SkewNormalDistribution
SkewNormalDistribution[μ,σ,α]
形状母数 α,位置母数 μ,尺度母数 σ の歪正規分布を表す.
詳細
- 歪正規分布における値 の確率密度はに比例する.
- SkewNormalDistributionでは,α と μ は任意の実数でよく,σ は任意の正の実数でよい.
- SkewNormalDistribution[α]はSkewNormalDistribution[0,1,α]に等しい.
- SkewNormalDistributionでは,μ と σ は単位次元が等しい任意の数量でよく,α は無次元量でよい. »
- SkewNormalDistributionは,Mean,CDF,RandomVariate等の関数とともに使うことができる.
予備知識
- SkewNormalDistribution[μ,σ,α]は,実数集合上でサポートされ,正の実数 σ(「尺度母数」)および2つの実数 μ および α(それぞれ「位置母数」および「形状母数」)によってパラメータ化された連続統計分布を表す.これらの母数は,ともに,確率密度関数(PDF)の全体的な動作を決定する.一般に,歪正規分布のPDFは単一の「峰」(大域的最大値)を持つ単峰性であるが,その全体的な形(高さ,広がり,最大値の水平位置)は α,μ,σ の値によって決定される.さらに,PDFの裾部は,PDFが の大きい値について代数的というよりもむしろ指数的に減少するという意味で「薄い」(この動作は,分布のSurvivalFunctionを分析することで数量的に厳密にすることができる).SkewNormalDistributionは,正規分布(NormalDistribution,中心か正規分布と呼ばれることもある)を歪めて一般化したものであり,1引数の形のSkewNormalDistribution[α]はSkewNormalDistribution[0,1,α](標準歪正規分布と呼ばれることがある)に等しい.
- 歪正規分布の諸相は,1908年にF. de Helgueroに,また1950年にZ. W. Birnbaumによってはじめて検討された.歪正規分布は,数学的には,標準化された二項分布(BinormalDistribution) の最大成分と同じ正規分布 (NormalDistribution)に従って分布している2つの変量の最大値の両方をモデル化する.この分布は,いわゆる閾値自己回帰確率過程や時系列の研究におけるように,統計学全般でもかなり頻繁に使用されている.歪正規分布は,生理学,金融,応用数学,電気通信,画像解析等の分野の数多くの現象のモデル化にも使うことができる.
- RandomVariateを使って,歪正規分布から,1つあるいは複数の機械精度あるいは任意精度(後者はWorkingPrecisionオプションを介す)の擬似乱数変量を得ることができる.Distributed[x,SkewNormalDistribution[μ,σ,α]](より簡略な表記では xSkewNormalDistribution[μ,σ,α])を使って,確率変数 x が歪正規分布に従って分布していると宣言することができる.このような宣言は,Probability,NProbability,Expectation,NExpectation等の関数で使うことができる.
- 確率密度関数および累積分布関数は,PDF[SkewNormalDistribution[μ,σ,α],x]およびCDF[SkewNormalDistribution[μ,σ,α],x]を使って得られることがある.平均,中央値,分散,原点の周りのモーメント,中心モーメントは,それぞれMean,Median,Variance,Moment,CentralMomentを使って計算することができる.
- DistributionFitTestを使って,与えられたデータ集合が歪正規分布と一致するかどうかを検定することが,EstimatedDistributionを使って与えられたデータからパラメトリック歪正規分布を推定することが,FindDistributionParametersを使ってデータを歪正規分布にフィットすることができる.ProbabilityPlotを使って記号歪正規分布のCDFに対する与えられたデータのCDFのプロットを生成することが,QuantilePlotを使って記号歪正規分布の変位値に対する与えられたデータの変位値のプロットを生成することができる.
- TransformedDistributionを使って変換された歪正規分布を表すことが,CensoredDistributionを使って上限値と下限値の間で切り取られた値の分布を表すことが,TruncatedDistributionを使って上限値と下限値の間で切断された値の分布を表すことができる.CopulaDistributionを使って歪正規分布を含む高次元分布を構築することが,ProductDistributionを使って歪正規分布を含む独立成分分布の結合分布を計算することができる.
- SkewNormalDistributionは他の数多くの分布と関連している.歪正規分布は,SkewNormalDistribution[μ,σ,0]のPDFが厳密にNormalDistribution[μ,σ]のPDFであるという意味で,NormalDistributionを直接一般化したものである.SkewNormalDistributionはNormalDistributionおよびBinormalDistributionの変換(TransformedDistribution)としても実現でき,HalfNormalDistributionの極限の形でもある.SkewNormalDistributionは,SkewNormalDistribution[0,σ,α]のPDFが2PDF[NormalDistribution[0,σ],x] CDF[NormalDistribution[0,σ],α x]に等しい,若干新しい恒等式を満足する.SkewNormalDistributionは,NoncentralBetaDistribution,NoncentralFRatioDistribution,NoncentralChiSquareDistribution,LogNormalDistribution,MultinormalDistributionとも関連している.
例題
すべて開くすべて閉じるスコープ (8)
サンプルの密度ヒストグラムを推定分布の確率密度関数と比較する:
極限値はNormalDistributionの尖度よりも大きい:
母数でQuantityを一貫して使うとQuantityDistributionが与えられる:
アプリケーション (3)
一群の人の身長と体重は正の相関0.6,平均180センチで90キロ,標準偏差12センチと5キロで二変量正規分布に従う.体重が90キロを超える人の身長の条件付き確率はSkewNormalDistributionに従う:
標準変量の極限の場合,つまり も含めて,母数 のいくつかの値について平均余命関数をプロットする:
2010年のシカゴマラソンのゴール時間はSkewNormalDistributionに従う:
特性と関係 (9)
歪正規分布は平行移動と正の因子によるスケーリングの下では閉じている:
NormalDistributionはSkewNormalDistributionの特殊ケースである:
SkewNormalDistributionは正規分布を変換したものである:
確率密度関数はNormalDistributionの分布関数について表すことができる:
HalfNormalDistributionはSkewNormalDistributionの極限のケースである:
SkewNormalDistributionはBinormalDistributionを変換したものである:
標準化された二変量正規分布の最大要素はSkewNormalDistributionに従う:
同じNormalDistributionに従う2つの変量の最大のものはSkewNormalDistributionに従う:
テキスト
Wolfram Research (2010), SkewNormalDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/SkewNormalDistribution.html (2016年に更新).
CMS
Wolfram Language. 2010. "SkewNormalDistribution." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2016. https://reference.wolfram.com/language/ref/SkewNormalDistribution.html.
APA
Wolfram Language. (2010). SkewNormalDistribution. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/SkewNormalDistribution.html