PseudoInverse
矩形行列の擬似逆行列を求める.
詳細とオプション
- PseudoInverseは,記号的行列および数値的行列ともに機能する.
- 正方行列の場合,PseudoInverseはムーア・ペンローズ(Moore-Penrose)型逆行列を与える.
- 数値的な行列については,PseudoInverseはSingularValueDecompositionに基づく.
- PseudoInverse[m,Tolerance->t]は,最大の特異値の t 倍より小さい特異値を除去するようを指定する.
- デフォルト設定のTolerance->Automaticの場合,特異値は10-pの百倍よりも小さい場合は除去される.ただし,p はPrecision[m]である.
- 特異点のない正方行列Mについては,擬似逆行列M(-1)は標準的な逆行列と同値である.
例題
すべて開くすべて閉じる例 (5)
スコープ (10)
基本的な用法 (6)
特殊行列 (4)
構造化行列の擬似逆行列は,可能な場合は別の構造化行列として返される:
IdentityMatrix[n]はそれ自身の擬似逆行列である:
IdentityMatrix[{m,n}]の擬似逆行列は転置である:
HilbertMatrixの擬似逆行列を計算する:
オプション (1)
アプリケーション (8)
方程式の解法 (4)
PseudoInverseを使って次の方程式系を解く:
はなくなるので,SolveValuesで確認できるように解は一意である:
したがって,パラメータを設定し直して2つのパラメータを消去することができる:
このパラメータの再設定によってSolveValuesと同じ形の答が与えられる:
の最小フロベニウスノルムの解を求める.ただし, と は以下の通りである:
ベクトルの場合と同じように,一般解は で与えられる.ただし, は任意の行列である:
最小値はすべての がゼロのときに発生する.これで が最小ノルム解であることが確認される:
最小二乗と曲線のフィット (4)
行列 と続くベクトル についてを最小化するベクトル を求める:
この結果はLeastSquares[m,b]を使っても求められる:
Minimizeを使って解を確かめる:
行列 とそれに続く行列 について,を最小化する行列 を求める:
この結果はLeastSquares[m,b]を使っても求められる:
Minimizeを使って解を確かめる:
PseudoInverseを使ってデータに最もフィットする曲線が求められる.次のデータについて考える:
Fitを使って係数を確かめる:
Fitを使って係数を確かめる:
特性と関係 (14)
PseudoInverseは対合である.すなわち:
PseudoInverseはTransposeと可換である.すなわち:
Conjugateとも可換である.すなわち:
したがってConjugateTransposeとも可換である.すなわち:
PseudoInverseはムーア・ペンローズ方程式を満足する [詳細]:
MatrixRank[m]が の列数と等しければ,である:
特に,PseudoInverse[m]は m の左逆元である:
MatrixRank[m]が の行数と等しければ,である:
特に,PseudoInverse[m]は m の右逆元である:
対角行列 d について,PseudoInverse[d]は非零要素を反転させた転置である:
a が 行列でMatrixRank[a]==mなら,QRDecompositionは擬似逆行列を与える:
PseudoInverse[m]はとして計算できる.ただし, はDrazinInverseを意味する:
LeastSquaresとPseudoInverseのどちらを使っても最小二乗問題を解くことができる:
のNullSpaceに任意のベクトルを に加えると剰余が変らなくなる:
テキスト
Wolfram Research (1988), PseudoInverse, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/PseudoInverse.html (2003年に更新).
CMS
Wolfram Language. 1988. "PseudoInverse." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2003. https://reference.wolfram.com/language/ref/PseudoInverse.html.
APA
Wolfram Language. (1988). PseudoInverse. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/PseudoInverse.html