BorelTannerDistribution
形状母数が α と n のBorel–Tanner分布を表す.
詳細
- Borel–Tanner分布における整数値 の確率は, については に比例し, のときは0である.
- BorelTannerDistributionでは,α は0から1までの任意の実数でよく,n は任意の正の整数でよい.
- BorelTannerDistributionでは,α と n は無次元量でよい. »
- BorelTannerDistributionは,Mean,CDF,RandomVariate等の関数とともに使うことができる.
予備知識
- BorelTannerDistribution[α,n]は,整数値 について定義され,「形状母数」と呼ばれる母数 α および n によって決定された離散統計分布を表す.のとき,n は任意の正の整数であり,これら2つの母数が,平面内の確率密度関数(PDF)の,全体的な形,高さ,水平位置を決定する.Borel–Tanner分布は離散単峰性PDFを持つ.Borel–Tanner分布はTanner-Borel分布,あるいは(金融の領域では)群れのサイズ分布と呼ばれることがある.
- Borel–Tanner分布の歴史は,フランス人の数学者Félix Borelが値 に対応するPDFの動作を調べた1940年代に始まる.10年後に,BorelのメソッドはJ.C. Tannerによって一般的な正の整数 n に対して適用され,現在の形の分布が生まれた.伝統的に,Borel–Tanner分布は待ち行列理論に基づいており,到着率がポアソン分布に従い,応対時間が一定であると仮定した場合に,そのPDFが,指定された x について,最初に行列がなくなるまでに,始まりの人数 n,トラヒック密度 α である待ち行列の厳密に x 人のメンバーが応対される確率を返す.この分布は,より最近では,高速道路の交通流量,オンラインサーバのトラヒック,既存の金融ポートフォリオと相対的なさまざまな投資行為等を含む,さまざまな現実世界の現象に使用されている.
- RandomVariateを使ってBorel–Tanner分布から,1つあるいは複数の機械精度あるいは任意精度(後者はWorkingPrecisionオプションを介す)の擬似乱数変量を得ることができる.Distributed[x,BorelTannerDistribution[α,n]](より簡略すると xBorelTannerDistribution[α,n])を使って,確率変数 x がBorel–Tanner分布に従って分布していると宣言することができる.このような宣言は,Probability,NProbability,Expectation,NExpectation等の関数で使うことができる.
- 確率密度関数および累積分布関数は,PDF[BorelTannerDistribution[α,n],x]およびCDF[BorelTannerDistribution[α,n],x]を使って得られることがある.平均,中央値,分散,原点の周りのモーメント,中心モーメントは,それぞれMean,Median,Variance,Moment,CentralMomentを使って計算することができる.これらの数量はDiscretePlotを使って可視化することができる.
- DistributionFitTestを使って,与えられたデータ集合がBorel–Tanner分布と一致するかどうかを検定することが,EstimatedDistributionを使って与えられたデータからBorel–Tannerパラメトリック分布を推定することが,FindDistributionParametersを使ってデータをBorel–Tanner分布にフィットすることができる.ProbabilityPlotを使って記号Borel–Tanner分布のCDFに対する与えられたデータのCDFのプロットを生成することが,QuantilePlotを使って記号Borel–Tanner分布の変位値に対する与えられたデータの変位値のプロットを生成することができる.
- TransformedDistributionを使って変換されたBorel–Tanner分布を表すことが,CensoredDistributionを使って上限値と下限値の間で切り取られた値の分布を表すことが,TruncatedDistributionを使って上限値と下限値の間で切断された値の分布を表すことができる.CopulaDistributionを使ってBorel–Tanner分布を含む高次元分布を構築することが,ProductDistributionを使ってBorel–Tanner分布を含む独立成分分布の結合分布を計算することができる.
- BorelTannerDistributionは,数多くの他の統計分布と関係がある.BorelTannerDistributionは,nPoissonDistribution[μ]であるときは常に,PoissonConsulDistribution[μ,α]がBorelTannerDistribution[α,n]から得られるという意味で,PoissonConsulDistributionとも関連する.BorelTannerDistributionは,また,BinomialDistribution,NegativeBinomialDistribution,LogSeriesDistributionとも関係がある.
例題
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Borel–Tanner分布から擬似乱数のサンプルを生成する:
そのヒストグラムをBorel-Tanner分布の確率密度関数と比較する:
サンプルの密度ヒストグラムを推定分布の確率密度関数と比較する:
n の値が大きいと,尖度は標準NormalDistributionの尖度に収束する:
無次元のQuantityを使ってBorelTannerDistributionを定義する:
アプリケーション (2)
BorelTannerDistributionのCDFは右連続関数の例である:
単位時間内に単位数の顧客が案内係を訪れるとする.顧客1人あたりの対応時間 は一定である.案内係が仕事を開始する時点で 人の顧客が待っている.待ち行列が空になるまでに対応を受ける顧客数はBorelTannerDistributionに従う:
特性と関係 (2)
共通の母数 α でBorelTannerDistributionに従う確率変量の総和はBorelTannerDistributionにも従う:
PoissonConsulDistributionはBorelTannerDistributionとPoissonDistributionの母数混合である:
テキスト
Wolfram Research (2010), BorelTannerDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/BorelTannerDistribution.html (2016年に更新).
CMS
Wolfram Language. 2010. "BorelTannerDistribution." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2016. https://reference.wolfram.com/language/ref/BorelTannerDistribution.html.
APA
Wolfram Language. (2010). BorelTannerDistribution. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/BorelTannerDistribution.html