MinLimit

MinLimit[f,xx*]

最小極限xx*f(x)を与える.

MinLimit[f,{x1,,xn}]

ネストした最小極限 f (x1,,xn)を与える.

MinLimit[f,{x1,,xn}{,,}]

多変量最小極限f (x1,,xn)を与える.

詳細とオプション

  • MinLimitは,下極限としても知られている.
  • MinLimitは,極限の最大の下界を計算し,常に実数値関数について定義される.収束条件や実際に極限が存在するかどうかに依存しないその他の漸近的特性を与えるためにしばしば使われる.
  • 最小極値は,記号mlimまたは\[MinLimit]で入力)を真下付き文字あるいは下付き文字と一緒に使って次のように入力する.
  • fデフォルト方向への最小極限
    f上からの最小極限
    f下からの最小極限
    f複素平面上の最小極限
    fMinLimit[f,{x1,,xn}]
  • 有限極限点 x*{,,}について
  • MinLimit[f,xx*]f* TemplateBox[{{min, (, epsilon, )}, epsilon, 0, +, {Direction, ->, {-, 1}}}, LimitWithSuperscript, DisplayFunction -> ({Sequence[{Sequence["lim"], _, DocumentationBuild`Utils`Private`Parenth[{#2, ->, {#3, ^, DocumentationBuild`Utils`Private`Parenth[#4]}}, LimitsPositioning -> True]}], #1} & ), InterpretationFunction -> ({Limit, [, {#1, ,, {#2, ->, #3}, ,, #5}, ]} & )]=f^*
    MinLimit[f,{x1,,xn}{,,}]f* TemplateBox[{{min, (, epsilon, )}, epsilon, 0, +, {Direction, ->, {-, 1}}}, LimitWithSuperscript, DisplayFunction -> ({Sequence[{Sequence["lim"], _, DocumentationBuild`Utils`Private`Parenth[{#2, ->, {#3, ^, DocumentationBuild`Utils`Private`Parenth[#4]}}, LimitsPositioning -> True]}], #1} & ), InterpretationFunction -> ({Limit, [, {#1, ,, {#2, ->, #3}, ,, #5}, ]} & )]=f^*
  • この定義は,1変量の f[x]についてはmin[ϵ]MinValue[{f[x],0<TemplateBox[{{x, -, {x, ^, *}}}, Abs]<ϵ},x],多変量の f[x1,,xn]についてはmin[ϵ]MinValue[{f[x1,,xn],0<TemplateBox[{{{, {{{x, _, {(, 1, )}}, -, {x, _, {(, 1, )}, ^, *}}, ,, ..., ,, {{x, _, n}, -, {x, _, {(, n, )}, ^, *}}}, }}}, Norm]<ϵ},{x1,,xn}]の最大包絡線が使われる.関数min[ϵ]ϵ0のとき単調増加なので常に極限を持つ.この極限は±である場合もある.
  • 次の図ではmin[TemplateBox[{{x, -, {x, ^, *}}}, Abs]]min[]が青くなっている.
  • 無限極限点 x*については,1変量の f についてはmin[ω]MinValue[{f[x],x>ω},x],多変量の f についてはmin[ω]MinValue[{f[x1,,xn],x1>ωxn>ω},{x1,,xn}]の最小包絡線が使われる.関数min[ω]ω のとき単調増加なので,常に極限を持つ.
  • 次の図ではmin[x]min[Min[x1,x2]]が青くなっている.
  • 最小極限が求まらなかったとき,MinLimitは未評価で返される.
  • 次は使用可能なオプションである.
  • Assumptions$Assumptionsパラメータについての仮定
    DirectionReals極限点に近付く方向
    GenerateConditionsAutomaticパラメータについての条件を生成するかどうか
    MethodAutomatic使用するメソッド
    PerformanceGoal"Quality"パフォーマンスのどの面について最適化するか
  • 次はDirectionの可能な設定である.
  • Reals または "TwoSided"両実数方向から
    "FromAbove" または -1上から,つまりより大きい値から
    "FromBelow" または +1下から,つまりより小さい値から
    Complexesすべての複素方向から
    Exp[ θ] の方向
    {dir1,,dirn}方向 diriを変数 xiに独立で使う
  • x*におけるDirectionExp[ θ]は曲線の接線が極限点 x*に近付く方向を示している.
  • 次はGenerateConditionsの可能な設定値である.
  • Automatic一般的ではない条件のみ
    Trueすべての条件
    False条件なし
    None条件が必要な場合は未評価で返す
  • PerformanceGoalの可能な設定には,$PerformanceGoal"Quality""Speed"がある."Quality"設定のとき,MinLimitは,一般に,より多くの問題を解いたりより簡単な結果を生成したりするが,より多くの時間とメモリが必要になる可能性がある.

例題

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  (3)

無限大における最小極限:

この関数はどんどん-1に近付くが,これに接することはない:

無限最小極限:

不連続点近くで任意に小さい値になる:

上からの最小極限:

下からの最小極限:

両側最小極限は2つのうちの小さい方である:

スコープ  (35)

基本的な用法  (5)

ある点における最小極限を求める:

記号的な点における最小極限を求める:

-Infinityにおける最小極限を求める:

まず ,次に のときのネストした最小極限:

まず ,次に のときのネストした最小極限:

のときの多変量最小極限を計算する:

極限のタイプセット  (4)

mlimを使って 記号を入力し,を使って真下付き文字を作る:

上付き文字のまたはを極限点に付けることで,上からまたは下からの極限を取る:

0をタイプした後で,を使って真上付き文字を作る:

RealsあるいはComplexesの方向を指定するときは,記号の真下付き文字として定義域を入力する:

->で規則を入力し,で真下付き文字を作り,realsとタイプしてを入力する:

TraditionalFormによる表示:

初等関数  (10)

多項式:

特異点における有理関数:

±Infinityにおける有理関数:

代数関数:

特異点における三角関数:

±Infinityにおける三角関数:

逆三角関数:

指数関数:

関数のとき のいかなるベキ乗よりも速く減衰する:

これとは逆に,はどの のベキ乗よりも速く発散するが,積の符号は の偶奇性に依存する:

代表的な関数を表示する:

対数関数:

区分関数  (5)

不連続区分関数:

左連続区分関数:

両側最小極限は2つのうちの小さい方である:

UnitStepは,事実上,右連続区分関数である:

RealSignは,事実上,不連続区分関数である:

TemplateBox[{0}, RealSign]はどちらの値にも関係していない点に注意のこと:

x が整数値に近付くときのFloorの最小極限を求める:

特殊関数  (4)

Gammaを含む最小極限:

ベッセル型の関数を含む最小極限:

指数積分を含む最小極限:

非正の各偶数で,Gammaは片側からに発散する:

ネストした最小極限  (3)

まず ,次に のときのネストした最小極限を計算する:

2つのMinLimit式を計算しても同じ結果が得られる:

まず ,次に のときの最小極限を計算すると,違う答になる:

これもまた,2つのネストした最小極限に等しい:

まず ,次に のときのネストした最小極限はである:

まず ,次に のネストした最小極限は である:

原点における二変数関数について考える:

まず ,次に のときの反復最小極限はである:

まず ,次に のときの反復最小極限はである:

がほとんど と相殺し合う点で任意に小さい値が与えられるので,真の二変量最大極限はである:

例えば,曲線 に沿って次の値に近付くことができる:

計算済みの2本の軸に沿ってこの関数と値を可視化する:

多変量最小極限  (4)

多変量関数の最小極限を求める:

この2つのネストした最小極限は,違う答を与える:

曲線 に沿って原点に近付くと3番目の結果が与えられる:

軸に沿って到達するこの関数の真の二次元最小極限はである:

原点付近の最小値および最大値を可視化する:

二変量関数の最小極限を求める:

この関数の真の二次元最小極限はである:

どちらの反復極限もこの結果は与えない点に注意のこと:

実際,この関数は に沿って一定である:

最小値には,のような に近付く曲線に沿って達することができる:

この関数と計算された3つの最小極限を可視化する:

原点における二変量関数の最小極限を求める:

原点における真の二次元最小極限はである:

この関数を極座標を使って表現し直す:

極表現は有界で,で消失し,Sinの最小極限を残す:

三変量関数の最小極限を計算する:

原点における最小極限はである:

さまざまな反復最小極限が0である点に注意のこと:

これは,最小値には線 および に沿って達するからである:

最小極限は球座標への変換として理解することもできる:

この関数を可視化する:

オプション  (10)

Assumptions  (1)

Assumptionsを使ってパラメータについての条件を指定する:

仮定によって結果が異なる:

Direction  (5)

下からの最小極限:

同様に:

上からの最小極限:

同様に:

デフォルトの方向はRealsである:

"TwoSided"Realsに等しい:

複素平面における最小極限:

実数上の極限と比較する:

分枝切断線における最小極限:

異なる象限から接近する二変量最小極限を計算する:

第1象限から原点に接近する:

同様に:

第2象限から原点に接近する:

左半平面から原点に接近する:

下半平面から原点に接近する:

この関数を可視化する:

GenerateConditions  (3)

条件を述べずに結果を返す:

この結果は n>0のときにのみ有効である:

結果がパラメータの値に依存する場合には,未評価で返す:

デフォルトで,一意的な結果が返されるような条件が生成される:

デフォルトで,特別な値が結果を無効にする場合にのみ条件は生成されない:

GenerateConditions->Trueのときは,これらの一般的ではない条件さえも報告される:

PerformanceGoal  (1)

PerformanceGoalを使って,高くつく可能性がある計算を回避する:

デフォルト設定では,使用可能なすべてのテクニックを使って結果を出そうとする:

アプリケーション  (12)

最小極限の幾何学  (3)

関数 で最小極限を持つ:

このことは,のときに である数列 (例えば )がなければならないことを意味する:

数値的には,極めて速く かつ になる:

2つの数列極限を厳密に計算する:

この数列は, それ自身が のときに極限を持たなくても存在する点に注意のこと:

関数 に近付くときに極限0を持つ:

したがって,この最小極限は0である:

の周りの徐々に小さくなる領域では, は徐々に平らになりグラフの中で の上になる部分が多くなる:

関数 に近付くときに極限を持たない:

しかし,その最小極限はである:

の周りの徐々に小さくなる領域では, は激しく振動するが,はどんどんそのよい床になる:

漸近線の解析  (2)

_(x->_(TemplateBox[{}, Reals])a)TemplateBox[{{{(, {f, (, x, )}, )}, /, {(, {g, (, x, )}, )}}}, Abs]>0のとき,関数 a における「big-omega of 」(と書く)と言われる:

例えば,である:

しかしではない:

陳述 は常に真である:

かつ なら である:

関数がどちらの関係も共有しないこともある:

したがって,は関数の反射的半順序である:

よりもゆっくり0に近付くなら である:

臨界に近付く質量バネ系の動作を求める:

動作は振動していて,任意に負になり,不安定さを示している:

この系に超過減衰を加える:

振動動作は有界で,徐々に+/-(TemplateBox[{alpha}, RealAbs])/betasqrt(k/m)に制限される.これは安定性を示している:

連続性  (4)

TemplateBox[{{f, (, x, )}, x, a}, MinLimit2Arg]>=f(a)なら,関数は において下半連続である.SawtoothWaveにおいて上半連続である:

関数を可視化する:

一方,RealSignは原点において下半連続ではない:

関数を可視化する:

次の関数について考える:

この関数は原点において下半連続である:

これは,fが原点で左側極限も右側極限も持たないにもかかわらず,である:

fMinLimitは0におけるfの値に依存しないので,未満の任意の値でもf が下半連続になる点に注意のこと:

fを可視化する:

TemplateBox[{{f, (, x, )}, x, a}, MaxLimit2Arg]<=f(a)なら,関数は において上半連続である.実数値関数は,上半連続かつ下半連続のときかつそのときに限り連続関数である.UnitStepにおいて上半連続である:

しかし,これは上半連続ではないので原点で不連続である:

一方,以下はTriangleWaveが原点で連続であることを示している:

2つの関数を可視化する:

Ceilingは不連続であるがすべての整数において下半連続である:

一方,Floorは連続でもすべての整数において下半連続でもない:

どちらも非整数値では連続であるが,Ceilingだけがすべてのについて下半連続である:

微分  (3)

左下ディニ(Dini)微分 は次のように定義される:

右下ディニ微分 も同様に定義される:

Rampは実線全体の上に有限下ディニ微分を持つ:

これらの2つの微分は原点以外あらゆるところで等しいことに注意のこと:

これは,Rampは原点以外のあらゆるところで微分可能であることを反映している:

次の関数について考える:

この関数は原点で連続である:

しかし,左微分で右微分でもない:

しかし,有限ディニ微分は持つ:

このことは,0の周りの関数の減少が有界であることを示している:

左ディニ微分は2つある.最初のものは左下ディニ微分 で,次のように定義される:

右下ディニ微分 は,同様に,最大極限を使って定義される:

は,におけるRampと同じように,2つが等しく有限であるときかつそのときに限り, で左微分可能である:

しかし,関数 は原点に左微分を持たない:

特性と関係  (13)

実数値関数は常に(多分無限の)最小極限を持つ:

対応する極限は存在しないかもしれない:

正の乗法定数は最小極限の外に出すことができる:

のとき有限最小極限を持つなら,TemplateBox[{{(, {f, +, g}, )}, x, a}, MinLimit2Arg]>=TemplateBox[{f, x, a}, MinLimit2Arg]+TemplateBox[{g, x, a}, MinLimit2Arg]

この場合は,厳密な不等性がある:

Assumptionsは最小極限式でパラメータに適用される:

Directionは極限変数に条件を置く:

ネストした最小極限を計算するときは,適切な仮定が後ろの極限変数に対して生成される:

次と比較する:

実数値関数については,Limitが存在するならMinLimitは同じ値を持つ:

のとき が有限極限を持つならTemplateBox[{{(, {f, +, g}, )}, x, a}, MinLimit2Arg]=TemplateBox[{f, x, a}, MinLimit2Arg]+TemplateBox[{g, x, a}, MinLimit2Arg] である:

MinLimitは常にMaxLimit以下である:

MinLimitMaxLimitが等しいときは,共通値に等しい極限が存在する:

最大極限がのとき,最大極限と極限もまたである:

MinLimit-MaxLimit[-f,]として計算することができる:

のとき なら,TemplateBox[{{g, (, x, )}, x, a}, MinLimit2Arg]>=TemplateBox[{{f, (, x, )}, x, a}, MaxLimit2Arg]>=TemplateBox[{{f, (, x, )}, x, a}, MinLimit2Arg]である:

例のように2つの最小極限が等しいとき,f のとき極限を持つ:

これは,はさみうちの定理 (またはサンドイッチ定理)の一般化である:

MinLimitは常にDiscreteMinLimit以下である:

考えられる問題  (1)

MinLimitは実数値関数に対してしか定義されない:

おもしろい例題  (1)

最小極限の集合を可視化する:

Wolfram Research (2017), MinLimit, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/MinLimit.html.

テキスト

Wolfram Research (2017), MinLimit, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/MinLimit.html.

CMS

Wolfram Language. 2017. "MinLimit." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. https://reference.wolfram.com/language/ref/MinLimit.html.

APA

Wolfram Language. (2017). MinLimit. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/MinLimit.html

BibTeX

@misc{reference.wolfram_2024_minlimit, author="Wolfram Research", title="{MinLimit}", year="2017", howpublished="\url{https://reference.wolfram.com/language/ref/MinLimit.html}", note=[Accessed: 07-November-2024 ]}

BibLaTeX

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