LogNormalDistribution

LogNormalDistribution[μ,σ]

平均 μ,標準偏差 σの正規分布から導かれる対数正規分布を表す.

詳細

予備知識

  • LogNormalDistribution[μ,σ]は,区間上でサポートされ,実数 μ と正の実数 σ でパラメータ化された連続統計分布を表す.これらは,ともに,確率密度関数(PDF)の全体的な形を決定する.対数正規分布のPDFは,σ および μ の値によって,単一の「峰」(大域的最大値)を持つ単峰性か潜在的特異値が領域の下限に近付く単調減少のいずれかである.加えて,対数正規分布のPDFの裾部は, の大きい値について指数的というよりもむしろ代数的に減少するという意味で「厚い」(この動作は分布のSurvivalFunctionを分析することで数量的に厳密にすることができる.対数正規分布は,Galton分布,反対数正規分布,CobbDougla分布と呼ばれることがある.
  • LogNormalDistributionは正規分布に従う確率変数の対数に従う分布である.言葉を変えるなら, が確率変数で XLogNormalDistribution[mu,sigma]は「以下に従って分布」を表す)であれば,TemplateBox[{Log, paclet:ref/Log}, RefLink, BaseStyle -> {InlineFormula}][X]TemplateBox[{NormalDistribution, paclet:ref/NormalDistribution}, RefLink, BaseStyle -> {InlineFormula}][mu,sigma]である.対数正規分布は,数多くの独立した正の確率変数の積の対数をモデル化する分布は,変量の数が無限に大きくなるにつれて標準NormalDistributionになりがちであるという1870年代におけるFrancis Galtonの観察まで遡ることができる.分布の理論は,1900年代にさらに研究され,人間の体重とファイルシステム上のコンピュータファイルサイズの両方を正確にモデル化することが分かっている.加えて,対数分布は,粉塵濃度,金とウラニウムのグレード,洪水流量,工業製品の寿命分布,経済と金融の各種現象等を含むさまざまな現象のモデル化に幅広く利用されている.
  • RandomVariateを使って,対数正規分布から,1つあるいは複数の機械精度あるいは任意精度(後者はWorkingPrecisionオプションを介す)の擬似乱数変量を得ることができる.Distributed[x,LogNormalDistribution[μ,σ]](より簡略な表記では xLogNormalDistribution[μ,σ])を使って,確率変数 x が対数正規分布に従って分布していると宣言することができる.このような宣言は,ProbabilityNProbabilityExpectationNExpectation等の関数で使うことができる.
  • 確率密度関数および累積分布関数は,PDF[LogNormalDistribution[μ,σ],x]およびCDF[LogNormalDistribution[μ,σ],x]を使って得られる.平均,中央値,分散,原点の周りのモーメント,中心モーメントは,それぞれMeanMedianVarianceMomentCentralMomentを使って計算することができる.
  • DistributionFitTestを使って,与えられたデータ集合が対数正規分布と一致するかどうかを検定することが,EstimatedDistributionを使って与えられたデータからパラメトリック対数正規分布を推定することが,FindDistributionParametersを使ってデータを対数正規分布にフィットすることができる.ProbabilityPlotを使って記号対数正規分布のCDFに対する与えられたデータのCDFのプロットを生成することが,QuantilePlotを使って記号対数正規分布の変位値に対する与えられたデータの変位値のプロットを生成することができる.
  • TransformedDistributionを使って変換された対数正規分布を表すことが,CensoredDistributionを使って上限値と下限値の間で切り取られた値の分布を表すことが,TruncatedDistributionを使って上限値と下限値の間で切断された値の分布を表すことができる.CopulaDistributionを使って対数正規分布を含む高次元分布を構築することが,ProductDistributionを使って対数正規分布を含む独立成分分布の結合分布を計算することができる.
  • LogNormalDistributionは,他の数多くの分布と関連がある.対数正規分布は,TransformedDistribution[Exp[x],xNormalDistribution[μ,σ]]のPDFがLogNormalDistribution[μ,σ]のPDFと厳密に等しいという意味で,NormalDistributionの変換として実現することができる.この分布の対数的動作は,LogLogisticDistributionLogMultinormalDistributionLogGammaDistributionの動作と定性的に等しい.LogNormalDistributionJohnsonDistributionの特殊ケースである.SuzukiDistribution[μ,ν]のPDFがTransformedDistribution[u v,{uRayleighDistribution[1],vLogNormalDistribution[μ,ν]}]のPDFと厳密に等しいという意味で,LogNormalDistributionRayleighDistributionを組み合せてSuzukiDistributionを導くことができる.LogNormalDistributionは,NormalDistributionとの関係から,StableDistributionRiceDistributionMaxwellDistributionLevyDistributionLaplaceDistributionChiDistributionChiSquareDistributionとも関係がある.

例題

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  (4)

確率密度関数:

累積分布関数:

平均と分散:

中央値:

スコープ  (7)

対数正規分布から乱数のサンプルを生成する:

ヒストグラムと確率密度関数を比較する:

分布母数推定:

サンプルデータから分布母数を推定する:

サンプルの密度ヒストグラムを推定分布の確率密度関数と比較する:

歪度は標準偏差 σ に伴って指数的に増大する:

極限値:

尖度は標準偏差 σ に伴って指数的に増大する:

極限値:

母数の関数としての閉形式の種々のモーメント:

Moment

記号次数の閉形式:

CentralMoment

FactorialMoment

Cumulant

ハザード関数:

分位関数:

アプリケーション  (4)

対数正規分布を使って株価をモデル化することができる:

分布をデータにフィットする:

そのヒストグラムを確率密度関数と比較する:

株価が500ドルを超える確率を求める:

平均株価を求める:

連続30日間の株価のシミュレーションを行う:

対数正規分布を使って風速を近似することができる:

推定分布を求める:

確率密度関数を風速データのヒストグラムと比較する:

風速が時速30キロを超える日の確率を求める:

平均風速を求める:

1ヶ月間の風速のシミュレーションを行う:

時間 (単位:年)における株価変動率 は母数 の対数正規分布に従うと考えられる:

時期 の予想される株価を計算する:

投資家が一年間資金を無リスクの年率 で連続複利計算して投資できると仮定すると,リスク中立の価格設定条件が必要になる:

パラメータ について解く:

この株式を1年後に固定価格 で買うオプションについて考える.そのようなオプションの値は次のようになる:

このオプションのリスク中立な価格は,そのオプション価値の期待値の現在価値として定められる:

利率 が5%,変動率母数 が0.087,初期値が1株あたり200ドルで行使価格が1株あたり190ドルの株式だと仮定すると,ブラックショールズオプションの値は以下となる:

対数正規分布でGammaDistributionに従うデータを近似することができる:

対数尤度をガンマ分布による推定と比較する:

特性と関係  (9)

対数正規分布は正の因子によるスケーリングの下では閉じている:

LogNormalDistributionのベキ乗は対数正規分布に従う:

特に,対数正規分布の逆分布は対数正規分布に従う:

2つの独立した対数正規分布に従う変数の積は対数正規分布に従う:

2つの独立した対数正規分布に従う変数の商は対数正規分布に従う:

同じように対数正規分布に従う独立変数の幾何平均は対数正規分布に従う:

他の分布との関係:

NormalDistributionLogNormalDistributionと指数的に関係している:

逆変換:

対数正規分布は半有界JohnsonDistributionの特殊ケースである:

SuzukiDistributionは対数正規分布とRayleighDistributionから得ることができる:

考えられる問題  (2)

LogNormalDistributionは,μが実数でないときは定義されない:

LogNormalDistributionは,σが正の実数でないときは定義されない:

記号出力に無効な母数値を代入すると意味のない結果が返される:

おもしろい例題  (2)

LogNormalDistributionはそのモーメントの数列によって一意的に定義はされない:

モーメントの数列を計算する:

これをLogNormalDistributionのモーメントの数列と比較する:

分布密度をプロットする:

累積分布関数の等高線を持つ σ のさまざまな値についての確率密度関数:

Wolfram Research (2007), LogNormalDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/LogNormalDistribution.html (2016年に更新).

テキスト

Wolfram Research (2007), LogNormalDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/LogNormalDistribution.html (2016年に更新).

CMS

Wolfram Language. 2007. "LogNormalDistribution." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2016. https://reference.wolfram.com/language/ref/LogNormalDistribution.html.

APA

Wolfram Language. (2007). LogNormalDistribution. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/LogNormalDistribution.html

BibTeX

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