WolframNB

名前

WolframNB Wolfram言語ノートブックのインターフェースを始める

概要

WolframNB

WolframNB file

説明

WolframNBは,オペレーティングシステムのグラフィカル環境内のWolfram言語のノートブックインターフェース(通常フロントエンドを呼ばれる)を開始する.ノートブックインターフェースは,計算を行うためにWSTPを通してカーネルを呼び出し,動的なインタラクティブ性と拡張されたグラフィックス機能を提供する.通常は目に見えるノートブックを開いてWolfram言語カーネルを開始するが,すでに実行されているカーネルに対して目に見えない形でサービスで操作されることもある.WolframNBは,Wolfram言語のノートブック(.nb),パッケージ (.wl),スクリプト(.wls)のファイルを編集することができる.

オプション

起動とユーティリティのオプション

-cleanStart 保存されたキャッシュを無視して,ノートブックインターフェースの環境設定ファイルをデフォルトに戻す.

-h | --help 短いヘルプメッセージを標準出力に表示して終了する.

-preferencesDirectory dir $UserBaseDirectorydir に初期化する.

-pwfile file ライセンスパスワードを file から読み取る.

-topDirectory dir $InstallationDirectorydir に初期化する.

実行モードオプション

-nogui 起動時に目に見えるウィンドウやユーザインターフェース要素を表示しない.

-server サーバモードで実行する.これはユーザのインタラクションを無効にし,すべてのウィンドウを目に見えないものにする.

-wstp WSTPを通してのみ交信する.

Linux特定のオプション

-v | --version 現行バージョンを標準出力に表示して終了する.

--platform plat Qtプラットフォームの抽象化のプラグインを指定する.

-nosplash | --noSplashScreen 起動時にスプラッシュ画面が表示されないようにする.

-mesa 組込みのソフトウェアの3Dレンダラをシステムのデフォルトの代りに使う.

-sl | --singlelaunch 表示ごとに1つのフロントエンドのみを使用できるようにする.

--stylesheet s メニューとダイアログに使用されるQtスタイルシートを指定する.

Windows特定のオプション

Windowsではオプションは,Unixのようなオペレーティングシステムでよくあるような単一のダッシュ(-)を先頭に付ける形か,Windowsでよく使われるフォワードスラッシュ (/)を先頭に付ける形で指定することができる.

-gpu | -preferredgpu gpu 大域オプションPreferredGPUの値を gpu に初期化する.

-nosplash | -noSplashScreen 起動時にスプラッシュ画面が表示されないようにする.

詳細

起動とシャットダウン

フロントエンドは,環境変数WOLFRAMNB_INITの値を読み取り,その値を任意のコマンドライン引数に付加する.

オプション-preferencesDirectory dir が与えられた場合には,環境変数WOLFRAM_USERBASEのどの値もオーバーライドする.

Linuxでは,-sl (--singlelaunch)の最初の使用がフロントエンドのインスタンスを設定して,後続する WolframNB -sl file への呼出しからファイルを開く.WolframNB-slなしで呼び出された場合には,-sl付きで呼び出された前のインスタンスがまだ実行されている場合でも,フロントエンドの新しいインスタンスが開始される.

macOSでは,コマンドラインでWolframNBを呼び出すと,別のインスタンスが実行されているかどうかに関わらず,常にフロントエンドの新しいインスタンスが開く.

Windowsでは,WolframNB file を呼び出すと,フロントエンドの互換性のあるインスタンスがすでに実行されている場合にはファイルを開き,それ以外の場合には新しいインスタンスでファイルを開く.ファイルと一緒にWolframNBを呼び出すと,通常フロントエンドの新しいインスタンスが開く.

パスワードファイルが-pwfileを使って指定される場合には,そのパスワードがまず試される.有効なパスワードが見付からない場合には,標準的なシステムの場所にあるパスワードファイルが試される.

実行モード

-wstpが与えられるときには,WSOpenArgcArgvによって理解される任意の一般的なWSTPオプションもコマンドラインで与えられることができる.

-noguiが与えられるときには,ウィンドウもユーザインターフェースも最初は見えない.Windowsでは,システムトレイ内のアイコンでWolframNB が実行中であることが示され,それを終了することができる.macOSでは,アプリケーションんは背景で開かれるが,ドックで見えるので,通常のようにアクティブにすることができる.一旦ウィンドウが開かれると,ユーザは普通にインタラクトすることができる.このオプションは,追加の乱雑さを最小限にして前景でファイルを開くために他のプログラムでも一般的に使われるものである.

-serverが与えられるときには,すべての操作が目に見えないウィンドウで行われ,ユーザインタラクションは不可能である.メニューやその他のユーザインターフェースは表示されない.macOSでは,このアプリケーションは背景のタスクであり,ドックに表示されない.サーバモードで起動されたときには,通常フロントエンドはカーネルをまったく起動しない.スタンドアロンのカーネルはWolframNB.を呼び出す必要がある場合には自動的にこのオプションを使用するので,このオプションは通常明示的に与える必要はない.

Linux特定のオプション

デフォルトでノートブックフロントエンドは環境変数XDG_SESSION_TYPEと相談して,X Window SystemとWaylandのどちらかを選ぶ.-platform xcbを使うとX Window Systemの使用が強制され,-platform waylandを使うとWaylandの使用が強制される.フロントエンドをサーバモードで実行しているときは,-platform offscreenを指定することによって,どのウィンドウシステムも使わずに実行する方がよいこともある.

WolramNBは通常,ソフトウェアベースのOpenGL 3Dレンダリングエンジンとハードウェアベースのエンジンの両方を物理GPUの OpenGLドライバを使って初期化する.-mesaオプションを使うと,WolframNB はソフトウェアベースのエンジンのみを初期化する.

Windows特定のオプション

Windowsではオプションは,Unixのようなオペレーティングシステムでよくあるようなダッシュ(-)を先頭に付ける形か,Windowsでよく使われるフォワードスラッシュ (/)を先頭に付ける形で指定することができる.

/preferredGPU Softwareを使うと,WolframNBはWindowsの組込みのアダプタを使うようになる.

例題

基本の使用

ノートブックインターフェース,つまりフロントエンドを起動する:

$ WolframNB

ノートブックをフロントエンドで開く:

$ WolframNB file.nb

起動とユーティリティのオプション

一時的な$UserBaseDirectoryを例えば問題のデバッグのために使って,フロントエンドを起動する:

$ WolframNB -preferencesDirectory /tmp/clean_userbase

フロントエンドの環境設定すべてとキャッシュされたデータを削除する:

$ WolframNB -cleanStart

プラットフォーム特定のオプション

フロントエンドを起動し,Linux上のウィンドウシステムがX11となるデフォルトをオーバーライドする:

$ WolframNB --platform xcb

フロントエンドの中心となるインスタンスを起動してから,実行中のインスタンスでノートブックを開く:

$ WolframNB --singleLaunch
$ WolframNB --singleLaunch file.nb

Linuxの現行フロントエンドのバージョンを取得して終了する:

$ WolframNB --version
14.1

WindowsあるいはLinuxで,スプラッシュ画面を表示せずにフロントエンドを起動する:

$ WolframNB -nosplash

オプションの長い名前を使って,Linux上で同じことを行う:

$ WolframNB --noSplashScreen

Windowsのオプション名に関する慣例を使って,Windows上で同じことを行う:

> WolframNB /noSplashScreen

物理グラフィックスカードの代りに,Windowsの組込みのフォールバックのアダプタを表示に使う.

> WolframNB /preferredGPU Software

ファイル

ユーザの初期化ファイルの場所:

  • $BaseDirectory/Kernel/init.m
    $UserBaseDirectory/Kernel/init.m
  • パスワードファイルの場所:

  • $BaseDirectory/Licensing/mathpass
    $UserBaseDirectory/Licensing/mathpass
    $InstallationDirectory/Configuration/Licensing/mathpass
  • WOLFRAM言語の変数

    $FrontEnd カーネルが接続されているWolframNBプロセスの記号的表現.

    $FrontEndSession 現行のフロントエンドセッションの記号的表現.

    環境変数

    WOLFRAMNB_INIT WolframNBの各呼出しに付加する追加の引数.

    WOLFRAM_BASE $BaseDirectoryの値に使うパス.

    WOLFRAM_USERBASE $UserBaseDirectoryの値に使うパス.