オプションインスペクタ

はじめに
セルスタイル,ノートブックの外観,タイプセットに使われるパラメータ等のWolframシステムフロントエンドの要素はオプションでコントロールされている.例えばテキストの属性であるサイズ,フォント,色等は,それぞれのオプションによって設定されるものである.オプションはセルやノートブックを直接,編集することにより設定できるが,一般にオプションインスペクタを使うとより簡単に行える.
オプションインスペクタとはオプションの設定を参照したり修正したりするために設計されたツールで,すべてのフロントエンドオプションを機能ごとに分類して表示する.オプションの設定だけでなく,その影響の及ぶ範囲を「グローバル設定」,「選択されているノートブック」,「選択範囲」にいずれかに設定することができる.
オプションインスペクタを使うときは書式 オプションインスペクタを選ぶ.上部に2つのポップアップメニューが表示される.左側のポップアップメニューではオプションが影響を与える構造上のレベルを選択することができる.右側のポップアップメニューにより,オプションをカテゴリで表示する,アルファベット順に表示する,テキストのみで表示するのいずれかが選択できる.
オプションの継承関係
オプションインスペクタでは,3つのレベルでのオプションの値の設定が可能である.これらは優先順位の低いものから,次のようになる.
グローバル設定アプリケーション全体に対する設定
選択されているノートブック現在選択されているノートブックに対する設定
選択範囲セルグループ,単独のセル,セル内のテキスト等,選択した範囲に対する設定
下のレベルのオプションの設定は上位レベルから継承される.例えば,ノートブックのEditable(編集可)がTrueになっていると,そのノートブックのどのセルも編集可能になる.
ただし,オプションの値を下位レベルで明確に変更することにより,この上下関係を無視することができる.例えば,ノートブック内の特定のセルの編集を禁止したい場合は,そのセルのEditableFalseに設定する.このオプションの継承関係により,どのレベルでもオプションの設定が可能になり,フロントエンドの設定を容易にコントロールすることができる.
注意:それぞれのレベルでは設定が可能なオプションのみがオプションインスペクタで表示される.それ以外のオプションは薄い色で表示される.これは,そのレベルよりも上位か下位のレベルでないと設定できないことを意味する.
オプションの検索
特定のオプションを検索する場合,テキストフィールドにその名前をタイプし始める.するとオプションインスペクタは,まず最初にマッチするオプションを表示する.Enterを押すと,次にマッチするオプションを表示する.Macintoshでは,オプションインスペクタでマッチするオプションはすべて一度に表示される.
オプションのリストには1行ごとにオプション名とその現在の設定が表示されている.オプションの値を変更するときは,オプション設定の隣のポップアップメニューを使う.または,オプションを選んでその値をクリックし,変更する値を入力してEnterを押す.
最初にWolframシステムを起動したとき,オプションはすべてそれぞれのデフォルト値に設定されている.オプションの値を変更するたびに,値が変更されていることを示すシンボルが,オプションの隣に表示される.このシンボルをクリックすると,オプションの値がデフォルトに戻る.
オプションの設定:例
例えば,セルの周りに枠を描きたいとするす.このようなセルのプロパティを制御するオプションはCellFrame(セルフレーム)と呼ばれる.
セルの周りに枠を描く場合は,以下のようにする.

1.  セルブラケットをクリックして,セルを選択する.

2.  書式 オプションインスペクタを選択し,オプションインスペクタを開く.

3.  最初のポップアップメニューから選択範囲を選択する.

4.  セル設定 表示設定を選択する.これはノートブックの中でセルがどのように表示されるかということを示すオプションのリストである.

5.  オプションCellFrameの横の「設定値」の欄にTrueとタイプする.するとそのオプションの左側にアイコンが現れ,値が変更されたことを示す.選択したセルには枠が描かれる.

あるいは,テキストフィールドに「cellframe」または「セルフレーム」とタイプすることもできる.これによりカテゴリ検索をしなくても,直接CellFrame(セルフレーム)設定が見付かる.この方法を使うと,カテゴリがどの設定に属しているか不確かな場合にでもオプションを見付けることができ便利である.