ノートブックにおける入出力

ギリシャ文字の入力
α をクリック
特殊文字パレットのボタン操作
\[Alpha]
完全名を入力する
EscaEsc
または
EscalphaEsc
標準的なエイリアスを使う(以下ではEscaEscとして表す)
Esc\alphaEsc
TeXエイリアスを使う
EscαEsc
HTMLエイリアスを使う
ノートブックにおけるギリシャ文字の入力法(注:α の入力を例とした.入力はすべて半角文字)
標準的なギリシャ文字はパレットで入力できる.パレット 特殊文字メニュー項目で開く:

1.gif

キーボードでタイプすることで得られる普通のローマ字のように,ギリシャ文字を使うこともできる:
いくつかの方法でギリシャ文字を入力することができる.ここでは,完全名を記述することで入力を行った:
一般的なギリシャ文字の完全名とエイリアス.TeX形式のエイリアスは掲載していない
は,Pi(円周率)を意味する.他のギリシャ文字は,特別な数学的意味を持たない.
Pi(円周率)として解釈される:
ギリシャ文字だけを使ってもよいし,また他の文字と組み合せて使ってもよい:
この例のように が文字列の一部として使われているときは,円周率 としての意味は持たない:
二次元表示記号の入力
テキストx^yが入力されると,Wolfram言語はそれをxy乗のベキ数として解釈する:
ノートブック型インターフェースでは,二次元表示記号の入力法を使うことでxyを直接入力することができる.同入力は,Wolfram言語によりベキ乗として解釈される:
xyのような,二次元的な表示形を持つ記号をWolframシステムノートブックに入力するひとつの方法として,パレットの適当なボタンをクリックして,この形式をペーストするというものがある.
よく使われる二次元式の数学記号を入力するためには,パレット 基本数学アシスタントパレットを使うことができる:

9.gif

パレットの他にも,キーボードを使った二次元式の直接的な入力法がいくつか用意されている.
x Ctrl+^ y Ctrl+Space
Controlキー使用(英語キーボードで有効)
x Ctrl+6 y Ctrl+Space
Controlキー使用(すべてのキーボードで有効)
キーボードを使った上付き文字の入力
Ctrl+^は,Controlキーを押しながら^キーを押す操作を示す.このキー操作を行うと,カーソルが上付き文字の位置に移動し,入力待ち状態になる.何かを入力すると,それが上付き文字として表示される.
上付き文字の入力が終ったら,Ctrl+Spaceを押し通常の行位置に戻る.Ctrl+SpaceControlキーを押しながらSpaceバーを押す操作を示す.
このキーボード操作を行うと,xyが記述できる:
y+zは,上付き位置に挿入される:
Ctrl+Spaceを押すと,通常の行位置に戻ることができる:
上付き位置に移動させるCtrl+^のキー操作は,Ctrl+^が通常使われるハット(^)より直接的な入力手段ととらえると覚えやすいかもしれない.x^yとタイプしたなら,入力位置は通常の行位置のままだが,x Ctrl+^ yとタイプすると,yは直接上付き位置に挿入される.
標準的な英語キーボードにおいて,ハット記号(^)は,Shiftキーを押しながら数字6のキーを押すことで入力することができる.このキー配置のため,Wolfram言語ではCtrl+^の代替キーとしてCtrl+6が使えるようになっている.このため,ハット記号が数字6のキーのシフト位置にない英語以外のキーボードでは,Ctrl+^は機能しないだろうが,Ctrl+6は使えるはずである.
x Ctrl+_ y Ctrl+Space
Controlキーを使用(英語キーボードで有効)
x Ctrl+- y Ctrl+Space
Controlキーを使用(すべてのキーボードで有効)
キーボードを使った下付き文字の入力
下付き文字は,上付き文字とほとんど同じように入力する.ただし,上付き文字は指数として意味を持つが,下付き文字の場合は特別な意味はない.例えば,xyxy乗を表すが,xyは単なるシンボルでしかない.
yを添字として下付き位置に挿入する:
上と同じ出力となる,Wolfram言語の通常の一次元式入力:
x Ctrl+/ y Ctrl+Space
Controlキーを使用
キーボードを使った分数の入力
分数式 を形成する:
y+zをまとめて分母に入れる:
今度は,Ctrl+Spaceを押して分母から出たので,+zは通常の行位置に置かれる:
分数表記の式は,常に割り算として扱われる:
Ctrl+@ x Ctrl+Space
Controlキーを使用(英語キーボードで有効)
Ctrl+2 x Ctrl+Space
Controlキーを使用(すべてのキーボードで有効)
キーボードを使った根号の入力
このようにタイプすると平方根を入力することができる:
Ctrl+Spaceを押すと,平方根から抜ける:
従来の一次元的な記述法で入力を行う.同じ出力が得られることが確認できる:
Ctrl+^ または Ctrl+6
上付き位置に移動
Ctrl+_ または Ctrl+-
下付き位置に移動
Ctrl+@ または Ctrl+2
平方根の挿入
Ctrl+% または Ctrl+5
上付き位置から下付き位置へ移動(あるいは,その逆),または根号内部から累乗根位置へ移動(あるいは,その逆)
Ctrl + /
分数で分母の位置に移動
Ctrl + Space
特別な位置から通常の行位置に戻る
Controlキーを使った数式編集位置の移動(注:2番目の入力操作は,どんなキーボードでも有効)
Controlキーを使い,xに上付き文字と下付き文字の両方を付ける:
これは同じ式を入力する別の方法である:
定積分を入力するときも同じ方法で行う:
Wolfram言語では,上付き文字と下付き文字の他に,親文字の真上と真下の位置に小文字を配する,というような記述を行うこともできる.そのように記述された文字は,真上付き文字と真下付き文字と呼ばれ,総和や積の表記において,上限や下限を示すために使われる.
x Ctrl+Shift+, y Ctrl+Space
真下付き文字
x Ctrl+& y Ctrl+Space または x Ctrl+7 y Ctrl+Space
真上付き文字
真上・真下付き文字の入力例
総和を入力する方法である:
二次元式の編集と評価
スクリーン表示された二次元式は,文章を編集するような感覚で編集することができる.例えば,式のある位置にカーソルを移動させ,新たな項をタイプする.または,不必要な部分を選択し,Deleteキーを押すことで,それを削除する.そして,そこに新たな項を挿入する等の編集作業を行うことができる.
普通の文章の編集で使われるキー操作の他に,二次元式の編集で使われる特殊なキー操作があるので,それらを次に示す.
Ctrl + .
次のより大きい部分式を選択
Ctrl + Space
現在位置にある構造体の右に移動
次の文字へ移動
前の文字へ移動
二次元式の編集におけるカーソル移動のキー操作
この図は,続けてCtrl+.キーを押すことで得られた式の選択範囲を示している:

13.gif

Shift + Enter
現在位置のセル全体を評価する
Shift + Ctrl + Enter (Windows/Unix/Linux) または Cmd + Return (Mac OS X)
式中で選択された項だけを評価する
二次元式の評価で使われるキー操作
計算を進めていくとき,普通は各ステップにおいて入力した式全体を評価させてから次のステップに進む.しかし例えば,式にある1つの式の部分だけを特定の形に変換させたいような場合は,式の構成成分ごとにいろいろな操作を行うことができる方が便利であろう.
部分的に評価を行う際は,まず,該当部分を選択し,演算子を挿入する.次に,Shift+Ctrl+Enter (Windows/Unix/Linux)またはCmd+Return (Mac OS X)を押す.
式の一部分を選択する:

14.gif

Shift+Ctrl+Enter (Windows/Unix/Linux) または Cmd+Return (Mac OS X)

15.gif

基本数学アシスタント数学授業アシスタント文章作成アシスタントパレットの基本的なコマンド y=xタブも,選択した部分式をその場で変換する,多数の便利な操作を提供する.
いろいろな式や記号の入力
特殊記号
エイリアス
正式な形
シンボル
EscpEsc\[Pi]Pi
EscinfEsc\[Infinity]Infinity
EscdegEsc\[Degree]Degree
よく使われる数学記号の特殊表示形
これは,Sin[60Degree]と同じである:
英語読みの完全名を使い入力する:
エイリアスを使い入力することもできる:
角度をラジアンで表す:
特殊記号
エイリアス
正式な形
シンボル
xyx Esc<=Esc yx \[LessEqual] yx <= y
xyx Esc>=Esc yx \[GreaterEqual] yx >= y
xyx Esc!=Esc yx \[NotEqual] yx != y
xyx EscelEsc yx \[Element] yElement[x,y]
xyx Esc->Esc yx \[Rule] yx -> y
いくつかの演算子の特殊形式(「演算子の入力形」に完全なリストがある)
置換規則は,普通の記号2個から構成される->を使い入力することができる:
このように入力してもよい:
さらに,こうしてもよい:
ある種の演算子として普通の記号を入力した場合,フロントエンドは自動的に特殊記号で置換する.例えば,上の3つの例を入力すると,フロントエンドが自動的に->で置換する.
置換を意味する特殊矢印記号は,デフォルトで出力にも使われる:
特殊記号
エイリアス
正式な形
シンボル
x ÷ yx EscdivEsc yx \[Divide] yx / y
x × yx Esc*Esc yx \[Times] yx * y
x yx EsccrossEsc yx \[Cross] yCross[x,y]
x yx Esc==Esc yx \[Equal] yx == y
x yx Escl=Esc yx \[LongEqual] yx == y
x yx Esc&&Esc yx \[And] yx && y
x yx Esc||Esc yx \[Or] yx || y
¬ xEsc!Esc x\[Not] x! x
x yx Esc=>Esc yx \[Implies] yx => y
x yx EscunEsc yx \[Union] yUnion[x,y]
x yx EscinterEsc yx \[Intersection] yIntersection[x,y]
x yx Esc,Esc yx \[InvisibleComma] yx , y
f xf Esc@Esc xf \[InvisibleApplication] xf @ x
または
f[x]
x x Esc+Esc x \[ImplicitPlus] x + y / z
入力には使われるが出力には使われない特殊表示形の演算子
入力に割り算記号を使っても正しく認識されるが,出力では通常使われない:
ここでは入力形に特殊文字を用いてきたが,この点を除けば,テキスト1行からなる通常の入力(一次元入力法)と同じである.これに対して,ノートブックでは二次元式を直接入力することもできる.
二次元入力
一次元入力
x^y
ベキ乗
x/y
割り算
Sqrt[x]
平方根
x^(1/n)
乗根
Sum[f,{i,imin,imax}]
Product[f,{i,imin,imax}]
Integrate[f,x]
不定積分
Integrate[f,{x,xmin,xmax}]
定積分
D[f,x]
偏導関数
D[f,x,y]
多変数偏導関数
Conjugate[x]
複素共役
Transpose[m]
転置
ConjugateTranspose[m]
共役転置
Part[expr,i,j,]
部分抽出
ノートブックにおける二次元形の入力法のいくつか
二次元式の入力は,「二次元表示記号の入力」に記載したどの方法を使っても行うことができる.注意事項として,和や積の上限と下限は,それぞれ,真上付き文字と真下付き文字として入力する.上付き文字と下付き文字ではない.
不定積分を入力する.微分用のdであるEscddEscを使うことに気を付ける:
これは,直接評価が可能な不定積分である:
一般的なWolfram言語の方法で同じ積分を入力する:
エイリアス
完全名
EscsumEsc\[Sum]
総和記号
EscprodEsc\[Product]
積記号
EscintEsc\[Integral]
積分記号
EscddEsc\[DifferentialD]
微分記号
EscpdEsc\[PartialD]
偏微分演算子
EsccoEsc\[Conjugate]
複素共役記号
EsctrEsc\[Transpose]
転置記号
EscctEsc\[ConjugateTranspose]
共役転置記号
Esc[[Esc\[LeftDoubleBracket]
部分カッコ
演算子の入力で使われる特殊文字(詳しくは「数学表記と他の表記法」の一覧を参照)
総和記号とギリシャ文字の大文字のシグマは全く同じように表示されるが,Wolfram言語では両者は完全に区別される.シグマは単なる文字だが,総和記号は,Wolfram言語に対してSumの演算を行うように指示をする演算子である.
大文字シグマは単なる文字でしかない:
シグマと同じようだが,総和記号は演算子としての意味を持つ:
総和記号とギリシャ文字の大文字のシグマが全く別なものであるように,ローマ字d,導関数を取るときに使う「partial d」の ,それに積分表記で使う微分記号 も全く別なものである.二次元式で積分を入力するときは,必ず EscddEscで入力)を使う.間違ってローマ字のdを入力してしまったなら,それはdという名前のシンボルとして扱われてしまう.積分演算子の第2構成要素としては扱ってくれない.
の導関数を計算する式を入力する:
普通の一次元形で同じ導関数を入力する:
三階微分を計算する:
同じ計算を行う一次元形の式:
表と行列の作成
表や行列を作成するには,まず,フロントエンドの挿入 表・行列を選択し,必要な行列数を配した空白の配列を作成する.空白の配列ができたなら,必要な要素を入力して完成させる.
このようなリストのリストからなる二次元配列は,行列として扱われる:
丸カッコでくくると,数学表記の行列らしくなる.ただし,丸カッコがあろうがなかろうが評価のされ方は変わらない:
MatrixFormを作用させ,転置Transposeの結果を行列として表示させる:
Ctrl + ,
列の追加
Ctrl + Enter
行の追加
Tab
次の(空のプレースホルダ)または(選択範囲のプレースホルダ)へ移動
Ctrl + Space
表や行列から抜ける
表と行列の作成
Ctrl+,Ctrl+Enterを用いて行や列を作り上げていくことができる.特に小さい配列を作るとき等は,表・行列サブメニューの新規作成を使うより便利だろう.表・行列のメニュー項目は,主に,罫線を引く等の基本的な調整作業に適している.
Piecewise式の入力は,表入力の特殊形である.
\[Piecewise]を入力してCtrl+,を押すと,2つの場合のプレースホルダを持つテンプレートが表示される:
プレースホルダを埋めて区分式を完成する:
他の場合を加える場合は,Ctrl+Enterを使う:
表中の要素が複数の行や複数の列に渡るようにしたければ,要素を拡張しようとする範囲全体を選択し,メニュー項目挿入 表・行列 要素の結合を使う.結合されている要素の分離には挿入 表・行列 要素の分割を使う.
上の要素が2列を占めるようにしたければ,まずその行を選択する:
次にメニュー項目の要素の結合を使う:
飾記号(添字や縦棒等)
飾記号のパレットの例:

51.gif

どんなものでも添字として使うことができる:
特別に指定しない限り上付き文字は指数として扱われる:
Ctrl+_ または Ctrl+-
下付き文字位置へ移動
Ctrl + Shift + ,
現在位置の文字の真下へ移動
Ctrl+^ または Ctrl+6
上付き文字位置へ移動
Ctrl+& または Ctrl+7
現在位置の文字の真上へ移動
Ctrl + Space
通常位置へ戻る(Control Space)
Controlキーに基づいた特殊入力形(2番目の入力形は,どんなキーボードでも有効)
Controlキーを使い下付き文字を入力する:
Ctrl+^Ctrl+_が上付き文字と下付き文字に対応しているように,Ctrl+&Ctrl+4は,真上付き文字と真下付き文字に対応している.標準英語キーボードでは,Ctrl+&Ctrl+^の右隣に位置し,Ctrl+4Ctrl+_の右隣に位置する.
キー操作
表示
x Ctrl+& _
OverBar[x]
x Ctrl+& EscvecEsc
OverVector[x]
x Ctrl+& ~
OverTilde[x]
x Ctrl+& ^
OverHat[x]
x Ctrl+& .
OverDot[x]
x Ctrl+Shift+, _
UnderBar[x]
Controlキーを使った,慣用的な飾記号を入力するためのキー操作
を入力する:
を変数として使うこともできる:
英語以外の文字とキーボード
英語以外の言語を使い文章を書くには,アクセント符の付いた文字や,全く英語にない文字を必要とする.オペレーティングシステムの設定によっては,このような英語以外の文字をキーボードで直接入力することがシステム的にサポートされることもある.実際のシステム設定がそうなっていない場合でも,Wolfram言語を使えばこれらの文字を標準英語キーボードで一律に扱うことができる.
完全名
エイリアス
à[AGrave]Esca`Esc
å[ARing]EscaoEsc
ä[ADoubleDot]Esca"Esc
ç[CCedilla]Escc,Esc
č[CHacek]EsccvEsc
é[EAcute]Esce'Esc
è[EGrave]Esce`Esc
í[IAcute]Esci'Esc
ñ[NTilde]Escn~Esc
ò[OGrave]Esco`Esc
完全名
エイリアス
ø[OSlash]Esco/Esc
ö[ODoubleDot]Esco"Esc
ù[UGrave]Escu`Esc
ü[UDoubleDot]Escu"Esc
ß[SZ]EscszEsc, EscssEsc
Å[CapitalARing]EscAoEsc
Ä[CapitalADoubleDot]EscA"Esc
Ö[CapitalODoubleDot]EscO"Esc
Ü[CapitalUDoubleDot]EscU"Esc
よく使われる欧文文字のいくつか
このように,関数の名前にアクセント符の付いた文字が含まれている:
別の方法で同じ関数名を入力してみる:
キーボードのキー配置は,言語や文化圏に関するシステム設定により違うのが現状である.このため,ここで説明してきたキー操作は,必ずしもユーザが実際に使うキーボードに対応していないかもしれない.
例えば,上付き文字の挿入で使うCtrl+6Ctrl+^は,Shift+6のキー操作で^が得られるようなキーボードではともに有効である.しかし,違ったキー配置のキーボードでは,Ctrl+6は有効だが,Ctrl+^はそうでない場合もある.
キーボードによらずパレットやメニューコマンドを使えば,常に同じ方法で上付き文字やその他の数学記号を入力することができる.また,記号が入力できるという前提で,入力したい記号の完全名(例えば,\[Infinity])さえ分かっていれば,それらをタイプすることでどんなものでも入力することができる.
その他の数学記号
Wolfram言語は,今日使われる数多くの数学記号をサポートしている.ただし,提供される記号の中には,デフォルトの意味を与えられていないものもある.例えば,式xyと記述すると,表示はされるが,Wolfram言語の評価上,記号は何も意味を持たない.
が演算記号であるとの認識はされるが,実際にどんな意味を持つかは未定義である:
改めての定義を与える:
今度は,が評価される:
Wolfram言語でサポートされている演算的な意味を備えた数学記号
記号は,計算上の意味を持つが,はそうでない:
記号によっては,キーボードにある文字と同じように見えるが,Wolfram言語の評価では違った扱いを受けるものがある.例えば,[Backslash]Escは,と表示されるが,キーボードで直接得られるとは全く別の解釈を受ける.
記号は,それぞれ,キーボードのと^とは別物である:
演算子の多くは,のように,2つの被演算子の中間に置かれて機能する.しかし,演算子によっては他の位置に置かれる場合もある.例えば,山パーレンEscEsc または角カッコ[LeftAngleBracket][RightAngleBracket]は,作用するものの外側に置かれる.
アングルブラケット(山パーレン)は被演算数の外側に置く:
補助的な文字と装飾文字
普通の文字と装飾文字や記号を混ぜて変数名を定義することもできる:
空集合の記号は単なるシンボルとして扱われ,未知数abと同様に掛け合されてしまう:
文章への数式の挿入
数式と文章が混在したノートブックを作成する最も簡単な方法は,それぞれを別のセルに分けて入力することである.しかし,場合によっては,式を文章に直接挿入したいことやその逆もある.
Ctrl+( または Ctrl+9
テキスト中の式または式中のテキストの挿入開始
Ctrl+) または Ctrl+0
テキスト中の式または式中のテキストの挿入終了
テキスト中の式または式中のテキストの挿入開始
テキストセルに数式を入れたノートブック例:
ノートブックには,実際に評価させるための数式と,単に読むためだけの式の2つのタイプが混在することが多い.
テキストに式を挿入するときは,メニュー項目形式変換StandardForm(標準形)またはTraditionalForm(慣用形)を使って,選択した式をStandardFormあるいはTraditionalFormに変換できる.StandardFormは,通常,式がWolframシステムプログラムの一部であると考えられるときに適している.
しかし一般に式は,最終的にWolfram言語の入力として与えられるかどうかにかかわらず,全く同じ方法で入力することができる.
ただし,表示上,数式をなるべく植字印刷的な見やすい形にするため,Wolfram言語により,例えば,演算子の両側にスペースが挿入されたりして式の形が自動調整される.このような場合,ユーザの数式の入力がWolfram言語の期待する入力法に従っていなければ,調整処理はかえって式の表示をおかしくしてしまうこともある.実際にそうなってしまったなら,植字印刷的な細かい調整を手動で行う必要が出てくるだろう.
ノートブックの表示と印刷
ノートブックの使いみちによっては,文書全体の表示の仕方を変えたいときがある.フロントエンドにはスタイルだけを独立に変更できる機能が用意されているので,それを使うことで,文書を一括でスクリーン表示用または印刷用に変更することができる.書式メニューから適切なコマンドを選ぶことでこの機能が使える.
ScreenStyleEnvironment
表示に適したスタイル設定
PrintingStyleEnvironment
印刷に適したスタイル設定
Working
スクリーン表示用の標準なスタイル定義
Presentation
発表用のスタイル定義
SlideShow
発表スライド表示のためのスタイル定義
Printout
印刷用のスタイル定義
ノートブック文書全体のスタイル管理に使うフロントエンドの環境設定値
Working(下書き)スタイルで表示されたノートブックの例:

79.gif

同ノートブックを印刷するとこうなる:

80.gif

ハイパーリンクの設定
選択したオブジェクトをハイパーリンクにするためのメニュー項目
Hyperlink["uri"]
ラベルとリンク先を uri と設定したハイパーリンクの出力を生成する
Hyperlink["label","uri"]
ラベルを label,リンク先を uri と設定したハイパーリンクの出力を生成する
Hyperlink[{"file.nb",None}]
指定したノートブックへのハイパーリンクの出力を生成する
Hyperlink[{"file.nb","tag"}]
指定したノートブックで tag というタグの付いたセルへのハイパーリンクの出力を生成する
ハイパーリンク生成の方法
ハイパーリンクは,ノートブックに設けられるボタンの一種のことで,それを押すことでノートブックの別の位置にジャンプすることができる.Wolframシステムではハイパーリンクのテキストが青くなる.
ハイパーリンクを設定するにはハイパーリンクとなるテキストあるいは他のオブジェクトを選択する.次に,メニュー項目の挿入 ハイパーリンクを選択し,ハイパーリンクの行き先に必要な情報を指定する.
ハイパーリンクのリンク先はどのような標準Webアドレス(URI)でもよい.また,ローカルファイルシステム上のノートブックや,そのノートブック内の特定のセルにリンクすることもできる.ノートブックの特定のセルにリンクするハイパーリンクでは,セルを特定するためにセルタグを使う.指定したノートブックの中でそのセルタグが2回以上使ってある場合は,そのセルタグの付いた最初のセルに飛ぶ.
Wolfram言語コマンドのHyperlinkを使うと,出力にハイパーリンクが作成できる.そのハイパーリンクは,テキストにコピーペーストしたり,Wolfram言語で生成されている大きいインターフェースで使用することができる.
このコマンドでWebへのハイパーリンクが生成できる:
自動番号付け
DisplayFormulaNumbered等のセルスタイルを選択する
メニュー項目の挿入 自動カウンタSection等のカウンタの種類を指定する
Wolframシステムノートブックにおける2つの自動番号付け機能の使い方

DisplayFormulaNumberedスタイルの使い方

これらのセルには,DisplayFormulaNumberedスタイルが割り当てられている.DisplayFormulaNumberedスタイルはデフォルトのスタイルシートで利用できる:

81.gif

「自動カウンタ」メニュー項目の使い方

すべてのセルは全く同じ入力を持つが,それらのノートブック内の並び順に対応して変わる番号表示を行う要素も備えている:

82.gif

Wolframシステムノートブックを使った解説文書の創作
ノートブックは対話的な文書を作るのに必要な基本機能を備えている.この機能を最大に生かし,効果的で洗練された文書を作るには,ユーザ自身がノートブック機能にあった書き方を身に付ける必要がある.
Wolframシステムの初心者は,よくノートブックを単純な入出力行の連なりとしてとらえ,単なる計算ワークシートとして使うとか,紙の代りにスクリーンで物書きをするためのワープロとして使うことが多い.機能を生かしたノートブックの効果的な使い方は,ワークシートとワープロのどちらでもなく,実は,Wolfram言語の入出力を適切な説明文でまとめるという両者の機能をうまく併せた使い方である.文書をうまくまとめる上で最も重要な要素は,Wolfram言語の使い方であり,この言語を一貫して使うことでワークシート兼ワープロの文書を,効果的,かつ機能的なものに仕上げることができる.
ノートブックの文書例をこれまでいろいろ眺めてきて,読者は,それらが文章,数式,コンピュータコード,インタラクティブなインターフェースの4つの基本要素から構成されるものと感じられたかもしれない.しかし,Wolfram言語の重要な考え方のひとつは,数学で使われる従来の式とコンピュータコードの最高のものを誘い出す言語を提供することにある.
StandardFormで記述される Wolfram言語の式は,慣用的な数学表記法の持つまとまりと読みやすさを兼ね備えている.さらに,数学表記の式にはない式の構成上の完全な一貫性と一様性をも備えている.このため,Wolfram言語の式で問題を解き説明する限り,その問題がどの分野のものであっても,どんな記述法を使ったか等を説明する必要は全くない.なぜなら,記述されている式そのものがWolfram言語の記述であるからである.さらに,計算問題の説明をWolfram言語の式で行ったなら,ノートブックの読者にとって実際に使える文書ともなる.つまり,文書中の式を取り出しWolfram言語の入力として使うことで,読者自身で結果を確認することも可能になる.
数学表記法を長年使ってきたユーザの場合,StandardFormの式は最初は読みづらく映り,慣れるまでに多少時間がかかるだろう.実際,使いはじめの段階では,記述しづらい式でもわざわざ隠しタグを付けたりして,できる限りTraditionalFormを使おうとする傾向が多くのユーザに見受けられる.しかし,慣れてくると,StandardFormTraditionalFormを併せて使うようになり,大概の用途ではStandardFormが最も効果的で分かりやすい提示手段であることが分かってくるようになる.
普通,数学の解説では,長蛇の文章の代りに短い式を使い手短に話を進めていく.ノートブックでもStandardFormを使い同様なアプローチを取ることができる.また,そうすることで,式を,計算をするだけの単なる数式ではなくプログラミング,アルゴリズム,グラフィックス,インターフェースをも表すものとして使えるので,曖昧になりがちな説明をさらにコンパクトに,また,より正確なものにできる.
名前付き文字
Wolframシステムは多数の特殊文字をシステム全体でサポートする.各文字には名前とショートカットエイリアスがある.これらは標準Wolframシステムフォントにより完全にサポートされている.

文字の解釈

ここでの解釈はStandardFormInputFormで使用されているものである.ほとんどの解釈はTraditionalFormでも有効である.
MakeExpressionで独自の規則を与えることにより,解釈を一時的に変更することが可能である.
文字および文字に準ずるフォーム
シンボル名で使用
中置形演算子
例:
前置形演算子
例:
後置形演算子
例:
両側演算子
例:
複合演算子
例:
原始演算子
通常のキーボードからタイプできる演算記号文字
スペース文字
通常のスペースと同様に解釈される
構造要素
構造の指定に使用される文字(通常は解釈では無視される)
解釈不可能要素
欠落している情報があることを示す文字
文字のタイプ
演算子の優先順位は「演算子の入力形」に示されている.
一覧中でグループ分割が指定されていない中置演算子は,例えば CirclePlus[x,y,z]となるよう解釈される.

命名の約束

Wolfram言語の組込み関数に相当する文字は,通常はそれらの関数に対応する名前が付けられている.その他の文字は,できるだけ一般的な名前を付けている.
異なった文字同士はほとんどすべての場合,わずかに異なって見える.
\[Capital]
大文字形式
\[Left]
および
\[Right]
両側演算子(矢印も含む)
\[Raw]
印刷可能なASCII文字
\[Indicator]
キーボード文字の視覚表現
特殊文字クラスの例
スタイル
ScriptGothic
変形
CurlyGray
大文字・小文字
Capital
変更子
NotDoubleNested
方向
LeftUpUpperRight
AEpsilonPlus
添付符号
AcuteRing
文字名要素の通常の順序

エイリアス

Wolfram言語はシステム自体でのエイリアス(alias),およびTeX,SGML,HTMLで使われる文字に基づいたエイリアスをサポートしている.名前に矛盾がない限り,plain TeX,LaTeXおよびAMSTeXに対応する文字名はすべてサポートされている.TeX,SGML,HTMLで使用されるエイリアスは,以下の文字一覧には明示的に示されていないことに注意してほしい.
EscxxxEsc
通常のWolfram言語のエイリアス
EscxxxEsc
TeXのエイリアス
Esc&xxxEsc
SGMLまたはHTMLのエイリアス
エイリアスの種類
以下の一般変換規則はすべてのエイリアスに適用される.

フォントの一致

Wolframシステムで提供される特殊フォントは,本一覧の文字をすべて含んでいる.これらの文字のいくつかは通常のテキストフォントでも使用される.
テキストを特定のフォントで印刷する場合,Wolframシステムノートブックのフロントエンドは,そのフォント内で利用可能なすべての文字を使用する.Wolframシステム特殊フォントはそれ以外の文字だけに使用される.
Times系,Helvetica系(サンセリフ)およびCourier系(等幅スペース)フォントからフォントを選択することにより,通常使用されるテキストフォントとの最適なマッチが得られる.