RiceDistribution
RiceDistribution[α,β]
形状母数が α と β のライス(Rice)分布を表す.
RiceDistribution[m,α,β]
母数が m,α,β のノートン・ライス(Norton–Rice)分布を表す.
詳細
- RiceDistributionは仲上- 分布としても知られている.
- ライス分布における値 の確率密度は,については に比例し,では0である.
- ノートン・ライス分布における値 の確率密度は,では に比例し,では0である.
- RiceDistributionでは,α は任意の非負の実数でよく,m と β は任意の正の実数でよい.
- RiceDistributionでは,α と β は任意の単位次元の数量でよく,m は無次元量でよい. »
- RiceDistributionは,Mean,CDF,RandomVariate等の関数とともに使うことができる.
予備知識
- RiceDistribution[m,α,β]は,区間上でサポートされ,正の実数 α および β(「形状母数」と呼ばれる)および非負の実数 m でパラメータ化された連続統計分布を表す.これらの母数は,ともに,確率密度関数(PDF)の全体的な動作を決定する.一般に,ライス分布のPDFは単一の「峰」(大域的最大値)を持つ単峰性であるが,その全体的な形(高さ,広がり,最大値の水平位置)は α,β,mの値によって決定される.加えて,PDFの裾部は,PDFが の大きい値に対して代数的というよりむしろ指数的に減少するという意味で「薄い」(この動作は分布のSurvivalFunctionを分析することで数量的に厳密にすることができる).3引数の形のRiceDistribution[m,α,β]はノートン・ライス分布と呼ばれることが多い.これに対し,2引数の形RiceDistribution[α,β](RiceDistribution[1,α,β]に等しい)は単にライス分布と呼ばれることが多い.ライス分布は仲上分布(NakagamiDistributionと混同してはならない)あるいはライシアン分布と呼ばれることもある.
- ライス分布は,1940年代にS. O. Riceがランダムノイズの数学理論を確立している際に発見されたためにこのような名前となった.この分布は,通信分野で,ツールとして,正規派生ノイズ過程および正規ノイズ過程に関連するトピックのモデル化に特に使われている.数学的には,ライス分布は,成分 が正規分布に従う確率変数である場合に,中のベクトルのノルムを説明する分布である.の場合は,分布は定数ベクトルといわゆるレイリーベクトル(つまり,初等成分の位相が区間上に均一分布するベクトル)の和の大きさもモデル化する.ライス分布は,信号の相殺による電波の伝搬の例外を説明する確率モデルである,いわゆるライスフェージングや,弾道学,医学,金融,マーケティング等を含むさまざまな分野における数多くの無関係な現象のモデル化に使われている.
- RandomVariateを使って,ライス分布から,1つあるいは複数の機械精度あるいは任意精度(後者はWorkingPrecisionオプションを介す)の擬似乱数変量を得ることができる.Distributed[x,RiceDistribution[m,α,β]](より簡略な表記では xRiceDistribution[m,α,β])を使って,確率変数 x がライス分布に従って分布していると宣言することができる.このような宣言は,Probability,NProbability,Expectation,NExpectation等の関数で使うことができる.
- 確率密度関数および累積分布関数は,PDF[RiceDistribution[m,α,β],x]およびCDF[RiceDistribution[m,α,β],x]を使って得られることがある.平均,中央値,分散,原点の周りのモーメント,中心モーメントは,それぞれMean,Median,Variance,Moment,CentralMomentを使って計算することができる.
- DistributionFitTestを使って,与えられたデータ集合がライス分布と一致するかどうかを検定することが,EstimatedDistributionを使って与えられたデータからパラメトリックライス分布を推定することが,FindDistributionParametersを使ってデータをライス分布にフィットすることができる.ProbabilityPlotを使って記号ライス分布のCDFに対する与えられたデータのCDFのプロットを生成することが,QuantilePlotを使って記号ライス分布の変位値に対する与えられたデータの変位値のプロットを生成することができる.
- TransformedDistributionを使って変換されたライス分布を表すことが,CensoredDistributionを使って上限値と下限値の間で切り取られた値の分布を表すことが,TruncatedDistributionを使って上限値と下限値の間で切断された値の分布を表すことができる.CopulaDistributionを使ってライス分布を含む高次元分布を構築することが,ProductDistributionを使ってライス分布を含む独立成分分布の結合分布を計算することができる.
- RiceDistributionは他の数多くの分布と関連している.RiceDistributionは正規分布に従う2つの変数のノルムの分布であり,したがって,NormalDistribution,BinormalDistribution,MultinormalDistributionと関係がある.RiceDistributionはBeckmannDistributionの特殊ケースであり(RiceDistribution[α,β]の確率密度関数はBeckmannDistribution[α/,α/,β,β]の確率密度関数と厳密に等しい),RayleighDistributionの一般的なケースであり(RayleighDistribution[β]のPDFはRiceDistribution[0,β]のPDFと同じである),NoncentralChiSquareDistributionの変換として得ることができる.RiceDistributionは,ChiSquareDistribution,ChiDistribution,LogNormalDistribution,NakagamiDistributionとも密接な関係がある.
例題
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スコープ (7)
サンプルの密度ヒストグラムを推定分布の確率密度関数と比較する:
母数でQuantityを一貫して使うとQuantityDistributionが与えられる:
アプリケーション (3)
あるベクトルに同じ非零の平均 と同じ分散 を持つ正規分布に従う2つの要素がある. かつ であると仮定してベクトル長の分布を求める:
30個のベクトルサンプルの可能な長さのシミュレーションを行う:
フェージングチャネル理論では,RiceDistributionを使って信号が強力な見通し直線と多くの弱くランダムな成分から構成されている場合のフェージング振幅をモデル化する. で瞬間的な信号対ノイズ比の分布を求める. は記号あたりのエネルギー, はホワイトノイズのスペクトル密度である:
はスケールされたNoncentralChiSquareDistributionであることを示す:
特性と関係 (10)
ノートン・ライス分布を について簡約するとライス分布になる:
ライス分布はNormalDistributionに従っている2つの変数のノルムの分布である:
ライス分布はBinormalDistributionに関連している:
ノートン・ライス分布はMultinormalDistributionに関連している:
ライス分布はBeckmannDistributionの特殊ケースである:
RayleighDistributionはライス分布の特殊ケースである:
NoncentralChiSquareDistributionはライス分布から得ることができる:
ノートン・ライス分布の極限はNakagamiDistributionである:
テキスト
Wolfram Research (2010), RiceDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/RiceDistribution.html (2016年に更新).
CMS
Wolfram Language. 2010. "RiceDistribution." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2016. https://reference.wolfram.com/language/ref/RiceDistribution.html.
APA
Wolfram Language. (2010). RiceDistribution. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/RiceDistribution.html