FisherZDistribution
FisherZDistribution[n,m]
分子 n,分母 m の自由度を持つフィッシャー(Fisher)の 分布を表す.
詳細
- フィッシャーの 分布における値 の確率密度はすべての実数 についてに比例する.
- FisherZDistributionでは,n と m は任意の正の実数でよい.
- FisherZDistributionでは,n と m は無次元量でよい.
- FisherZDistributionは,Mean,CDF,RandomVariate等の関数とともに使うことができる.
予備知識
- FisherZDistribution[n,m]は,実数集合上で定義され,自由度を表す2つの正の実数 n および m でパラメータ化された連続統計分布を表す.フィッシャーの 分布の確率密度関数(PDF)は平坦で単峰であり,母数 m および n はその全体的な高さと傾斜を決定する.これに加え,PDFの裾部は, の大きい値についてPDFが指数的に減少するという意味で「薄い」(この動作は,分布のSurvivalFunctionを分析することで数量的に厳密にすることができる).
- フィッシャーの 分布は,確率変数 の分布として求めることができる.ただし,XFRatioDistributionである.この分布は,1920年代の中頃に英国の統計学者であるRonald Fisherによって最初に発表された.フィッシャーの 分布は,当時幅広く使われていた分布の誤差を分析するためのツールとして考案されたもので,FRatioDistributionと同じように多くのアプリケーションで利用できる.しかし,FRatioDistributionの方が数学的により単純なので,二変量正規分布(BinormalDistribution) に従う変量の中でいわゆる 統計のモデル化にはFisherZDistributionが好まれるものの,FisherZDistributionを使って現実世界の現象をモデル化することはあまり一般的ではなくなった.
- RandomVariateを使って,フィッシャーの 分布から,1つあるいは複数の機械精度あるいは任意精度(後者はWorkingPrecisionオプションを介す)の擬似乱数変量を得ることができる.Distributed[x,FisherZDistribution[n,m]](より簡略すると xFisherZDistribution[n,m])を使って,確率変数 x がフィッシャーの 分布に従って分布していると宣言することができる.このような宣言は,Probability,NProbability,Expectation,NExpectation等の関数で使うことができる.
- 確率密度関数および累積分布関数は,PDF[FisherZDistribution[n,m],x]およびCDF[FisherZDistribution[n,m],x]を使って得られることがある.平均,中央値,分散,原点の周りのモーメント,中心モーメントは,それぞれMean,Median,Variance,Moment,CentralMomentを使って計算することができる.
- DistributionFitTestを使って,与えられたデータ集合がフィッシャーの 分布と一致するかどうかを検定することが,EstimatedDistributionを使って与えられたデータからフィッシャーのパラメトリック 分布を推定することが,FindDistributionParametersを使ってデータをフィッシャーの 分布にフィットすることができる.ProbabilityPlotを使って記号的フィッシャーの 分布のCDFに対する与えられたデータのCDFのプロットを生成することが,QuantilePlotを使って記号的フィッシャーの 分布の変位値に対する与えられたデータの変位値のプロットを生成することができる.
- TransformedDistributionを使って変換されたフィッシャーの 分布を表すことが,CensoredDistributionを使って上限値と下限値の間で切り取られた値の分布を表すことが,TruncatedDistributionを使って上限値と下限値の間で切断された値の分布を表すことができる.CopulaDistributionを使ってフィッシャーの 分布を含む高次元分布を構築することが,ProductDistributionを使ってフィッシャーの 分布を含む独立成分分布の結合分布を計算することができる.
- フィッシャーの 分布は他の多くの分布と関連している.先述したように,FisherZDistributionはFRatioDistributionの変換として求めることができるので,FisherZDistribution[n,m]のPDFはTransformedDistribution[Log[u]/2,u FRatioDistribution[n,m]]のPDFと厳密に等しい.および について m および n がInfinityに近付くにつれてFisherZDistribution[n,m]がNormalDistribution[μ,σ]に近付くという意味でFisherZDistributionは正規性に近付く.最後に,ChiSquareDistributionおよびStudentTDistributionはFisherZDistributionの変換として導くことができる.FisherZDistributionは,ParetoDistribution,BinormalDistribution,LogNormalDistributionとも関連している.
例題
すべて開くすべて閉じるスコープ (7)
サンプルの密度ヒストグラムを推定分布の確率密度関数と比較する:
母数の関数としてのMomentを含む閉形式の種々のモーメント:
アプリケーション (1)
二変量正規分布のサンプルが与えられると, 統計はシフトされたFisherZDistributionに従う:
サイズ の二変量正規分布のサンプルについて 統計の分布を生成する:
統計の分布とシフトされたFisherZDistributionを視覚的に比較する:
DistributionFitTestで結果を確認する:
特性と関係 (2)
テキスト
Wolfram Research (2010), FisherZDistribution, Wolfram言語関数, https://reference.wolfram.com/language/ref/FisherZDistribution.html (2016年に更新).
CMS
Wolfram Language. 2010. "FisherZDistribution." Wolfram Language & System Documentation Center. Wolfram Research. Last Modified 2016. https://reference.wolfram.com/language/ref/FisherZDistribution.html.
APA
Wolfram Language. (2010). FisherZDistribution. Wolfram Language & System Documentation Center. Retrieved from https://reference.wolfram.com/language/ref/FisherZDistribution.html