LaplaceDistribution

LaplaceDistribution[μ,β]

平均 μ,尺度母数 β のラプラス二重指数分布を表す.

LaplaceDistribution[]

平均0,尺度母数1のラプラス二重指数分布を表す.

詳細

予備知識

  • LaplaceDistribution[μ,β]は,実数の集合で定義・サポートされており,実数 μ(分布の「平均」と呼ばれる)と正の実数 β(「尺度母数」と呼ばれる)でパラメータ化された統計分布を表す.ラプラス分布の確率密度関数(PDF)は,大体において峰が1つ(最大値)の単峰性であるが,その全体的な形(高さと最大値の水平位置)は μβ の値によって決定される.PDFの裾部はPDFが の大きい値について代数的というよりは指数的に減少するという意味で「薄い」(この動作は分布のSurvivalFunctionを分析することで数量的に正確にすることができる).ラプラス分布は二重指数分布と呼ばれることがあり(やはり二重指数分布と呼ばれることがあるGumbelDistributionと混同してはならない),引数がない形LaplaceDistribution[](これはLaplaceDistribution[0,1]に等しい)は標準ラプラス分布と呼ばれることがある.
  • ラプラス分布は,平均 を独立同分布(I.I.D.)に従う奇数の確率変数の観察された値の中央値に設定すると尤度関数(Likelihood)が最大化されるとして,1774年におけるフランス人の数学者Pierre Laplaceの業績まで遡ることができる.確率論の使用によって,ラプラス分布は独立指数分布に従う2つの独立した確率変数の差をモデル化し,ブラウン運動理論にも指数分布に従うランダム時間に対応するモデルとして大きい役割を果たしている.現代では,ラプラス分布は,演算,回帰分析,信号処理,金融,微生物学を含む多様な分野のさまざまな現象をモデル化している.
  • RandomVariateを使って,ラプラス分布から,1つあるいは複数の機械精度あるいは任意精度(後者はWorkingPrecisionオプションを介す)の擬似乱数変量を得ることができる.Distributed[x,LaplaceDistribution[μ,β]](より簡略な表記では xLaplaceDistribution[μ,β])を使って,確率変数 x がラプラス分布に従って分布していると宣言することができる.このような宣言は,ProbabilityNProbabilityExpectationNExpectation等の関数で使うことができる.
  • ラプラス分布の確率密度関数および累積分布関数は,PDF[LaplaceDistribution[μ,β],x]およびCDF[LaplaceDistribution[μ,β],x]を使って得られる.平均,中央値,分散,原点の周りのモーメント,中心モーメントは,それぞれMeanMedianVarianceMomentCentralMomentを使って計算することができる.
  • DistributionFitTestを使って,与えられたデータ集合がラプラス分布と一致するかどうかを検定することが,EstimatedDistributionを使って与えられたデータからパラメトリックラプラス分布を推定することが,FindDistributionParametersを使ってデータをラプラス分布にフィットすることができる.ProbabilityPlotを使って記号ラプラス分布のCDFに対する与えられたデータのCDFのプロットを生成することが,QuantilePlotを使って記号ラプラス分布の変位値に対する与えられたデータの変位値のプロットを生成することができる.
  • TransformedDistributionを使って変換されたラプラス分布を表すことが,CensoredDistributionを使って上限値と下限値の間で切り取られた値の分布を表すことが,TruncatedDistributionを使って上限値と下限値の間で切断された値の分布を表すことができる.CopulaDistributionを使ってラプラス分布を含む高次元分布を構築することが,ProductDistributionを使ってラプラス分布を含む独立成分分布の結合分布を計算することができる.
  • LaplaceDistributionは他の数多くの分布と密接な関係がある.例えば,LaplaceDistribution でスプライスされた2つのExponentialDistributionの組合せと考えることができるので,ExponentialDistributionLaplaceDistributionの変換(TransformedDistribution) として得ることができる.ChiSquareDistributionFRatioDistributionもまたLaplaceDistributionの変換であり,LaplaceDistributionUniformDistributionの変換として,HyperbolicDistributionのとき,LaplaceDistribution[μ,β]のPDFはHyperbolicDistribution[1/β,0,δ,μ]のそれと厳密に等しいという意味で)の極限ケースとして,またExponentialPowerDistributionVarianceGammaDistribution両方の特殊ケースとして求めることができる.LaplaceDistributionは,NormalDistributionRayleighDistributionBernoulliDistributionStableDistributionCauchyDistributionChiDistributionGammaDistributionとも関連している.

例題

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  (4)

確率密度関数:

累積分布関数:

平均と分散:

中央値:

スコープ  (7)

ラプラス分布から擬似乱数のサンプルを生成する:

このヒストグラムを確率密度関数と比較する:

分布母数推定:

サンプルデータから分布母数を推定する:

サンプルの密度ヒストグラムを推定分布の確率密度関数と比較する:

ラブラス分布の歪度と尖度は一定である:

母数の関数としての閉形式の種々のモーメント:

Moment

記号次数の閉形式:

CentralMoment

記号次数の閉形式:

FactorialMoment

Cumulant

記号次数の閉形式:

ハザード関数:

分位関数:

母数でQuantityを一貫して使うとQuantityDistributionが与えられる:

時間の広がりを求める:

アプリケーション  (2)

データパケットは2つのチャンネルで届く.各チャンネルの待ち時間は1秒あたり という同じ母数の指数分布に従う.パケット間の待ち時間の分布を求める:

パケット間の待ち時間が6秒より大きくなる確率を求める:

両方のチャンネルから届くパケット間の待ち時間のシミュレーションを行う:

河川観測所AとBの1年間の洪水位の差は フィートで フィートのラプラス分布に従うと推測される.差が15フィートよりも大きくなる確率を求める:

差が正である確率を求める:

洪水位の差の平均と標準偏差を求める:

30年間の洪水位の差のシミュレーションを行う:

特性と関係  (14)

ラプラス分布は平行移動と正の因子によるスケーリングの下では閉じている:

他の分布との関係:

ラプラス分布の半分はExponentialDistribution密度に比例する:

負の引数について:

ExponentialDistributionに従う2つの変数の差はラプラス分布に従う:

ExponentialDistributionはラプラス分布を変換したものである:

ラプラス分布はExponentialPowerDistributionの特殊ケースである:

ラプラス分布はVarianceGammaDistributionの特殊ケースである:

が独立で正規分布に従う場合, はラプラス分布に従う:

が独立で正規分布に従う場合, はラプラス分布に従う:

ChiSquareDistributionはラプラス分布を変換したものである:

個のそのような変数の総和について:

FRatioDistributionはラプラス分布を変換したものである:

ラプラス分布はUniformDistributionを変換したものである:

LaplaceDistributionは,のとき となるHyperbolicDistributionの極限のケースである:

ラプラス分布はNormalDistributionRayleighDistributionの母数混合分布である:

考えられる問題  (2)

LaplaceDistributionは,μ が実数ではないときは定義されない:

LaplaceDistributionは,βが正の実数ではないときは定義されない:

記号出力に無効な母数を代入すると意味のない結果が返される:

おもしろい例題  (1)

累積分布関数の等高線を持つ β のさまざまな値についての確率密度関数:

Wolfram Research (2007), LaplaceDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/LaplaceDistribution.html (2016年に更新).

テキスト

Wolfram Research (2007), LaplaceDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/LaplaceDistribution.html (2016年に更新).

CMS

Wolfram Language. 2007. "LaplaceDistribution." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2016. https://reference.wolfram.com/language/ref/LaplaceDistribution.html.

APA

Wolfram Language. (2007). LaplaceDistribution. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/LaplaceDistribution.html

BibTeX

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