Tan

Tan[z]

z の正接を与える.

詳細

  • 記号操作・数値操作の両方に適した数学関数である.
  • Tanの引数はラジアンで与えられることを前提とする(Degreeで掛け合せることで度数から変換することができる).
  • Sin[z]/Cos[z]Tan[z]へ自動的に変換される.TrigFactorList[expr]は分割を行う.
  • Tanは引数が の整数倍であるときは自動的に評価される.更に複雑な分数倍の場合,FunctionExpandを使う必要があることもある.
  • 特別な引数の場合,Tanは,自動的に厳密値を計算する.
  • Tanは任意の数値精度で評価できる.
  • Tanは自動的にリストに縫い込まれる. »
  • TanIntervalオブジェクトおよびCenteredIntervalオブジェクトに使うことができる. »

予備知識

  • Tanは,正接関数であり,これは三角法における基本関数の一つである.Tan[x]は,対応する正弦関数と余弦関数の比として定義される.教科書的な定義では,直角三角形における角度 の正接は, の向かい側の辺の長さと角の接する底辺の長さの比である.
  • Tanは,その引数が の単純な有理倍数のときは,自動的に厳密値に評価される.より複雑な有理倍数については,FunctionExpandを使って明示的な厳密値を得ることができることがある.TrigFactorListを使ってTanを含む式を因数分解してSinCosを含む項にすることができる.度で測られた角を使って引数を指定するときは,記号Degreeを乗数として使うことができる(例:Tan[30 Degree]).引数として厳密な数式が与えられると,Tanは任意の数値精度に評価できることがある.Tanを含む記号式の操作に便利なその他の演算には,TrigToExpTrigExpandSimplifyFullSimplify等がある.
  • Tanは要素単位でリストおよび行列に縫い込まれる.個々の行列要素の正接とは対照的に,MatrixFunctionを使って,平方行列の正接(つまり,通常のベキが行列のベキで置き換えられた正接関数のベキ級数)を与えることができる.
  • Tanは,FunctionPeriodにあるように, を周期として周期的である.Tanは,恒等式を満足する.これは,ピタゴラス(Pythagorean)の定理に等しい.正接関数の定義は,定義を使って,複素数の引数 にまで拡張される.ここで は,自然対数の底である.Tanは,整数 について値 で極を持ち,これらの点で ComplexInfinityに評価される.Tan[z]は,原点付近で級数展開sum_(k=0)^infty((-1)^(k-1) 2^(2 k)(2^(2k)-1) TemplateBox[{{2,  , k}}, BernoulliB] )/((2 k)!)z^(2 k-1)を持つ.これはベルヌーイ(Bernoulli)数BernoulliBによって表すことができる.
  • Tanの逆関数は,ArcTanである.双曲線正接は,Tanhによって与えられる.他の関連する数学関数にはCot等がある.

例題

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  (6)

引数はラジアンで与えられる:

Degreeを用いて引数を度で指定する:

実数の部分集合上でプロットする:

複素数の部分集合上でプロットする:

0における級数展開:

特異点における漸近展開:

スコープ  (46)

数値評価  (6)

数値的に評価する:

高精度で評価する:

出力の精度は入力の精度に従う:

Tanは複素数を入力として取る:

Tanを高精度で効率よく評価する:

自動縫込みを使って配列の要素ごとの値を計算する:

MatrixFunctionを使って行列のTan関数を計算することもできる:

IntervalオブジェクトとCenteredIntervalオブジェクトを使って最悪の場合に保証される区間を計算する:

Aroundを使って平均的な場合の統計区間を計算することもできる:

特定の値  (5)

固定点におけるTanの値:

無限大における値:

Tanの零点:

Solveを使って零点を1つ求める:

結果を代入する:

結果を可視化する:

Tanの特異点:

簡単な厳密値は自動的に生成される:

より複雑な場合はFunctionExpandを明示的に使う必要がある:

可視化  (3)

Tan関数をプロットする:

の実部をプロットする:

の虚部をプロットする:

の極プロット:

関数の特性  (13)

Tanの実領域:

複素領域:

Tanはすべての実数値に達する:

Tanは周期 の周期関数である:

Tanは奇関数である:

Tanは鏡特性tan(TemplateBox[{z}, Conjugate])=TemplateBox[{{tan, (, z, )}}, Conjugate]を有する:

Tanは解析関数ではない:

しかし,有理型である:

Tanは特定の値域で単調である:

Tanは単射ではない:

Tanは全射である:

Tanは非負でも非正でもない:

π/2の倍数の点に特異点と不連続点の両方を持つ:

Tanは凸でも凹でもない:

TraditionalFormによる表示:

微分  (3)

一次導関数:

高次導関数:

次導関数の式:

積分  (3)

Tanの不定積分:

周期上のTanの定積分は0である:

その他の積分例:

級数展開  (3)

テイラー(Taylor)展開:

の周りのTanの最初の3つの近似をプロットする:

Tanの級数展開の一般項:

Tanはベキ級数に適用できる:

関数の恒等式と簡約  (6)

倍角のTan

総和のTan

マルチアングルの式を変換する:

三角関数の総和を積に変換する:

実変数 および を仮定して展開する:

複素指数に変換する:

関数表現  (4)

Cotを介して表現する:

ヤコビ関数を介した表現:

SphericalHarmonicYを介した表現:

マシュー(Mathieu)関数を介した表現:

アプリケーション  (4)

複素引数平面上にプロットを生成する:

移動する特異値を持つ微分方程式の解:

正接関数は等角的に放物線を単位円板にマップする:

獲物が線に沿って2分の1の速さで移動している捕食動物の基準座標系内の追跡曲線:

特性と関係  (13)

正接関数の基本的なパリティと周期性の性質は自動的に適用される:

TrigFactorListを用いてTanSinCosに因数分解する:

三角関数を含む複雑な式は自動的には簡約されない:

パラメータを仮定して簡約する:

逆関数を用いて構築する:

1ラジアンは度である:

三角方程式を解く:

ゼロと極について解く:

超越方程式の根を数値的に求める:

積分:

Tanは多くの数学関数の特殊形に現れる:

剰余を記号的・数値的に計算する:

Tanは数値関数である:

考えられる問題  (4)

機械精度の入力では正解を出すのに不十分である:

厳密な入力を使うと,正しい答が得られる:

$MaxExtraPrecisionの設定値を大きくする必要がある:

出力精度は入力精度よりはるかに低くなることがある:

TraditionalFormでは引数の周りにカッコが必要である:

おもしろい例題  (7)

整数点でTanをプロットする:

連分数は極めて規則的である:

Wolfram Research (1988), Tan, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/Tan.html (2021年に更新).

テキスト

Wolfram Research (1988), Tan, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/Tan.html (2021年に更新).

CMS

Wolfram Language. 1988. "Tan." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2021. https://reference.wolfram.com/language/ref/Tan.html.

APA

Wolfram Language. (1988). Tan. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/Tan.html

BibTeX

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