけに基づいている.しかしWolfram言語では,高次の補間を線形要素の場合にも使用するための特別な技法,および導関数を回復する特別なアルゴリズムが使われている.したがって,Wolfram言語で計算された応力値とバッティの単純(かつ有益)な例は合致しないが,ここでは示さない.
SolidMechanics-FEM-Stationary-2D-PlaneStress-0002
次のテストは2D平面応力解析を検証し,応力を計算して解析解と比較する.もとのモデルは内部に穴の開いた無限板である.モデルのシミュレーションを行うために,領域は有限にし,左下角に4分の1の穴の開いた矩形の板の4分の1対称である.
モデル化された板は幅が ,高さも ,厚さが である.穴の半径は である.左境界には,構造が上下には動くが右には動けないようなローラー拘束がある.底には構造が左右には動くが上下には動かないようなローラー拘束がある.右側にはx方向に の圧力が働いている.残りの境界は自由に動く.ヤング率は必要ではなく が想定されており,ポワソン比は である.
D. Roylance, Mechanics of Materials, Wiley., Page 184
右側では下向きの正のx方向に1000 [Pa]の圧力が作用している.
以下のセルはランタイムと消費メモリを節約するために評価不可にしてある.これらのセルを評価するためには,セルを選んでセル ▶ セルのプロパティを選び「評価可能」をチェックする.
最後の想定された逸脱以外,解析の結果とシミュレーションの結果はほぼ一致する.解析モデルはここでモデル化しなかった無限板のためのものなので,最後の部分の逸脱は想定されている.を設定して領域を拡大すると,解の質がさらに向上する.
SolidMechanics-FEM-Stationary-2D-PlaneStress-0003
次のテストは,梁の2D平面応力解析を検証する.モデル領域は合計幅 ,高さ ,厚さ の梁である.梁は左境界で壁に固定されている.上部には下向きの圧力 が作用している.残りの境界は自由に動く.ヤング率は で与えられ,ポワソン比は である.質量密度はで与えられる.
G. Backstrom, Simple displacement and Vibration, GB Publishing, 2006, ISBN: 9-1975553-20, Page 59
以下のセルはランタイムと消費メモリを節約するために評価不可にしてある.これらのセルを評価するためには,セルを選んでセル ▶ セルのプロパティを選び「評価可能」をチェックする.
SolidMechanics-FEM-Stationary-2D-PlaneStress-0004
次のテストは梁の2D平面応力解析を検証する.モデル領域は合計幅が ,高さが ,厚さが の梁である.梁は左境界で壁に固定されている.残りの境界は自由に動く.物体には重量が作用する.ヤング率は で与えられ,ポワソン比は である.質量密度はで与えられる.
G. Backstrom, Simple displacement and Vibration, GB Publishing, 2006, ISBN: 9-1975553-20, Page 68
以下のセルはランタイムと消費メモリを節約するために評価不可にしてある.これらのセルを評価するためには,セルを選んでセル ▶ セルのプロパティを選び「評価可能」をチェックする.
SolidMechanics-FEM-Stationary-2D-PlaneStress-0005
モデル領域は合計の長さが ,高さが ,厚さが の梁である.梁は右境界で壁に固定されている.残りの境界は自由に動く.ヤング率は で与えられ,ポワソン比は である.これで梁理論に対応する.梁の中央(と固定されている端(の最大曲げ応力を求める.
S. H. Crandall, N. C. Dahl, An Introduction to the Mechanics of Solids, McGraw-Hill Book Co., Inc., New York, NY, 1959, pg. 342, problem 7.18.
以下のセルはランタイムと消費メモリを節約するために評価不可にしてある.これらのセルを評価するためには,セルを選んでセル ▶ セルのプロパティを選び「評価可能」をチェックする.
SolidMechanics-FEM-Stationary-2D-PlaneStress-0006
モデル領域は合計の長さが ,高さが ,厚さが の梁である.梁は左境界で壁に固定される.右側では曲げモーメントと押上げ力の2つの荷重テストを行う.残りの境界は自由に動く.ヤング率は で与えられ,ポワソン比は である.それぞれのテストにおいて,自由端にはたわみがあり,左端から少し離れたところの曲げ応力が求められる.
R. J. Roark, Formulas for Stress and Strain, 4th Edition, McGraw-Hill Book Co., Inc., New York, NY, 1965, pp. 104, 106.
以下のセルはランタイムと消費メモリを節約するために評価不可にしてある.これらのセルを評価するためには,セルを選んでセル ▶ セルのプロパティを選び「評価可能」をチェックする.
SolidMechanics-FEM-Stationary-2D-PlaneStress-0007
長方形板が底で固定されている.垂直ひずみがなくなり,せん断ひずみが一定であるように,左,上,右に3つの境界荷重が適用される.
G. Backstrom, Simple displacement and Vibration, GB Publishing, 2006, ISBN: 9-1975553-20, Page 56
以下のセルはランタイムと消費メモリを節約するために評価不可にしてある.これらのセルを評価するためには,セルを選んでセル ▶ セルのプロパティを選び「評価可能」をチェックする.
SolidMechanics-FEM-Stationary-2D-PlaneStrain-0001
次のテストは2D平面ひずみ解析のさまざまな面を検証する.モデル領域は,内半径 ,外半径 ,厚さ のパイプの4分の1断面である.左境界にはパイプが上下に動ける対称制約,右下にはパイプが左右に動ける2つ目の対称制約がある.パイプ内部には圧力 が作用する.残りの境界は自由に動く.ヤング率は で与えられ,ポワソン比は である.
M. Asghar Bhatti. Fundamental Finite Element Analysis and Applications. Wiley., Page 517, Example 7.9, Pressure Vessels
以下のセルはランタイムと消費メモリを節約するために評価不可にしてある.これらのセルを評価するためには,セルを選んでセル ▶ セルのプロパティを選び「評価可能」をチェックする.
3D方程式
このセクションには,3D定常固体力学PDEモデルの例が含まれている.
SolidMechanics-FEM-Stationary-3D-0001
次のテストは3D応力解析を検証する.モデル領域は長さ,幅,高さの梁である.梁は左側で壁に固定されている.右側では の力が 方向に作用している.残りの境界は自由に動く.材料としてS235鋼を使う.ヤング率は で与えられ,ポワソン比は である.
M. Brand, Grundlagen FEM mit Solidworks, Vieweg+Teuber, 2011, ISBN: 978-3-8348-1306-0, Page 7
方向で想定される伸張を与える.領域内部には応力を与える.伸張は以下で計算できる.
以下のセルはランタイムと消費メモリを節約するために評価不可にしてある.これらのセルを評価するためには,セルを選んでセル ▶ セルのプロパティを選び「評価可能」をチェックする.
SolidMechanics-FEM-Stationary-3D-0002
次のテストは3D応力解析を検証する.モデル領域は長さ,幅,高さの穴の開いた板である.穴は中央にあり,直径はである.板は左境界で壁に固定されている.右側では の力が 方向に作用している.残りの境界は自由に動く.材料としてS235鋼が使われる.ヤング率は で与えられ,ポワソン比は である.
M. Brand, Grundlagen FEM mit Solidworks, Vieweg+Teuber, 2011, ISBN: 978-3-8348-1306-0, Page 13
ここで はルックアップテーブルからの応力集中係数である.この場合,穴の半径と板の高さの半分の縦横比は以下になる.
以下のセルはランタイムと消費メモリを節約するために評価不可にしてある.これらのセルを評価するためには,セルを選んでセル ▶ セルのプロパティを選び「評価可能」をチェックする.
SolidMechanics-FEM-Stationary-3D-0003
次のテストは,適用された境界荷重を検証する.モデル領域は長さ,幅,高さの梁である.梁は左境界で壁に固定されている.右側では の力が負の 方向に作用している.残りの境界は自由に動く.材料としてS275鋼を使う.ヤング率は で与えられ,ポワソン比は である.
M. Brand, Grundlagen FEM mit Solidworks, Vieweg+Teuber, 2011, ISBN: 978-3-8348-1306-0, Page 29
ここで運動は である. は適用された力, は梁の長さである.
この例はされに進んで梁と壁の固定点における垂直応力を計算する.応力特異性があるため,数値は解析解から逸れる.与えられた参照では,解析応力値と特異点近くで数値的に計算された値を比較するために任意の点が選ばれている.これは最適なアプローチとは思えないのでこのテストは飛ばすことにする.
SolidMechanics-FEM-Stationary-3D-0004
以下のテストは分布荷重を検証する.モデル領域は長さ,幅,高さの梁である.梁は左境界で壁に固定されている.上面ではの荷重が適用され負の 方向に作用している.長さあたりの力の単位に注意する.残りの境界は自由に動く.材料としてS275鋼を使う.ヤング率は で与えられ,ポワソン比は である.
M. Brand, Grundlagen FEM mit Solidworks, Vieweg+Teuber, 2011, ISBN: 978-3-8348-1306-0, Page 32
標準的な応力モデルを使う.材料パラメータはミリメートルの単位で与えられる.
ここで運動は である. は適用される分布力, は梁の長さである.
上部ではの分布力が負の 方向に作用している.梁の長さはなので,作用している合計の力はである.
この例はされに進んで梁と壁の固定点における垂直応力を計算する.応力特異性があるため,数値は解析解から逸れる.与えられた参照では,解析応力値と特異点近くで数値的に計算された値を比較するために任意の点が選ばれている.これは最適なアプローチとは思えないのでこのテストは飛ばすことにする.
SolidMechanics-FEM-Stationary-3D-0005
次のテストはトルクの境界荷重を検証する.モデル領域は,長さ,直径の棒である.棒は左境界で壁に固定されている.右端にはのモーメントが適用される.残りの境界は自由に動く.材料としてS275鋼を使う.ヤング率は で与えられ,ポワソン比は である.
M. Brand, Grundlagen FEM mit Solidworks, Vieweg+Teuber, 2011, ISBN: 978-3-8348-1306-0, Page 35
右端にはのトルクがかかる.このトルク は表面圧力に変換しなければならない.以下から始める.
ここで はせん断応力(圧力), は半径,は断面二次モーメント[m^4]である.配置し直すと次のようになる.
SolidMechanics-FEM-Stationary-3D-0006
断面が矩形で長さが の先細のアルミ合金棒が底で固定されている.棒の自由端には軸荷重 が適用される.
C. O. Harris, Introduction to Stress Analysis, The Macmillan Co., New York, NY, 1959, pg. 237, problem 4.
固有モード解析
2D方程式
このセクションには2D固有モード固体力学PDE解析の例が含まれている.
SolidMechanics-FEM-Stationary-2D-Eigenmode-0001
次のテストは梁の2D平面応力解析を検証する.モデル領域は合計の長さが ,高さが ,厚さが の梁である.梁は左境界で壁に固定されている.残りの境界は自由に動く.ヤング率は で与えられ,ポワソン比は である.質量密度はで与えられる.
ここで はヤング率, は高さ, は幅, は質量密度, は梁の長さであり,は以下になる:
以下のセルはランタイムと消費メモリを節約するために評価不可にしてある.これらのセルを評価するためには,セルを選んでセル ▶ セルのプロパティを選び「評価可能」をチェックする.
3D方程式
このセクションには3D固有モード固体力学PDE解析の例が含まれている.
SolidMechanics-FEM-Eigenmode-3D-0001
次のテストは3D固有モード解析を検証する.モデル領域は長さ,幅,高さの梁である.梁は左境界で壁に固定されている.残りの境界は自由に動く.ヤング率は で与えられ,ポワソン比は である.質量密度は である.
ここで はヤング率, は慣性モーメント, は質量密度, は断面積, は梁の長さである. は振動形式に依存する因数であり で与えられる.
以下のセルはランタイムと消費メモリを節約するために評価不可にしてある.これらのセルを評価するためには,セルを選んでセル ▶ セルのプロパティを選び「評価可能」をチェックする.
SolidMechanics-FEM-Eigenmode-3D-0002
次のテストは3D固有モード解析を検証する.モデル領域は高さ,内半径,外半径 の円筒である.円筒は自由に動く.ヤング率は で与えられ,ポワソン比は である.質量密度は である.
F. Abassian, D.J. Dawswell, and N.C. Knowles, Free Vibration Benchmarks, vol.3, NAFEMS, Glasgow, 1987.
以下のセルはランタイムと消費メモリを節約するために評価不可にしてある.これらのセルを評価するためには,セルを選んでセル ▶ セルのプロパティを選び「評価可能」をチェックする.
テスト結果の検査
このセクションには,テストランの評価が含まれている.このためにTestResultObjectのすべてを収集し,TestReportを生成する.