FITS (.fits,.fit)
予備知識
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- MIMEタイプ:application/fits,image/fits
- FITS科学画像・データ形式.
- 天体データの交換およびアーカイブ保存のための標準形式.
- NASAおよびInternational Astronomical Unionによって承認された.
- FITSはFlexible Image Transport Systemの頭字語である.
- 複数のHDU(ヘッダデータユニット)を含むことができる.
- 各HDUは画像,ASCII表,バイナリデータのいずれかが可能である.
- 画像HDUは単チャンネルの2D画像の配列が保存できる.
- バイナリとASCIIの表は2Dデータのみ保存できる.
- バイナリ表の要素には多次元配列が使用できる.
- スペクトルデータとラスタ画像を配列として保存する.
- 1979年にDon Wells,Eric Greisen他によって開発された.
ImportとExport
- Import["file.fits"]は単一のHDUのファイルについては,HDUタイプに応じてFITSファイルを画像またはデータ値の配列としてインポートする.
- Import["file.fits"]はファイル内のすべてのHDUに対して<1->hdu1,… >という形式の連想を返す.
- Import["file.fits",elem]はFITSファイルから指定された要素をインポートする.
- Import["file.fits",{elem, i}]は i 番目のHDUに保存された elem を返す.
- インポート形式はImport["file","FITS"]またはImport["file",{"FITS",elem,…}]で指定できる.
- Export["file.fits",expr]は画像およびグラフィックスをそのラスタライズで画像としてFITSファイルにエキスポートする.
- Export["file.fits",expr]は文字列と数値配列を表としてFITSファイルにエキスポートする.
- Export["file.fits",1->expr1,…]は expri を i 番目のHDUにエキスポートする.
- 一般的な情報は,以下の関数ページを参照のこと.
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Import, Export ファイルからインポートする,あるいはファイルへエキスポートする CloudImport, CloudExport クラウドオブジェクトからインポートする,あるいはクラウドオブジェクトへエキスポートする ImportString, ExportString 文字列からインポートする,あるいは文字列へエキスポートする ImportByteArray, ExportByteArray バイト配列からインポートする,あるいはバイト配列へエキスポートする
Import要素
- 一般的なImport要素:
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"Elements" ファイル中の有効な要素とオプションのリスト "Summary" ファイルの概要 "Rules" 使用可能なすべての要素の規則のリスト - 構成要素:
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"HDUCount" HDUの数 "Summary" ファイルの概要 "SummarySlideView" すべてのHDUのスライドビューによる概要 - FITSファイルのすべての要素は番号付けされた連想としてインポートされ,1val1,2val2,…という形で返される.
- データ表現要素:
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"Data" 画素値または表の要素の配列 "Plaintext" 画像と表の拡張の文字列表現 "RawData" ファイルに保存されている生データ - 画像HDUに対して使用できるその他の要素:
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"Graphics" Graphicsオブジェクトで与えられるラスタ画像 "Image" Imageオブジェクトで与えられるラスタ画像 "IndeterminateMask" 画像中の不定値を表すSparseArray - バイナリおよびASCIIの表のHDUに対して使用できるその他の要素:
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"TableData" テーブル拡張の表現 "TableHeaders" 表の列のヘッダ "TableUnits" 表の列に対応する計測の単位 - ImportとExportはデフォルトで画像HDUには"Image"要素を,バイナリおよびASCII表HDUには"Data"要素を使用する.
- 以下のいずれかの形式を使って,部分データのインポートのためのサブ要素を与えることができる:
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{elem,hdu} すべての要素に対して {elem,hdu,rows,cols} 単一画像および表のHDUのデータ要素に対して {elem,hdu,spec1,spec2,…,rows,cols} より高次の画像HDUのデータ要素に対して - hdu,speci,rows,cols の部分指定は以下のいずれかが可能である:
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All すべてのHDU n n 番目のHDU n;;m n 番目から m 番目までのHDU n;;m;;s n 番目から s 刻みで m 番目まで {n1,n2,…} 特定の HDU ni - 高度な要素:
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"BitDepth" ファイルのグレーレベルの画素を表すのに使用するビット数 "Channels" ファイルで使用される色チャンネルの数 "ColorSpace" ファイルで使用される色符号化 "DataType" ファイルに画像や表のデータを保存するために使用されるデータ型 "Dimensions" データの次元 "Extension" HDU拡張のタイプ "ImageSize" 一つのフレームのラスタ次元 "Range" 生のデータ値の最小値と最大値 - 一般的なメタデータ要素:
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"MetaInformation" 処理済みメタデータ "RawMetaInformation" ファイルに保存されているメタデータ - 記録デバイスと環境についての情報:
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"Airmass" 相対気団 "Declination" 望遠鏡軸の傾斜設定 "Device" 記録手段(例:カメラ) "Equinox" ファイルで使用される天球座標系の昼夜平分時で,一般に年で与えられる "ExposureTime" 写真の露光時間(秒) "HourAngle" 画像が撮られたときの描かれたオブジェクトの時角 "ObservationDate" 観測が行われた日付と時間 "RightAscension" 望遠鏡軸の赤経設定 "SiderealTime" 恒星時(LST) "Telescope" 画像を捉えた望遠鏡 - 書誌情報要素:
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"Author" 画像情報を編集した人 "Reference" ファイルに関連付けられている書誌参照 - よく使われるその他のメタデータ要素:
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"Comments" ファイルに保存されている各データまたは画像に対するコメント "History" データまたは画像がどのように処理されてきたかについての記述 "Object" 観測オブジェクトの名前 "Observer" データまたは画像を記録した人 "Organization" ファイルの作成についての責任がある組織・機関 - メタ情報フィールド名はFITS標準に従うように,エキスポートの際にすべて大文字に変換される.
オプション
- ImportとExportのオプション:
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DataReversed Automatic 行の順番を逆にするかどうか - Importオプション:
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ColorFunction Automatic 各セルにどのように色を付けるか ImageSize Automatic 画像の全体の大きさ "Gamma" 1.0 描画に使用されるガンマ補正パラメータ "IncludeExtensions" All インポートするHDU拡張 "IncludeHeaders" False 表見出しをインポートするかどうか - Export オプション
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"Append" False 既存のファイルに追加するかどうか "CompressionMethod" None エキスポート時に使用する圧縮アルゴリズム MetaInformation None エキスポート時に追加するヘッダごとのメタ情報 - "CompressionMethod"の可能な設定には"GZIP","GZIPShuffled","Rice","HCompress","PLIO"がある.
例題
すべて開くすべて閉じるスコープ (7)
Import要素 (44)
データ表現 (17)
高度なImport要素 (6)
Export要素 (4)
Importオプション (6)
ColorFunction (1)
デフォルトでは,画像データは色関数が適用されていないImageオブジェクトとしてインポートされる: