MoyalDistribution

MoyalDistribution[μ,σ]

位置母数 μ,尺度母数 σ のMoyal分布を表す.

MoyalDistribution[]

位置母数0,尺度母数1のMoyal分布を表す.

詳細

予備知識

  • MoyalDistribution[μ,σ]は,実数集合上で定義・サポートされ,実数 μ (「位置母数」と呼ばれる)および正の実数 σ(「尺度母数」と呼ばれる)によってパラメータ化された連続統計分布を表す.これらの母数は,ともに確率密度関数(PDF)の全体的な動作を決定する.Moyal分布のPDFは単一の「峰」(大域的最大値)を持つ単峰性であることが多いが,その全体的な形(高さ,広がり,最大値の水平位置)は μ および σ の形によって決定される.さらに,PDFの裾部は,PDFが の大きい値について代数的というよりはむしろ指数的に減少するという意味で「薄い」(この動作は,分布のSurvivalFunctionを解析することで量的に厳密にすることができる).引数のない形MoyalDistribution[]MoyalDistribution[0,1]に等しい.この形は標準Moyal分布と呼ばれることがある.
  • Moyal分布は,物理学者J. E. Moyalによる1955年の論文で,量子力学における統計学的手法の説明ではじめて提唱された.この分布は,イオン化中に高速荷電粒子が失ったエネルギー(そして生成されたイオン対の数)をモデル化する.歴史的には,Moyal分布はLandauDistributionの近似で使用されており,航空機の重油流出や鎖様の物体の動力学等を含むさまざまな現象のモデル化に使用されてきている.
  • RandomVariateを使って,Moyal分布から,1つあるいは複数の機械精度あるいは任意精度(後者はWorkingPrecisionオプションを介す)の擬似乱数変量を得ることができる.Distributed[x,MoyalDistribution[μ,σ]](より簡略な表記では xMoyalDistribution[μ,σ])を使って,確率変数 x がMoyal分布に従って分布していると宣言することができる.このような宣言は,ProbabilityNProbabilityExpectationNExpectation等の関数で使うことができる.
  • 確率密度関数および累積分布関数は,PDF[MoyalDistribution[μ,σ],x]およびCDF[MoyalDistribution[μ,σ],x]を使って得られる.平均,中央値,分散,原点の周りのモーメント,中心モーメントは,それぞれMeanMedianVarianceMomentCentralMomentを使って計算することができる.
  • DistributionFitTestを使って,与えられたデータ集合がMoyal分布と一致するかどうかを検定することが,EstimatedDistributionを使って与えられたデータからパラメトリックMoyal分布を推定することが,FindDistributionParametersを使ってデータをMoyal分布にフィットすることができる.ProbabilityPlotを使って記号Moyal分布のCDFに対する与えられたデータのCDFのプロットを生成することが,QuantilePlotを使って記号Moyal分布の変位値に対する与えられたデータの変位値のプロットを生成することができる.
  • TransformedDistributionを使って変換されたMoyal分布を表すことが,CensoredDistributionを使って上限値と下限値の間で切り取られた値の分布を表すことが,TruncatedDistributionを使って上限値と下限値の間で切断された値の分布を表すことができる.CopulaDistributionを使ってMoyal分布を含む高次元分布を構築することが,ProductDistributionを使ってMoyal分布を含む独立成分分布の結合分布を計算することができる.
  • MoyalDistributionは他の数多くの分布と関連している.上述の通り,MoyalDistributionLandauDistributionの定性的類似性によって,Moyal分布のPDFはランダウ分布を近似する価値あるツールになっている.さらに,MoyalDistribution[μ,σ]のPDFがuGammaDistribution[1/2,2](σ>0について)のときは μ-σ*Log[u]の,uExpGammaDistribution[1/2,σ,-μ+σ*Log[2]]のときは-u の分布であるという意味で,MoyalDistributionGammaDistributionおよびExpGammaDistributionの両者の変換として得ることができる.MoyalDistributionは,CauchyDistributionLevyDistributionStableDistributionとも関連している.

例題

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  (4)

確率密度関数:

累積分布関数:

平均と分散:

中央値:

スコープ  (7)

Moyal分布から擬似乱数のサンプルを生成する:

そのヒストグラムを確率密度関数と比較する:

分布母数推定:

サンプルデータから分布母数を推定する:

サンプルの密度ヒストグラムを推定分布の確率密度関数と比較する:

歪度と尖度は一定である:

母数の関数としての閉形式の種々のモーメント:

Moment

CentralMoment

FactorialMoment

Cumulant

記号次数の閉形式:

ハザード関数:

分位関数:

母数でQuantityを一貫して使うとQuantityDistributionが与えられる:

75%分位点を求める:

アプリケーション  (2)

MoyalDistributionLandauDistributionに対する最急降下近似として求めることができる:

MoyalDistributionの半値幅を求める:

特性と関係  (4)

Moyal分布は平行移動と正の因子によるスケーリングの下では閉じている:

他の分布との関係:

Moyal分布はGammaDistributionを変換したものである:

Moyal分布はExpGammaDistributionを変換したものである:

おもしろい例題  (1)

累積分布関数の等高線を持つ σ のさまざまな値についての確率密度関数:

Wolfram Research (2010), MoyalDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/MoyalDistribution.html (2016年に更新).

テキスト

Wolfram Research (2010), MoyalDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/MoyalDistribution.html (2016年に更新).

CMS

Wolfram Language. 2010. "MoyalDistribution." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2016. https://reference.wolfram.com/language/ref/MoyalDistribution.html.

APA

Wolfram Language. (2010). MoyalDistribution. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/MoyalDistribution.html

BibTeX

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